百人一首

「あやめっち、こんばんはー!あっ?もしかして今日は国語の宿題やってはるの?国語は、うちの得意分野なんやでー!わからへんことは、なんでも聞いてなー!言うても、最近のよりも得意なのは、あくまでも古文やけどなっ!良かったな~!部屋に、うちみたいな人おって!いろいろ聞けて勉強になるやろっ?」


SE//ページをパラリとめくる音


「あーっ!百人一首やー!うわーっ、うちのお師匠さんのも読んでくれてはるのー?...って、いや、今のは、なんでもない...気にせんとってな!勝手にお師匠さんって自分で思ってるだけやから...」


「やっぱ、みんな、ええの詠んではるなー!ええなー、百人一首!あんたも好きなん?えーっ!そうなんや!好きなんや!嬉しいわー!うちも百人一首めっちゃ好きやから...ちなみに、百人一首の中で、いちばん好きなん、どれ?」


「えーっ!『なにはがた~』って?ほんまに?いちばん好きなん、それなん?うわっ!うちも...いちばんくらいに好きなん、それかもなー!うわーっ、めっちゃ嬉しい!」


「『なにはがた~』って、詠んだの誰か知ってる?...えっ?伊勢さん?...当たり!そうやでー!ええやろー!この『なにはがた~』」


「えっ?うちも『イセっち』やろ?って...そやねん!うちのお師匠さんの名前を勝手に名乗ってるんやけどな...あっ!思わず言ってもた!...もうえっか...うちも、お師匠さんのこと、めっちゃ好きやねん!つまりな、うちのお師匠さんは伊勢さんやねんっ!...言うても、ほんまにお師匠さんかって言ったら、まあ、ほんま言うと、勝手にそう思ってるだけなんやろけどもなっ」


「『どないやねん』って、そんなに、おこらんとってな!えっ?あっ、おこってない?そんなら良かった。えっ?気持ちわかるって?好きな推しの人のことをお師匠さんやって勝手に思ってしまう気持ち?あっ、ほんまに?わかるってくれるん?うわっ、めっちゃ嬉しい」


「あんたも、百人一首とか伊勢さんのこととか好きで、ほんま嬉しいわ~!うちのことも、ぜんぜん驚かへんし!...ちゃんと、話を聞いてくれてはるもんなっ!声だけやのにな...」


「へぇー、美術とか国語とか好きなんや?うちも!うちといっしょやなー!あとは?音楽とか体育?...あはは、ほんまそれなー!やっぱ、うちと似てはるわ!もしかして、ほんまに生まれかわりなんかな?...知らんけど」


「でも、生まれかわりどうしの子で、こうやって話をしたりするのって、ほんまにあるんやろか?どうなんやろなー?だいたい、千百年前の子の声だけ聞いてるのって、よう考えたら、めっちゃフシギちゃう?えっ?そうでもないん?そんなこともあったりするかもねって?うわっ!そんなふうに思ってくれてるんや!ありがとう!嬉しいわっ」


「ほな、またなー!バイバイ」

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