第5話 #ひよこチャレンジ

 都内某所。閑静な住宅街にある天川家。

 手入れのされた花壇に囲まれたのがサキとコウキの家です。


 その二階にあるコウキの部屋。壁際のベッドではコウキが横たわって携帯ゲームで遊んでいます。

 部屋の反対側の学習机に向かって、同じ年頃の少年が漫画を読んでいます。彼はコウキの友人にしてクラスメイトであります。


 友人は漫画本を閉じて言いました。

「ヤバいなこれ」

「だろ」

 ゲーム機から顔をあげたコウキが得意げな顔で同意します。


「エロいしかっこいいしカワイイし」

「だよな」


 彼が手にする漫画本のタイトルは『魔都精兵のSL△▽E』。

 

 某WEBマンガ誌で発表された作品で、単行本が数百万部以上売れている人気作品です。


 突如出現した異空間と敵性生物の脅威にさらされた日本。しかしその異空間の特性により女性限定で異能力が得られることで、対抗組織が作られて辛うじて平和が維持されています。

 主人公の少年は偶然迷い込んだ異空間で、その組織の隊長と出会い己の奴隷としての能力に目覚めます。それは隊長に従属することで引き出される戦闘力。少年はその奴隷適正をわれて唯一の男性隊員として組織に入隊し敵性生物から人々を守り異空間の謎を解く戦いに身を投じる……


 そんな普通の少年が戦いの中で仲間との絆を深めて成長していく王道の少年マンガです。


 なおここでの奴隷はきちんと報酬が与えられる契約に則ったタイプ。つまり激しい戦いの後にはあるじからすてきなご褒美が与えられます。これはあるじ側の異能力に由来しますので主人公が拒絶することはできないのです。しかも仕えるべき主は美少女から美熟女まで次から次へと増えていきます。それにより主人公の戦闘奴隷としての能力はより多彩に。与えられるご褒美もまたインフレーション。


 少年の心を持つものならば求めてやまない全てが詰まったちょっとエッチな少年マンガの傑作です。

 2024年にはアニメ化してこちらも爆発的ヒットを飛ばしています。


「バトルがすげえ分、ご褒美もすごいって当たり前だけど作者の人は天才だよな」

「毎回きっちり入ってて毎回バリエーション違うってのがすごい」

 と少年たちは乏しい語彙で作品を讃えます。


 コウキは「次はもっとすごいことになってるからな」と言って本棚に目を向けて首をかしげます。


「あれ、次の巻がない…………あー、お姉がまた持ってったな」


 ベッドから降りたコウキが取り返してくると言って部屋を出ます。

「あっ、サキさんの部屋行くのか! 俺も!」

「は? ふざけんな」

 コウキは冷たく言って扉をバシンと閉めます。


「なんだよシスコンが」


 ほどなくして戻ってきたコウキは漫画の続巻と共に紙箱を抱えていました。

「やばい。お姉の部屋ですごいのあった」


 箱の表面には戦士が剣を振り、魔道士が杖をかかげモンスターと戦うイラストと共に、〈エレメンタル・ロード・オンライン〉というタイトルが表示されています。


「なんだこれ?」

「エロゲーだよ。ただのエロゲーじゃないぞ。フルダイブだからゲームの中に入ってほんとに動き回れるんだ」

「エロゲーでそれって、じゃあリアルにやれちゃうのか!?」

「いや、エロいシーンはあくまで見て楽しむだけみたいだけど、それでもすごいだろ」


 コウキは丁寧に箱を開け、中のヘッドギアを取り出しました。


「いいのか、勝手に触って」

「マズイ。でもチュートリアルとかだけでやめとけばバレないだろ。最悪見つかっても俺、先月のフェスタでお姉に投票1000票集めてきたからな。多分ヘッドロックくらいで許してくれるはずだ」


