第37話 街へ

 ふう…。だいぶ進んだわよね。

 洞窟……いえ、ダンジョンだった。

 そこから出て、街道近くの森を歩いているんだけど……。


 鹿とか猪がちょっと弱く感じてしまうのは、私のレベルが上がったせいかしら?


 いえ、下を見ては駄目!

 驕れる者は久しからずよ!気を付けましょう。

 もっと、レベルの高い魔物を見て来たんだから。


「ねえ、バンディエル。街に着いたら探してみるつもりだけど、あなたは何か必要な物とか欲しい物はある?」

「俺はねぇよ。お前の必要なモンを買えばいい。ただ、目立つ様な買い方はするなよ?」

「分かったわ!珍しい物があっても爆買いはしない!」


 でも、私が持っている魔物の皮とか牙とかが幾らで売れるかによっては、爆買いどころか買い物に支障が出るかもしれないし…。


 せめて、あの立派なハイ◯ース猪の牙は、高額買取りしてもらいたいわ。

 この辺りは交渉が必要になってくる可能性が大きいわね。


 私、あまり値交渉とか得意じゃないけど、そうも言ってられないし。


「おい、先の方に街の外壁が見えて来たぞ!」

「え?………わあ!本当だわ!人類が居そうな感じがする!私、生活環境が激変し過ぎて、忘れかけてたけどこれが普通なのよね…。文明バンザイ!」

「お前の言う人類が、お前と同じ姿形のやつ等を示しているなら、まだ約束は出来ねぇよ?違う種族の街かもしれねぇし。」

「ええ?!違う種族って何?」


 人種の違いじゃなくて、種族がちがうの?!何がいるか想像もつかないわ!

 挨拶とかにも作法があるなら、NGワードを教えて欲しい!あと!駄目なゼスチャーとかも!


「何かやっては駄目な事とかある?気を付ける事も教えて欲しいの!」

「そうだな……………お前の場合は舐められねぇ様にだけ気を付けろ。あとは調子に乗るな。それぐらいかな?他は特に無い。」

「え?本当??なら、舐められ無い様に気を付けるけど…大丈夫かしら?」


 諸外国では、やってはいけないハンドサインも多いと言うのに、種族が違うのに本当に何も無いの?!

 

「心配だわ……。街に行ったら少し聞いてみようかしら。」

「アホが……絶対に止めろよ!そんなの“私は何も知りません!”って吹聴して回る様なもんだろが!!相手の言ってる事の真偽も確かめられないのに、聞いてどうする?!それにお前は、聞いたヤツが真実を話すとでも思ってんのか?!バカだろ!!」

「何で嘘を教える前提なの?!」

「他人には、お前に真実を教えてやる義理も益も無いからだよ!!そんなのは追々掴んで行け!失敗したってここに留まる訳でもねぇんだから!」


 た、確かにそうだけど……。何だか世知辛いわ…。


 みんながそんな意地の悪い事をするとは限らないと思う………あ、違うわ。思いたいのね。


 でもここに来て、いきなり弓矢で射られたし、しかも子供を攫って売る様なヤツ等だったわ。次に会ったヤツ等は私の獲物を捕ろうとしたし(怒)!


 そうか……そうよね。ここ日本じゃないんだった。


 気を付けても過ぎる事は無いわね。


 もうすぐ街に到着よ。気を引き締めて行きましょう!舐められない様にね!

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