パセリ忌

@amagasaharegasa

パセリ忌

書見台

咳をしているうちに夜


素足に窓からの風

宵の風


墓前には

パセリの花を摘んで行く


晴れたなら何を干そうか

梅雨の星


近づいて去る翅のおと

窓の外


この家に風満ちるころ

はる五歳


フローリングに体を延べる

夏至の午後


“Sing”の訳は「鳴く」なのか

被膜の光


腋下よりアラーム鳴りて

目を覚ます(37.8℃)


白鷺のような夢を見ていたこと


仄白く

夕紫陽花のぽあんぽあん


泡と頭痛と

お湯に流して青タイル


バスタブに痛みを溶かし

身を沈む


フーガ! フーガ! フーガ!

逃げ去るという美


汚れたるティッシュ

しらじら積もりゆく


犬吠ゆ

悪鬼の顔して闇息


発熱の夜

怪談を聴いている


願い・祈り

昏い空へと投げ捨てよ


雨、降り 傘、差す

それだけのことです


なめくじは歩む

よあよあと月の夜

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