「そういう仕組なん? ただのご褒美じゃん」

 友人はサキに密着技をしかけてもらえるなら自分が代わりたいと思いましたが、コウキがすでにヘッドギアを装着して寝転んでしまいます。


「ちょっとレベルアップしてくるな」


「冷静に言うと人としてレベル下がってんじゃないかと思うけど…………もう入っちゃった?…………お前ってほんとこういう決断は早いよな」


 眺めていてもコウキの寝転んだ姿だけですので、少年はマンガ本の続きを読むことにします。ページをめくるごとにバトルとご褒美の描写がさらにパワーアップしていく展開に彼はあっと言う間に惹き込まれていきます。


「ピーーーー」


 突然ヘッドギアから警告音が流れてきました。さらに機械音声が続きます。


『警告! このゲームのプレイヤーは現在危機的状況にあります。警告! 許可なくプレイヤーの身体に触れないでください。警告! このヘッドギアを外すと命を落とします。詳細はメーカーサイトや警察の発表をご覧ください。繰り返します。警告! このゲームのプレイヤーは…………』


「えっ……コウキ、何が起こってるんだ…………」



――――――――って感じでした」


 そう言って少年は目の前の冷めたお茶を飲み干します。


 場面は変わりコウキと少年が通う高校の応接室。彼はコウキがデスゲームに囚われたその瞬間に居合わせた関係者として、状況を教師に説明していたのです。


「ああ、悪いな。俺に何ができるわけでもないが、どうしても知っておきたくてな」


 少年と対面しているのは生活指導の教師です。その厳つい顔とガタイに似合ったデカ長というあだ名をつけられ、生徒の悪行を決して見逃さない鬼教師として恐れられています。

 ですが今は言葉通りコウキの身を案じて心を痛めているようです。


「んっ、どうした意外そうな顔して」


「いや、てっきり何バカなことやらかしてんだって叱られるかなって…………」

 少年はコウキとつるんでいることで発生したトラブルの諸々で、この教師に叱責されたのは一度や二度ではありませんでした。


「まあ……そうだな…………俺がなんでデカ長ってあだ名つけられてるか知ってるか?」

「ええと……はい。先生もこの高校出身なんですよね。それで柔道部の朝練で走り込みの最中に放火魔を捕まえたって」


「ああ、近所の神社に放火しようとしてた奴がいてな。あれな……ほんとは夜中に抜け出して雑木林にビニ本探しに来てたんだよな」

「ビニ本って何ですか?」

「そっからか。エロ本のことだよ。コンビニ……は今は売ってないか、本屋もこの辺は無くなっちまったが……せめて存在くらいは知ってるだろ」


「そりゃまあ……えっ、雑木林にあります、そんなの?」


「昔はそういうとこに捨ててあったんだよ。廃品回収にも出しづらいだろああいうのは。だからそこらにこっそり捨てたんだろな。そいつを俺みたいなエロガキが拾いにいくもんだったんだよ」


 そう言って教師は頬をかきながら言います。

「だから、まあコウキのことも一概にどやしつける気にもなれなくてなあ……」



       ***



 デスゲームに囚われた唯一の未成年者、天川洸希アマカワコキの名前と顔はネットを通して全国的に晒されてしまいましたが、意外や世間の反応は温かいものでした。


 なぜなら全ての男はかつて(精神的な意味で)男子中高生だったのですから。


 エッチなコンテンツにこっそりと手を出してバレて大事になる。その渇望と焦燥と羞恥とが、男であれば我が事のように理解できてしまいますよね?

 


 例えばデスゲーム騒動で登録者が激増したさっきーチャンネルにVerSpecsチャンネルランキング300位の座を奪われた、世界的なロックグループのリーダーはテレビインタビューにこう答えます。


「さっきーチャンネル? ああ知ってるよ。多分俺が300万人目のチャンネル登録者だぜ。俺は去年のツアー以来、日本のカワイイガールが大好きなんだ。ああ、だけど俺が本当に応援してるのはあのHIYOKOボーイの方さ。


