第5話 魔王軍人族部隊編成完結!
☆魔王軍前線指揮所(旧ヤクーツ王国王城)
「おおー、君が投降勇者第一号だ。嬉しいよ。良き来てくれたね。魔王軍は君を歓迎する。君の安全と生活は魔王軍は保証するよ」
「はい・・・どうもです」
・・・投降勇者、嫌な言い方が。しかし、事実だ。
「ところで、何故、君は64(ロクヨン)を持っているの?もしかして、兵器も召喚出来ちゃうの?」
「実は・・・・」
と等価召喚、自分の能力の事を正直に話した。
「ヒヒヒヒヒィ、魔王様、言った通りでしょう?」
「ヨドムさん!?」
・・・裏組織の親分が、魔王軍につながっていた?あり得るの?
「私は、お薦めは女神信仰圏と言いましたがネ」
・・・しまった。裏組織に依頼して、連れて行ってもらえば良かった。
考えれば、方法はいくらでもあった。
「アキラ」の名前と、一週間の距離で、誘導された?
と言うことは・・・
「グシシシッグヘへへへ、ここなら、安全に商品を召喚出来ますヨ!」
ここで、王都スラム街のように、「お金儲けをしたいのね」
「違いますネ、お金儲けをして、王城の奴らの資金源を、潰します」
しかし、断る。
「あ、そうそう、商品の輸送には、王都の獣人族を使います。人族と同じお給金を払いますから、彼らだけは、インフレ攻撃は影響を受けないでしょうネ」
いや、断る理由が無くなった。
・・・魔王様は前世は日本人、職業は自衛官だった。
「銃を貸してご覧」
銃の分解を始めた。
「おお、覚えているものだな。昔は、目隠しして、銃の分解と結合を練習させられたよ」
銃の木の部分の後ろにハッチがある。開けると組み立て式のドライバーがある。金属の細い棒と、ブラスのドライバーが入っていた。
手で分解し、プラスドライバーでネジを外し、細い金属の棒で、小さなピンを外す。
数分で分解した。部品が沢山ある。
細かい銃、銃ってもっと、バン!と大雑把なものだと思った。
恥ずかしい。サビだらけだ。
「ダメだよ。銃は常に整備しなければね」
「はい・・」
「ウエスはここにあるから、『新隊員〇〇』、これは赤い本だ。それと、機械整備用の歯ブラシ型のブラシと、防さび剤〇56,スプレーだ。これを召喚出来るか?」
「はい・・」
私の召喚はイメージしたものなら、召喚出来る。出来た。この本に、64式自動小銃の事が書かれている。
「まず。サビを落してから、本を見て組み立てなさい・・・っても無理か。俺が手本を見せてやる」
「はい」
☆☆☆
交易が始まった。資金が貯まった頃。魔王様が、魔王軍の人族部隊を編成すると仰った。
「え、魔王軍、人族部隊を編成する?!」
「そうだ。魔王軍は様々な部族の集合体だ。その中に、亡国の人族もいる。彼らを中心にして作るぞ!」
そして、私は、魔王アキラ様に言われて、個人用装備を召喚してみた。
鉄帽、戦闘服、戦闘靴、サスペンダー、弾帯、弾のう、背嚢、携帯シャベル、迷彩シャツ等々、
魔王様に絵を描いてもらい。89式自動小銃を召喚した。銀貨40枚ぐらいで出てくる。
合わせて、1人、銀貨100枚は超える。鉄帽が高い。
「魔王様、これって、ホームセンターで売っている迷彩の作業服ではダメなのですか?」
「ダメだ。燃えるだろう。これ、刑務所で作っているが、布地が遠赤外線の塗料を塗っているから、高いのだ」
「ニュースでやっていましたが、20式自動小銃が出たって言ってました。それは?」
「89式自動小銃ですら、2000年代の初頭に、一般部隊に配備されたのだ。今の調達価格は高いと思うぞ
それに、弓や剣で戦う相手に、高価な武器は費用効率が悪い」
「なら、64式は?」
「・・・これは、名銃だが、構造上の欠陥がある。3連斉射の機能がついていない」
・・・89式の、切替えレバーは、
「ア」・・・安全装置
「タ」・・・単発
「3」・・・3連斉射
「レ」・・・連射
となっている。
「3」は、つまり、連射が3発で止まる。
89式の発射速度は、1秒間に10発は超える。
つまり、30発弾倉でも、3秒未満で空になるのだ。
