トンネルという名の暗闇を明かりと地図と
「死んだらきっとわかってくれる」
苦しかったら信頼できる人に相談してね、という言葉は世の中に溢れているが、そんな一文ごときで人に相談しようなどと思えるわけがない。死んでしまうほどつらい人は、人に言ったところでどうせ自分の苦しみなどわかってくれない、と思っているものである。これにはもちろん家族、友人も当てはまる。さらに、これは界隈の人にとってはわりと常識なのだが、いのちの電話はツキがなければ繋がらないし、SNSで相談するものはたいてい現在たいへん混みあっています、のような言葉が自動で送られてくるだけで、何の意味もない。死にたいと思った時に電話をかけても繋がらない、チャットを利用しても待てど暮らせど返事がこない。キツい希死念慮はそう長くは続かないというが、これはつまり、その短時間に誰かが気付いて話を聞く必要があるということである。ただし、相談者側が話そうと思えた場合に限る。こんな状況で、誰が自殺を止められようか。こんな状況で、自殺はなくならない。自殺をなくそうなどと綺麗事を言う奴を見れば、お前なんかにできるかよ、と私なら思ってしまう。
せっかく自殺について語っているのだから、豆知識を捧げよう。死にたいと思っている人に「死なないで」と言うことは絶対にダメだ。どういうことかというと、現実に絶望し死に希望を見出している者が、唯一の希望を否定されたら、この世界で生きようなどと微塵も思えないということだ。
ここまででお気付きだろうか。
死にたい人の多くは、どうせ自分の苦しみなど誰もわかってくれないと思っている。求められているものはただ一つで、それは「共感」である。
死にたいと思うことがある人は、誰かにわかってほしいと思っている。この苦しさを認めてほしい、でもいい(当然だがこれはあくまで私の考えである)。
「人はよく人生の苦難を長いトンネルに例える。光の差す出口を目指し、暗闇の中を進んでいく様が、人生と似ているからだろう。
人はその道を進むために様々な準備をする。ある者は明かりを持ち、ある者は地図を用意し進む。光の先にある、答えを求めて。」
トンネルには必ず終わりがある。しかし、トンネルを抜けてもまたトンネルがあることもある。例えば山間部の高速道路など。また「明けない夜はない」という表現もあるが、極夜というものも存在する。極夜がある地域は白夜もあるということも忘れてはならないが。
私は、真に人を救える人間は、人の手を引っ張ってくれる人ではなく、人に明かりや地図を渡してくれる人だと思う。夢も希望もない真っ暗なトンネルの中を歩く者にはライトが必要だし、先が見えないのであれば、先がどのように続いているかわからないのであれば、地図が必要である。ただし、トンネルに分岐点に差し掛かった時、どの道を選ぶかは自分次第だし、そもそも歩くのは自分である。
ちなみに、これを書いている今は2023年9月18日だ。前から順番に読んでくださっている方は、もしかして気付いてくださっているのではないかと期待してしまっている。
本日、私、6歳になりました!
早いもので、今度の春には小学生になります!
今回はこれが本題だ。突然私が6歳になったと言ったら、前を読んでいらっしゃらない方や読んでくださったけど忘れてしまった方は「は?」とお思いだろう、それは承知の上だ。しかし、今から解説し始めると長くなってしまうので、とりあえず事実だけ述べておく。9月18日は私の第二の誕生日である。詳しく知りたい方がいらっしゃれば「神様」を読んで頂きたい。
私は結果的に夢破れた。しかし、かつて、振り返れば無理をしていた頃は、充実感に満ちていた。もう一度あの頃のような生活を送ることはできないと思うし、仮にできるとしてもやめておいた方がいいとも思うが、あの快感は忘れられない。
あの日、2017年9月18日、私はトンネルから抜けた。2年半ほど太陽の下にいたが、再びトンネルに入ることとなった。そして、未だ出口は見えてこない。それでも、私にはあの時もらった明かりと地図がある。
「明日は必ず来る。しかし、その明日に何が起こるかは誰にもわからない。突然天井が落ち、道が塞がれ、愛する人を失うかもしれない。小さな私たちに、為す術はない。
先の見えない暗闇に一人佇み、時に心が折れそうになる。この先に光がなかったら、歩いた方向がまるで逆で、光から遠ざかる結果だったら。
そんな時は思い出して欲しい。一人ではつらい時間を、共に歩ける仲間の存在を。
求めるのは光そのものじゃない。光を一緒に探すことのできる仲間だ。それさえあれば、歩き続けることができる。
駄目なら向きを変えて、また歩き出せばいい、仲間と共に。」
こちらは最後に主題歌が流れる時に入ったナレーションだ。私は別の「暗闇の先にあるもの」を探している最中だ。もう既に明かりと地図はあるので、道に迷っても何とかなる。駄目なら向きを変えればいい。それでも駄目なら、また向きを変えればいい。どこかにきっと仲間はいると、私は思う。
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