 なぜってあのHIYOKOボーイは俺だからだ。そうだな、俺が12歳のときに今のメンバーとバンドを結成した話をしたよな。ミドルスクール中学校のホームカミングででかいことやろうって集まったってな。悪いがありゃ嘘っぱちだ。真実はこうだ――――その頃ヤクでパクられた上級生たちがいた。まあ札付きの不良グループだ。遅かったくらいだな。

 だが大事なのはだ、噂が流れたんだ。奴らの根城に10年分のPLAY B◯Yのバックナンバーが置いてあるってな。俺たちは全員揃ってニキビづらの女っ気のないナード共だ。色めきたったよ。ところが場所はスラムに近い昼間っから銃声が止まない危険地帯だ。  

 全員がビビっちまった。だがそれでも立ち上がったのが俺たち4人だ。あの夏の日、精一杯イキった格好で荒廃したビル街に立ち向かった。


 その冒険はいずれ映画になるだろうが、結論から言えば俺たちは手に入れた。ぼろぼろの、ヤニとアルコールにまみれた4冊のPLAY B◯Yをだ。そしてロックをだ。


 いいか、ロックってのは拾い物じゃねえ、てめえで手に入れたブツでマスをかく。その魂を言うんだ。だからな、HIYOKOボーイ。お前はロックだ。さっさとこっちに戻ってきな。そんときは俺の取り分のPLAY B◯Yをプレゼントしようじゃないか」

 

 そう言ってリーダーは指を突き出してビシッと決めました。あいにくとテレビ放映ではカットされましたが。



 とある家庭では。

 若い男が幼い息子の歯を磨きながら、ニュース番組を見ている自分の父親に話かけました。

「いまだから言うけどさ、俺がガキの頃に歯を磨かずによく歯医者に行ってたのって、実はあそこに置いてるT○ L ◯VEᵹが見たかったからなんだよな」


「あそこの先生は絶対狙ってると思うぞ。私の頃はB△ST△RDで釣られていったからな」


 親子はそれぞれの少年時代に少年誌に連載されていたちょっとエッチな漫画のタイトルを口にしました。

 二人は顔を見合わせ苦笑し、膝の上で歯ブラシを咥えながらすでに眠っている幼児に目を移します。この子はもう少し賢いだろうか、でもきっと同じように近所の歯医者に通ってしまうのだろうな、だって自分たちの血を引いているのだから。そう思って可愛い我が子の頭を撫でます。

 そして同じくらいにおバカで愛らしいであろうひよこの無事を祈りました。

 


 SNSなどのネット上では#ひよこチャレンジなるハッシュタグと共に己の性癖を開示したり、思春期の頃のエロスを求めての冒険を語ることがブームになりました。

 皆はコウキへの連帯と応援の気持ちを込めて熱い性癖を、若かりし頃の青い性の想い出を言葉にしていきます。


【攻略委員会応援ロビー #ひよこチャレンジ #俺がひよこだ】_log128


:お前らのエロスの目覚めは何だった?

:俺はやっぱり雑木林で拾ったジャン◯だね

:どっちのか分かんねえよ

:ある意味少年誌の方が歪むよな

:俺は少年の方で91年13号

:いいね

:ほう、やりますな

:通じるの?

:小話愛好家クラブの小話みたいだな

:近頃のひよこ達は雑木林を探索するような苦労を知らぬ軟弱者よ

:逆だろ。あいつらネット環境あるのにちゃんと学生生活送れてるんだぜ。

:ほんまや、現代の中高生は鉄の自制心の持ち主かよ

:たしかに私が学生時代にネット環境あったら朝までフルダイブしてたわな

:俺は漫画禁止されてたから爺ちゃんの時代小説でいけるようになったよ


[コメントが10000に達しました]



   『  ひよこHIYOKO  』


 その言葉が口にされるとき、世界の半分は少しだけ優しさをみせるのでした。


 とはいえ。

 もちろん中にはコウキへの批判の声もあがります。

 

 とあるワイドショーでは、近いうちに政界進出が噂されている人気司会者が自己責任論を口にし、未成年であろうともアダルトコンテンツに手を出した者への多大な労力をかけての救済を批判しました。


