364. 大漁とロック鳥リベンジ
「いや〜、いっぱいとれたね〜、こんなにファングヘリングが取れるとは思ってなかったよ〜、ロック鳥まで仕留めて、シュペアさすがだね〜」
「うん、でもまだ荷車1台分埋まってないから、帰りに森で魔獣を探そうと思うの」
みんなが山積みの荷車を引いて、僕は空の荷車を引いて森を歩いてる。
あんまり遠いと、こんなに荷物がある状態でそこまで行くのが大変だから、索敵を2キロで発動させているけど、なぜか小さい魔獣も引っかからない。もしかして強い魔獣が出てたり……僕は徐々に索敵の範囲を広げていった。
「ルヴォン、ブルーサーペントって移動速かったりする?」
「ん〜、速いね。ブラックに比べたら全然遅いけど、ボアくらい速いかな〜」
「それはまずいかもしれない。ブルーサーペントが街に向かってる。このまま真っ直ぐ進んだら2キロくらいで街に着いちゃう」
「は? マジ〜? どうする? 先行して誰か行く? 山盛りの魚ちゃんがいるからな〜 全員で行ったら間に合わないよね〜? だからって1人でも抜けたらこっちは進めないし〜」
「ここで待機組と討伐組で別れるか? 待機も2人は欲しいな。倒して戻ってきてもらうにしても、倒したサーペントをそこに放置するのは避けたい。難しいな」
「あ、じゃあ僕が先行して檻に入れてくる。それで戻ってきて、みんなで荷車を引いて向かえばいいと思う」
「んん〜? ちょっと誰か説明して〜、檻なんてどこから持ってくるの〜?」
「早くしないと2キロなんてすぐだぞ」
そうだ。被害が出てからでは遅い。救えるのに間に合わないなんてことは避けたい。僕はみんなに「行ってくる!」と宣言すると、荷車を残して身体強化と風を使って最短距離で走って向かった。
>>>残された4人の会話
「ええ〜? シュペアのあのスピード何!? 一瞬で消えたように見えたんだけど〜、人間辞めた?」
「いや、あれはたぶん色々重ねたんだろう。身体強化もかなり強化を強めにかけて、風で後ろから自分を押してスピードを増して……たぶん……」
「すまないが、ルヴォンとグレルは今見たことを口外しないように頼む」
「それは分かっている。ルシカとゲオーグも大変だな」
僕はサッとブルーサーペントを氷の檻で囲むと、すぐにみんなの元に戻った。
「みんなお待たせしました。えっと、先にこの魔獣を街に持っていって、空の荷車は2台くらい必要だよね?」
「シュペア、早くな〜い? なんかやっぱりちょっと想像の域を超えてる気がする〜」
僕たちは森を出るまで身体強化と荷車に重力操作をかけて、走って街に向かった。ギルドに着くと、魔獣の解体をお願いして、すぐにブルーサーペントのところに向かう。
「ヤバ〜、確かにこれは檻だね〜、で、これ檻解除して戦うの〜?」
「みんなが戦いたいならそれでもいいよ」
「ん? ということは、シュペアは檻を解除しなくても倒せるのか?」
ちょっと驚いた後、どうやって倒そうかと考え込んでいるルヴォンとグレル。見慣れた光景に特に何の反応もしていないルシカとゲオーグ。反応が二つに分かれて面白い。
「倒せるかな。頭をブスッとすると倒せると思う」
「なるほど……?」
「ブルーサーペントはアスカルで食べ損ねたから食べたいよな」
「そうだな、美味いんだろ?」
「ええ〜? ルシカとゲオーグ反応薄くない? ブルーサーペントをブスッとやるだけとか言ってるの、驚かないの?」
「ああ、飛んでいるロック鳥を一撃で倒すんだからブルーサーペントならもっと簡単だろ」
「あ〜、確かに〜、ってええ〜? ちょっと待って、それって普通のこと〜? 僕たちがおかしいの? ねえグレル、僕らがおかしいの〜?」
「俺も分からなくなってきた……」
そんな話をしていたけど、明るいうちに街に戻りたいし、サッと倒してくれた方がいいって言ったから、僕は氷の槍を頭にブスッと刺した。
キシャァァァァァ!
しばらく檻の中でうねうねしていたけど、だんだん動きが鈍くなって、そして動かなくなると風の刃でスパッと首を落として血抜きをして、氷の檻を解除した。
「凄いな。俺らももっと修行しないとAランクと名乗るのが恥ずかしい」
「だね〜、なんかあっという間に抜かれたね〜、僕らもパリスタが落ち着いたらまた旅に出ようよ〜」
ルヴォンとグレルも、また旅に出ることを決めたらしい。
「これがブルーサーペントか。脂がのって美味いな」
「うん。この甘辛いソースも美味しいし、ハーブの塩だけのも美味しいね」
「肉のような魚のような不思議な食感だなー」
ブルーサーペントは全体を見るとうねうねして気持ち悪いけど、皮を剥いで骨を取って小さく切ったら、あの姿は全然想像できない。
街の中心にある大きな公園で、冒険者ギルドと商業ギルド、土木ギルドなどのギルドが集まって炊き出しってのをやったら、街の人がたくさん集まってきてお祭りみたいになった。
この前のティーダでもお祭りみたいになったし、最近はお祭りにいっぱい参加してる気がする。みんながお腹いっぱいになって、それでも余ったから、家に持って帰ってもらった。ファングヘリングの卵は塩漬けにして保存するって言ってたから、今日は食べなかった。
ルシカとゲオーグはブルーサーペントが美味しいってずっと言ってたけど、僕はロック鳥を久しぶりに食べたのが嬉しかった。
ロック鳥は僕にとって特別な魔獣のお肉で、それはこの先もずっと変わらないんだと思う。今日は綺麗に倒して、着地もうまくできてよかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます