ノンアルにまかせて
ショウ宅、3月3日。
出しっぱなしの炬燵。
炬燵であぐらかくミヒロ、24歳。
台所から歩いてくるショウ、24歳。
ミヒロ「ねー知ってる?」(コップを置いて)
ショウ「なにがすか?」(炬燵にたどり着きミヒロの前に座る)
ミヒロ「この世界に蟻って二兆匹くらいいるらしいよ」
ショウ「へーそうなんすか」(言い終わってからコップの水を飲む)
ミヒロ「全然興味ないじゃん、もう一本開けちゃお」
(笑いながら立ち上がって台所の方へ)
ショウ「ちょっと、飲み過ぎじゃないですか?」(ミヒロを目で追う)
ミヒロ「ノンアルだから大丈夫」(缶ビールを掲げて、ショウを見る)
ショウ「てか、そもそもお酒強いんでしたっけ?」(コップを手にして言う)
ミヒロ「まあまあじゃん?」(炬燵に戻ってきながら)
ショウ「そっすか」(コップを机に置いて)
ミヒロ「いやーでも、ショウが来てくれて助かったわぁ」(あくまで独り言の様に)
ショウ「ならよかったです」(一応ミヒロを見る)
ミヒロ「私もさ、失恋したらそれなりに落ち込むわけよ。買った本棚組み立てられな
いくらいには」(ショウを見て、目が合う)
ショウ「いやそれは関係な…あるんでしょうね、きっと」
(目が合って言葉を変える)
ミヒロ「あるよ」(ゆっくり言う)
ショウ「でもそれにしてもなんで僕なんですか?LINEしたのも1年ぶりくらいですよね?」(言った後水を飲み干す)
ミヒロ「でもね、それはほんとに偶然」(ノンアルビール飲みながら)
ショウ「偶然?」(一応聞く)
ミヒロ「うん」(ノンアルビールを机に置く)
ショウ「どういうことですか?」(炬燵ポジ変えつつ)
ミヒロ「それはいいじゃん」(ショウを仰ぐような手で)
ショウ「まあ、たしかに、そうですね」(ミヒロから目をそらして)
ミヒロ「私、小学生くらいの頃からわりとショウのこと好きだったよ」
(ビール片手にショウを見る)
ショウ「え?」(ミヒロを見て。目が合う)
ミヒロ「いやショウさ、嫌われてるまでいかないけど、万人に好かれてるって感じはなかったでしょ?失礼だけど」(言い終わってノンアルを一口)
ショウ「まあね、たぶん普通に嫌われてましたよ」(ほほえみながら)
ミヒロ「ちょっと怖いとか、ヤンキーっぽいみたいなこと言ってた友達もいたけど私はそんな風に思ったことないもん」(続けて一口)
ショウ「あのころトガッてて、怒りっぽかったていうのも事実ですけどね」
(一応目をそらして)
ミヒロ「どんどん前出て行ってたイメージある」(まだショウを見ながら)
ショウ「そうそう、先生がなんか言ったらすぐ『やります!』って」
(ミヒロを見て目が合う)
ミヒロ「よく働いてたね」(笑って、言い終わったら一口)
ショウ「蟻の話ですか?」(目は合ったまま)
ミヒロ「ちがうよ」(なぜか真面目なトーンで)
ショウ「ですよねー、ビール飲みません?」(炬燵を出て、立ち上がりながら)
ミヒロ「飲むー」(ショウを目で追いつつ)
ショウ「ノンアルですか?」(その場で立ったまま)
ミヒロ「どうしよ、飲もうかな」(独り言の感じで)
ショウ「もし酔い潰れたりしたら、俺助けますよ」(一回しゃがんで)
ミヒロ「じゃあ飲む、ありがと」(笑顔で)
ショウ「じゃあ取ってくる」(台所へ向かう)
〜終〜
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