それでは、いくら弾があっても足りない。
だから、3発で連射が止まる装置が開発された。
ベトナム戦争よりも前に開発された64式自動小銃にはついていないのだ。
さらに、小隊用火器、迫撃砲、カールグスタフ砲、ロケット発射筒などなど、
高機動車も召喚した。
これらは高い。大金貨を数十枚使った。
一番、価値の高い白金貨、数億円相当を使おうと思ったが、
「アズサ、それはな。この世界には数百枚しかない。城の取引に使われる儀礼用のお金だ」
「ええ、じゃあ」
「「つまり」」
「「この世界には、お金が少ない!」」
しかも、私の召喚の欠点は、一端、お金を召喚で使ったら、この世界から無くなるのだ。
やれば、やるほど、貨幣の流通量が少なくなる。
ここは、中世並の経済力、現代軍はお金がかかる。
この世界の経済力では、現代軍の大軍を養えない。
「せいぜい、一個小隊の現代軍に、この国の軍隊や人をつなげて、戦闘団を作るしかないな。
小隊規模の戦闘団だって、ギャハハハハハハ」
・・・戦闘団は連隊規模(800~)からが相当のようだ。800余は、自衛隊の平時の編成だ。
後方支援は、軽トラを使おう。中古でいいや。
これだけ、召喚して、一個小隊、40人規模だ。
「さあ、募集だ。イワンさん。頼むぜ」
「畏まりました」
イワンさん。もう60代のご老人。亡国の元国王、今は魔王軍についている。
人族の取りまとめをされている。
「希望者は集まりました・・・回復術士の女子は、強制参加ですね」
「ああ、衛生兵アンド、アズサのバディ(相棒)だ」
魔王様、自ら、面接し、
「俺は、ワーウルフ、討伐の実績がある冒険者だ。幹部でお願いします」
「不採用」
「僕、徴税人の息子で・・」
「はい、採用!」
「さて、武器と人は、そろったな。訓練だ。銃は訓練すれば、いや、勘の良い者ならその日に使う事ができるが、それではだめだ。戦闘中に故障を自分で廃除出来き。自分で整備出来る知識が必要不可欠。何よりも信用できる者でなければならない。
銃を信用できない奴に渡せるか?」
魔王自ら、人族から選抜をした採用された人々は、どちらかというと、戦場で剣を振り回すというよりは、事務関係が得意そうな人だ。
亡国の騎士団の事務員だった人もいる。
徴税人の息子、小作農の息子に、冒険者グループのリーダー
医療班として、回復術士の女の子もいた。エミリアさんだ。
魔導師はエリート、プライドは高かった。
「フン、何これ?こんなのが武器、ボウガンの弓、ツルがありませんね。何ですか?もしかして、この金属のバネというもので、弾を飛ばすのですか?強力なツブテは放てませんわ」
訓練が始まった。
回復術士、エミリアのブライドはガタガタになる。
「実弾訓練!撃て!」
バン!バン!バン!
「ヒィ、どうして、動くの。動力源はなんなの!?」
「ヒィ、ピストン桿(かん)止め用バネピンて、意味が分かりませんわ!なんなのですか?」
「エミリア団員!それは64式小銃の部品よ。貴女は使わないから、丸暗記でいいわ」
そして、案の上
「エミリア!0点だ!銃の部品の一つも覚えていないじゃないか?」
「ヒィ!」
「罰だ、連帯責任、腕立て伏の姿勢を取れ!」
「「「1,2」」
1.2の号令で、腕立て伏の姿勢を取り。腕立てを魔王様が手本を見せて、行う。
「1.2.3.・・・」
「「「1.2.3・・・」」」
「エミリア団員は頭がいいから、初めに、理解しようとする。丸暗記すれば、後で何となく分かってくるよ」
「そうだと、オラも丸暗記だ」
「僕も、全然、わからない」
「皆様・・・」
ここでは、決して、暴力制裁は行わない。
全て、体力錬成に置き換えられる。
魔王様も腕立てをやるのは、罰する方も加減を知るためだ。
そして、皆が、サッカーや、アメフトの体育会系のように、仲間が失敗しても、ドンマイ!で励ますのは、自分が失敗しても責められないようにするためだ。
これが、最も、ストレスがたまらないと本能で知っている。
カンカンカンカン!
