第一章 夜会での日常①
四人も女子が家にいると常に
それに加えて今日
「この
「申し訳ございません!」
ベアトリスの
「やっぱり別のドレスにしようかなぁ」
「リ、リリアンヌお嬢様。今お
「そぉ?」
やれ化粧が気に入らない。やれドレスが気に入らない。こんなことは日常
とっくに準備を終えた私は、姉達の準備が整うまで自分の部屋で待機していた。というのも、
「今日はいつも以上に時間がかかる気がしますね」
「かかるでしょうね」
「それに比べてうちのお嬢様は
「じゃあお姉様達のように
「
私付きの
エルノーチェ家全体で
「そう言えばお嬢様。先日またキャサリンお嬢様に
「そう。お姉様のことだから『レティシアに仕えるのは大変でしょう。いつでも私に相談して』かしら」
「いえ。最近はより
「そうなの?」
「はい。新人の侍女達の前で『レティシアにぶたれたと聞いたわ。
「……ここまでくると
私が
「言い返す気力も無かったので。ただ一言、
「お
通常であれば仕える
ラナは社交界に
「最近侍女の間では、またキャサリンお
「へぇ」
興味なげに
「四姉妹の中で断トツに仕えたいお嬢様と言われています。
キャサリンの
「私からすれば、お嬢様が比べるまでもなく大当たりですけどね」
「確かに。業務は過激じゃないから」
「過激なんてとんでもない。手がかからなすぎて、本当にご令嬢かと疑うほどです」
中身は転生者だから、
「だからお嬢様の悪評を聞いた時は
「あはは……」
苦笑いせざるを得ない。
普通、悪評や自身にとって不利な
それをやらずに長らく放置した結果定着したのだから、評判は嘘
「何度も聞きますけど、火消しをするつもりはもうないんですよね?」
「えぇ」
即答で
そもそも気が付いた
「火消しをしてもしなくても、私の未来には関係ないもの」
「本当に出ていかれるんですか?」
「もちろん」
「考え直す気は?」
かなりの
「ない。それはラナが一番わかっているでしょう」
「そうですね。お嬢様の
早く自立したいという話を
「本当は今日だって、パーティーなんか出ずに
「お気持ちはわかりますけど、王家主催ですから」
貴族である限り、義務は果たさなくてはいけないだろう。
「……やはりベアトリス様達は時間がかかっていますね」
「気合いを入れたくなるのはわかるけれど、入れる方向を
「そうですね」
「それにしても王家主催というだけで、どうしてここまで張り切るのかしら」
「お嬢様。お嬢様は興味がないのでご存じないかもしれませんが、今日は
「……へぇ」
「なにより王子様方に会えるのも、最近では機会が限られますから」
姉達は幼い頃から
「確かに周りが結婚していけば
当然この助言は無意味なので、本人達に告げることはない。
結局出発できたのはパーティーに間に合うかどうかのギリギリの時間であった。
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