第58話 お休みの計画

「これで……ラスト!!」

「はい、お疲れ〜〜!」


 スナイパーライフルで見付けた順に狩っていたから、魔石は至る所に点在し、取りに行くのも一苦労だった。本当にてんでんばらばら……。


「疲れたわ!!本当に疲れた!!」

「まだ元気じゃねぇか?」

「カラ元気よ!!」

「なら、もう休めば良いだろう?本当はセイフティーエリアまで行った方が良いが、あのテントと今のお前のレベルなら大丈夫だろう。」

「……そんなにレベルが上がったかしら?」




左山葉子(38歳)


レベル56


体力 271 /312

魔力 311 /402


魔術 イメージクリエイション、影潜り、インパクト、遠見、狙撃、硬化、高位索敵



属魔 バンディエル




「凄い上がってるのに、体力が減ってるわ!!私、疲れてます!!!」

「それはさっきも聞いた。だから、テント出してさっさと休め。」

「はぁ…今日こそは焼き肉パーティーしようと思ったのにぃ!」

「他に食うモンあるだろ?それは明日にしろよ?!」


 あの森ヒョウの魔石を数えたら41個もあった!!


 その上、取りに行った先には赤い鳥やカメレオンがいて、それも狩らなきゃいけなくなって…もの凄く時間が掛かったわ…。


 もし、バンディエルの言っていた通り、私の魔力に森ヒョウが誘われて来ているとしたら、何か魔力を偽装したり、誤魔化す手段を講じないと、この先やってられないわよ!


「でも、この階層の半分は、地図埋めが出来たんじゃねぇの?」

「こんなに急ピッチで埋めてどうするのよ……?何とかレベルは追い付いたけど、体力が保たないわ。もう、お休みしたい…。」

「?休めばいいじゃねぇか?」

「休んで良いの?!」

「ダメと言った事はねぇぞ?それに、あのテントならちゃんと休めるだろうしな。」

「明日は休むわ!!!」

 

 そうだわ!今はテントがあるから休めるのよ!

 

 明日は休み!


 嬉しいわ……。そうよね…私、ここに来てまだ一度も休んでいないわ。


 身体が若がえったとしても、無理はダメよ。


 無理って後で…特に年を取ってから、ガタが来る原因になりそうだし。


 わあ………明日は何しよう!


 先ずは、寝坊するわ!心行くまで寝る!

 そうして、起きたらラジオ体操して、お風呂に入ろう!


 手芸もしたいけど、手に入った皮や毛皮では、あまり私の好ましく思う物は作れ無さそうなのよね…。


 だって、赤ウシの牛革に赤い鳥の羽。カメレオンの皮にトドメは森ヒョウの毛皮。


 関西方面のマダムだって、この組み合わせで作った服は着ないと思うわ。もちろん私も着ないし、ここでそんな派手な服を着ていたら、狙って下さいって言ってる様な物よ。


 なら、お料理しようかしら?


 オーブンレンジがあるんだもの……材料が乏しいけど、作り置きのご飯やお菓子を作りたいわね。


 ローストビーフとか、ウサギのお肉も多いから煮込み料理もいいわ…。


 胡桃を粉砕して小麦粉と混ぜて、リンゴと桃を入れたお菓子を作ろう!

 卵も牛乳も無いから、フルーツとハチミツをしっかり生地に練り込んで焼けば何とかなりそうよね?


 テントを出して中に入りながら、休みにしたい事を色々考えていた。


「おい!さっさと風呂入って寝ろ!あ!その前に魔石の箱をくれ!」

「はーい。お先に失礼するわ〜。」


 蜂の巣を解体しようかしら…。ダメだわ。

 ハチミツを入れる容れ物が無い。


 それにバスソルトにしてもアロマキャンドルにしても、何のオイルも無いし、ハーブもまだ何も無いのよね。


 やっぱり街でもう少し買い物をしたいわ。


 最初の町は小さくて、あまり買いたい物も少なかったし、最低限の材料だけを手に入れた感じだ。


 それにこの二層目では、まだ有用な物が手に入っていない。


 お休み明けは、地図を埋めつつセイフティーエリアの探索ね。また『実のなる木』があったら嬉しいな。


 お湯を張った湯船に身を沈めると、疲れが滲み出ていく様……。


 はぁ………やっぱりお風呂はいいわ……。寝ない様に……気を付けないとね……。

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