「敵襲だ!敵襲!」
夜中でもすぐに起こされて、非常事態の訓練だ。
時間をせっつかれる。
詰め込まれる。
分単位のスケジュール
この教育で得られる成果は、いわゆる。一般社会で言われる頭の良さ。
頭の回転力
瞬時での判断能力
正解ならそれでよし。間違いなら、正解になるように次善の行動に即移さなければならない。
「はあ、はあ、何で私まで、私は回復術士よ!」
戦闘に直接に関係ないものにまで訓練を施すのは、ただ、同じグループとして仲間意識を植え込ませるためだと後でわかった。
☆☆☆
そして、皆が、部隊行動になれ、夜中の非情呼集にもスムーズに動けるようになった頃。
いつものように、非情呼集のカネがなったが、おかしい。
撃退、解散にならない。
魔王様が自らいらっしゃった。状況付与だ。
「状況、勇者軍100キロ先の村を占拠!指揮官、アズサ・ササキを班長として、勇者軍を撃滅掃討せよ!」
「・・・勇者軍100キロ先の村を占拠!指揮官、アズサ・ササキを班長として、勇者を撃滅掃討せよ!了解!」
そして、私は、考えながら、命令下達をする。
「命令かた~~~つ。敵情!100キロ先の村、勇者軍占拠!詳細不明、我・・・高機動車を使い50キロ付近の友軍の拠点まで、車両行軍!後の命令は現地でしめ~~~す!
今のうちに用便を済ませ。五分後、集合せよ。乗車は、10人毎、ピストン輸送をする。
運転手は私が行う。車長は、エミリア、ドス、セトル、オルトが勤め。それぞれの班員を掌握せよ!」
「「「「五分後、集合了解!」」」
「エミリア、班員掌握了解!」
「ドス、右に同じ」
「「右に同じ!」」
【わかれ~~~~~】
・・・本当は、皆で一緒に、行きたいが、高機動車は一台しかない。しかも、運転できるのが、私とイワンさんぐらいしかいない。私は召喚したので、イワンさんと共に、魔王様から運転を習った。
イワンさんは後方支援で参加して下さる。
皆は、車両行軍中、休めるが、私は休む暇はない。
・・・ヤバイかも
☆50キロ先の村
ここから、徒歩で行軍する。背嚢を背負い。小銃を背負い歩く。
「これより、徒歩にて、行軍、毎時4キロ、休憩およそ50分ごとに10分基準は、課業通り!」
「命令かた~~つ。敵情、変わらず。我、徒歩にて、敵の拠点まで接敵行軍!破壊等、カールグスタフ砲、ロケット発射筒の小隊火器は、高機動車に積み込め」
「「「敵の拠点まで接敵行軍!破壊等、カールグスタフ砲、ロケット発射筒の小隊火器は、高機動車に積み込め!了解!」」」
・・・接敵行軍は、敵を見つけ次第攻撃する行軍、
何故、高機動車で、敵の拠点まで行かないかって?
それは、自動車だからだ。
この高機動車は、海外派遣用ではない。
防弾ガラスも、装甲も付けられていない。
ファイヤーボール一発で火だるまだ。
だから、イワンさんに運転してもらって、列の後ろに付いて来てもらう。
そして、一昼夜、30キロ近く行軍し、途中で、仮想敵のゴブリンさんの襲撃を何回か受ける。
怪我判定を受けた者は、イワンさんに運んでもらい1日、攻撃不参加のペナルティになる。
私は一番先頭を歩く。
後、20キロの所で、魔王様が、空からやって来た。
「状況!糧食無し!水筒の水のみ!・・・身体検査を実施する」
男は、魔族の若者に、背嚢や、服をチェックされ、
ワザワザ、天幕を張り。
私とエミリアは、その中で、ダークエルフのお姉さんに服や背嚢を見られる。
「魔王様、アズサ班長の寝袋の中に、多量の・・・・何ですか?ビスケットがあります!」
「没収!」
・・・チ、カロリーメイト、1人一本の半分、渡せるように持って来たのに・・・見つかったか。
これは、召喚した本で、自衛隊の訓練を調べていたから、予想できた。
そして、これから、水筒、1リットルの水のみで、行軍することになった。
☆数日後
疲れが極限まで来ると、皆、自我が出てくる。反応は様々だ。
「グスン、グスン」
エミリアさんは泣いている。泣き上戸だ。
「う、この石め。こんなところにあるから、俺が躓くんだ」
セトル班員は、石に怒っている。
「カレー、ラーメン、ハンバーグ・・・」
ドス班員は、食堂のお気に入りのメニューを言っている。
食堂は、日本の食材を使ったものも出した。
私は・・・五感が冴え渡った。
多分、死ぬ前に、ハイになるやつだろう。アドレナリンが分泌されている?