 ですが、そこで日頃は司会者に追随するばかりの落ち目のお笑いタレントが声を荒らげて言いました。


「自分よう言うたな! わしかてひよこ少年の頃には日フィルにどう忍び込んでロマンス映画見るかしか考えとらんかったわ! それでも自分みたいに権力で弱小のタレントやらアイドルに手ぇ出すよりマシやろが!」

「なっ、なんの話だか!? 名誉毀損だぞ!」


 あからさまに狼狽する司会者。その後、この一件が元で彼の数々の悪行が暴露されてしまいます。

 さらには実は二ヶ月前に共演したサキに強引に手を出そうとし、コウキに殴られていたこと。その報復に人脈を駆使してサキを芸能界から追放しようとしていたことがあちこちでリークされました。


 彼は政界進出どころか看板番組すら失うはめになりましたが、それはまた別の話。リスナーが触れてもサキは特に関心を示すこともありませんでした。


       ***


 さて、先ほどの少年が教室に戻ると、下級生がコウキの机のそばに立っていました。

「おう、どうした?」

「あっ、先輩。これ、コウキさんに渡したくて。僕、こないだ街でDQNにオタク狩りされてたときに助けてもらったんでそのお礼です」


 そう言って下級生が差し出してきたのは漫画本。タイトルは『2。5次元の誘惑』です。

 こちらも某WEBマンガ誌で発表された作品で、単行本がやはり数百万部以上売れている人気作品。

 題材になるのは2.5次元コスプレ

 マンガやアニメのキャラクター、その中でもセクシーなキャラに扮するコスプレイヤーになろうとする少女と、彼女の抱く夢を応援することになった少年の物語。

 どう考えても美少女がエッチなキャラにお着替えするシーンを堪能するマンガと思いますし、読者もそう期待して始まった作品ですが、意外や描かれるのは熱いストーリー。

 外から見ればただ楽しむためにだけに行われているコスプレですが、であればこそ3次元に生きる彼女たちは現実の諸問題に直面したときに突きつけられます。なぜいま自分がそのキャラクターを纏うのか、そのコスプレという行為にどんな意味があるかを。

 その問いに主人公が共に悩み、あるいは先輩レイヤーの助言を受け、プロの世界を覗き、表現の技術の高みを学び、同じ思いを持つ者とぶつかって語り合い…………そうして少女たちは掴んでいきます。自分が成りたいキャラクターと理由、実現するための道筋。つまり努力と友情と勝利。


 そう、そこにあるのは野球やサッカーをテーマにするのと同じ、熱血青春部活動マンガであったのです。 

 もちろんそれはそれとして巻を重ねるごとに美少女や30代美少女が続々と登場していくインフレーションぶりはこれぞまさに少年マンガというもの。

 こちらも2024年にアニメ化し、当然爆発的大ヒットとなっていました。


 下級生は街で助けられたときにまさにこの作品のグッズを購入しているところでした。その縁でコウキもこの作品を好きなことと、特に一押しのヒロインを教えられました。そこで自身が持つ店舗特典のイラストカード付きの一冊をプレゼントしようとしていたのです。


「じゃあそこに入れときゃ後で俺がまとめて届けてくるから」


 コウキの机にはダンボールが置かれていて、彼が喜びそうなエロスなコンテンツがいくつも寄贈されていました。この下級生のようにコウキへの応援や感謝として、オススメの一品をもちよってきていたのです。

 男同士の友情の現れといえましょう。


「ちっ」

 二人がそんなやりとりをしていると、コウキの隣の席に座っていたギャルが彼らを睨みつけ舌打ちします。


「ほんと、マジキモいわ」

 ギャルは心無い言葉を吐き捨てました。


「ええっ、そんなっ!?」

「はあ? なんだよいきなり。コウキの悪口は許さねえぞ!」


「ちげーよ。そっちに言ってんだよ。コウキが危ないってのに何ふざけてんだよ!  あいつ大人しくしろって言ってるのにモンスターと戦うし……それになんかよく分かんないことやってるしさ……」


