プロローグ
エルノーチェ
私が転生したのは国内でも高位の貴族だった。公爵である父は国の
二人の業務は
エルノーチェ家は一男四女の子宝に
「気分ではないわ。そのドレスは下げて」
「ですが
「まぁ!
「そ、そんなつもりは」
長女ベアトリス。
「うーん、リリーこっちにする!」
「そのドレスだと品がないのでは……」
「なぁに? 文句あるの?」
「あ、ありません」
次女リリアンヌ。
脳内お花畑で異性を射止めることしか考えていない。二十二歳になっても自分の世界から
「きゃっ」
「キャサリンお
「だ、
「……いえ」
「全く
「私は平気よ、レティシアの気が済むのなら。それに、
三女キャサリン。
悲しげな
四女レティシア。
癇癪持ちのわがままな末っ子。これが社交界での私の評価。
しかし、どれ一つとして本当の私には当てはまらない。癇癪を起こしたことも無ければ、わがままを言った覚えもない。それなのに悪評と呼べるこの評価が広まったのには、意図的な悪意があったからである。
その悪意の持ち主こそがキャサリンだと断言できる。
社交界で彼女は、エルノーチェ公爵家姉妹唯一の常識人と呼ばれている。『性悪な姉二人とわがままな妹の
しかし私は知っている。その評価は意図的にキャサリンが作り出していることを。
確かに上の姉二人は性悪だ。それは
このどこが面倒を見ているというのだろうか。苦労するようなことは一切していないというのに。つまり、姉達もまた、キャサリンが好印象を与えるために利用されているということだ。
上の姉二人に同情はしないが、正直言ってこの三女が姉妹の中で最も
理由は簡単。私に
しかし、キャサリンは違う。
とにかく四女の私を利用する。その手法は言うまでもなく
けれども私は
私はとにかく自立をして、早くこの家を出たい。そして面倒な姉達と
これは私が転生してから現在に至るまで
姉達の
そもそも
母の
気に入らなければ格下の令嬢に当たり、格上の令嬢でも必要があれば
しかしその
その上表では
その悪魔は聖女のふりをしたまま父と
母は父の前では聖女の姿を
その姿を見て育ったのが、私達四姉妹。受けた影響は計り知れないだろう。
私はそんな母から学び決意したことがある。それが『あんな大人にはならない』ということだった。
前世の記憶があったからこそ、母が
だからこそ、私は家を出ることを心に決めた。
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