(草が踊っている・・・)
風が吹いているが、あの場所だけ。動きが違う。
私は小声で命令をする。
「距離、300北西の草むらで、敵の待ち伏せが予想される。攻撃準備」
「やった。背嚢をおろせる」
「歩かなくてすむ」
怪我判定された班員に、背嚢や荷物の見張りをさせ。
私たち30名で、草むらに隠れて、ゆっくり、近づき包囲する。
距離50メートルで、立ち上がり。銃の空撃ちをする。
カチャ、カチャ、カチャ
間抜けだが、
陣地から、白い旗が揚がった。
「撃破!・・・・」
魔族の若者は目を白黒している。
近づいてくるのが分からなかったそうだ。
ゴブリンさんたちは、くつろいでいた。
完全な奇襲成功である。
「お、ここから、道が見える」
ウシシシシシッ、捕虜尋問。
私は、コブリンの長に、城下町で買った黒曜石のナイフを渡す。
「あの道は、どこに通じるの?教えて下さらない」
「・・・アノムラ、ヨンホンツノサマイル」
「ほお」
ヨンホンツノ、魔王様の別名だ。
この世界、戦争条約はない。捕虜は奴隷として売られたり、身の代金を要求するのが、慣例だぞうだ。
勿論、訓練相手なので、そんなことはしない。
捕虜役に、物をあげて感謝の気持ちを示そうと思っていた。
私は、新たな道を見つけ。
目標の村を攻撃する。
☆☆7日目
「援護射撃!」
カチャ、カチャ、カチャ
「爆破1分後」
村には、逆木や障害物で囲まれていた。
それを破壊筒で撃破したと想定する。
次に、村の門を、苦労してここまで運んできた無反動砲で攻撃する。
勿論、模擬弾だ。実際に撃たない。
「後方ヨシ。安全装置ヨシ。てぇ!」
「1・2・3~弾ちゃ~~く、今!」
そして、突入!
村の講堂まで、一目散に入った・・・と思ったら、くす玉がパーンと割れた。
くす玉から、出た垂れ幕は、大陸共通語で、
「状況終了!お疲れ様」
と書かれていた。
魔王様、ブゼンさん。骸骨博士、アリーシャさんと、ダークエルフの踊り子さんが、花びらを巻きながら、踊りを披露されている。
周りには、この訓練に敵として参加してくれた魔族の若者や、ゴブリンの人たちもいる。
パチパチパチパチパチパチパチパチ!
と拍手をされる。
「グスン、グスン」
あ、エミリアさん泣いている。嬉し泣きだ。
「さあ、湯浴みと食事があるぞ。湯浴みをしてから、スープを飲め」
と魔王様が言っているが、これはワナだ。
すぐにばらけてはいけない。
「【整列!】各自、武器、装備点検!」
「「「異常なし」」
「回れ~~~~~【右】武器を置け」
銃や無反動砲を置くときは、銃口を人に向けないように、後ろを向く。
そして、また。魔王様の方に向く。
「回れ~~~~~【右】」
「服装を正せ!全員、魔王様と、訓練に協力してくれた方たちに、挨拶!【敬礼】」
魔王様が、自衛隊式の10度のおじきを返すと、
こちらも、敬礼を解く。
【なおれ!】
「各自、解散、武器監視は私がやる。休憩せよ。【別れ!】
と言ったが、皆、うずくまって、泣いている。
ああ、何か、私もこみ上げるものが来たよ。
嬉しいじゃない。
そして、前線の指揮所で、編成完結式を行った。
訓練は終了したのだ。
「魔王軍人族部隊!アズサ・ササキ以下40名!編成完結!」
・・・あれ、あれから、状況が終わっても、私がずっと、長役だ。おかしくないか?
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