 違いました。ギャルは本当は聖なる心の持ち主でした。滲む瞳の涙にギャルの優しさが溢れ出しています。


「いや、でもコウキ先輩つよいから大丈夫なんじゃ……DQNとか5人いたのにあっさり倒しちゃってましたもん」


「だよな。体育とか普通にバスケ部に勝ったりするもんな。それにあの姉ちゃんがついてんだからどうにでもするって」


「現実が強くったって意味ないだろ! ゲームん中じゃコウキがボコボコになってんだよ!」


 彼女が突き出してきたスマホ。そこに映し出されていたものは――――



       ***


 ココスタウンの中央広場。

 ここは中心がステージ状になっており、特殊な結界が張ってあるという設定がされています。

 タウン内では一部イベントの進行中を除いて他者からの攻撃を受けてもダメージを負いませんし、攻撃魔法は発動しませんが、この結界内部ではスキルや武器や魔法などあらゆる攻撃行動が有効となります。

 攻撃を受ければHPも減ります。


 つまりプレイヤー同士の練習試合を行ったり、公開処刑イベントを開催して楽しむことができるわけです。


 もちろんここでの試合やエロスな拷問等でHPが0になってもデスゲームにおいての死亡判定にはなりません。それは最初に主催者が明言していました。これはシステムで用意された機能ですので、戦いが終われば瞬時にHPもMPも回復する仕様です。


 そのステージ上でコウキと爆●大好き侍(以後は爆丸と呼ばれることになります)との模擬戦が行われていました。


「オラあッ!」 

 見た目通りのパワーファイターである爆丸の大剣の振り回し。


「今ッ!」

 横薙ぎの剣をかいくぐって大男の懐に入ろうとしたコウキでしたが、

「インバース・ブレード!」


 爆丸のスキルの発動により、現実にはあり得ない慣性を無視した速度で切り返された大剣が迫ります。咄嗟に身体を捻って片手剣で受けようとしたコウキですが、一瞬間に合わずに剣を握った右腕ごと切り飛ばされました。


「がああッ!」

 

 まるで現実に片手を切られたかのように腕を押さえて膝をついたコウキ。


「フンッ!」

 その隙を見逃さずに爆丸のヤクザキックが炸裂。HPゲージを0にすると共に大きく飛ばされたコウキはステージから転がり落ちました。その瞬間にステージに浮かぶ【KO】の文字。


 爆丸は剣を鞘に治めるとため息とつきます。

「これで俺の10戦10勝。もう分かっただろうが。俺が7、お前が3。このレベル差はどう動こうと覆らん」


「もう一回お願いします!」

 彼の目の前にはすでにステージに復帰したコウキの姿。


 爆丸は首を振り眼の前に浮かぶウィンドウに触れます。『再戦しますか』の文字の下、いいえのアイコンを押しました。


「ダメだ。リアルとの連絡分の報酬で付き合ったがこれ以上は意味がない。まずはスキルをまともに使えるようにしろ。思念スイッチが効かせられないのなら発声コマンドを併用させりゃあいい。それとさっさとレベルを上げるんだな。

 ああ、言っとくが間違っても西の森にはいくなよ。あそこは経験値吐くわりに足ののろいスライムばかりで一見すると狩り場に思えるが、袋小路が多い。行き止まりにスライムが複数出て分裂でもされればそれだけで詰みだ。初心者殺しなんだよ」


 最後にそんなアドバイスを残して爆丸はステージを後にしました。


 残されたコウキの所にサキが近づきます。


「どうよ、手応えは?」

「うん、やっぱり対人戦は経験値がたまる」

 コウキが復活した右手をぎゅっと握りました。


「それじゃプランはそのままで?」

「うん、お姉をトップアイドルにする。予定通り第一歩だ」


「OK、それじゃあ近々ぶちかましてやりますか」


 そう言って二人は改めてココスタウンを出ていきます。向かうのは西です。

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