第61話 ホラー転送陣

 魔石が71個。瑠璃大蝶の鱗粉が35個。


 全く魅力の無い戦利品ね。鱗粉が入ってる瓶は可愛いけど、中身をどうするかが問題なのよ…。


「バンディエル、魔石はいる?」

「あ〜〜〜…今はいい。しかし凄え数だな。」

「本当よ!もし、あんな集団に集られたらと思うと、鳥肌が立つわ!」


 まだセイフティーエリアも見付けられないし。

 

 地図上の未踏破部分を塗り潰すべく歩いても、見つけるのは魔物ばかりなり…ってね。


「今度は何かしら?動きは無いわね…。『遠見』」


 『遠見』を使って見た先には、色鮮やかな黄色カエル。顔はアマガエルみたいで可愛いけど……。




猛毒カエル


レベル 60


体力 561/561

魔力 233 /233


魔術 毒纏 逃走

 



「あら……猛毒を持ってるけど、思ったよりは攻撃的な魔物じゃなかったわ。」

「自己防衛用だろう。触れたら終わりだろうがな。」

「バンディエルが魔石を欲しいなら倒すわよ?」

「アレはいいや。」


 と、言う事でカエルは放置が決まり。魔石は兎も角、猛毒瓶とかを貰っても本当に困るもの。


 その先も暫くは、カエルゾーンだった。色違いで、赤や青、宝石みたいに綺麗なカエルもいたわ。

 漏れなく猛毒持ちだったけども。


「襲われないだけで、ストレスフリーになれるなんて、私も慣れて来たわね…。」

「だからって油断はするなよ?」

「そうね。………木の上にまた何かいるわ。カエルじゃ無さそう。『遠見』」


 ………木の太い枝に巻き付いてるのは…ヘビだわ。ねえ、その枝より太く見えるのは、私の気の所為じゃないわよね?




ツリー大蛇


レベル 62


体力 597/597

魔力 259 /259


魔術 巻き付き 噛み付き 丸呑み




「これは放置は出来無いわね。倒そう。」


 ライフルで頭に狙いを付け一発。着弾の勢いに弾かれて、木の上で宙ぶらりんになった所をもう一撃。


「2発で倒せた…良かったわ…。」

「あれだけデカくても、身動きしないと倒しやすそうだな。」

「そうね〜。大きいって事は、その分狙いを付けやすくなるもの。しかも不動ならただの的よね。………ああ、やっぱりヘビの皮。レッドリストに入ってたら、捕まりそうな皮がまた増えたわ。」


 ダンジョンで得た物だから、気にしてもしょうが無いけど、ニシキヘビみたいな柄の皮を貰っても…。


「ジャングルって楽しく無いわ。こうなったら、もう次の階層で良いから移動したい。」

「簡単に言うなよ!もし、階層ボスが強かったら次は行かねぇぞ?!」

「あ!忘れてたわ。そうよね……ボスがいるんだった。」


 しかも、ここのボスとか嫌な予感がするし。


 ヘビを倒しつつ地道な地図埋めをして、この階層初めての変化が見えた!


「バンディエル!地図に黒いマークがあるの!」

「え?………なんだ…コレ。」

「バンディエルも分らない?なら、近くまで行って確認してみるわ。」

「慎重に行けよ?絶対に距離を空けて確認しろよ?」


 そうね……以前あったダンジョンの階段とは異なって、星型の様な……それとも五芒星?

 とにかく、地図では初めて見る黒いマーク。


 宝の場所ですよ!だったら素敵なのに。


 そして、黒いマークがされている地点が目視出来る場所まで来た。『遠見』では、特に何も無い場所で、木が何も生えておらず、ポカンと開いた場所だった。


「……どう思う?」

「罠の匂いしかしない。」

「そうよね……。あ、少し待って。」


 索敵に掛かっていた魔物が近付いて来た。…猿だわ。ちょっと私の代わりになって貰おうかしら。


 動きが取れなくなる程度の攻撃で捕まえて、ヘビ皮に包んだら、空白地帯へ放り投げた。


 すると、地面がその瞬間光り、ヘビ皮に包まれた猿は消え去った。


「…!魔法陣!!転送の罠だ!!どこに飛ばされるかも分からねぇぞ!」

「やっぱり罠だったのね。……それよりもバンディエル。あの怪しい場所がね、こっちに近付いて来てるみたいなの。もう、このダンジョン出ない?」

「!!賛成だ、とっとと出よう!」


 少しづつ距離を詰めて来る怪しい魔法陣は、その通った場所にある物を全て消し去り、近付いて来る。


 うん。ホラーだわ。

 

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