第34話 その壁を壊すのは葉子
「あら?あらら??……おかしいわねぇ……。ちゃんと小部屋も道も全部確認したと思ったけど……他に何かあったのかしら?……行き止まりだわ。」
あれから4〜5時間は頑張ったのよ?クモとかムカデとかコウモリとかを漏れなく倒したからね!
そう言えば石の人形みたいな魔物?も出て来たわ。大雑把な造形だから、人形って言うよりもモアイ像の方が近いかしら?
バンディエルに聞いていたから、強いボスとか扉の付いた部屋を警戒していたけれど、行き止まりになるなんて……どうしよう。
……時間的に、もうそろそろバンディエルを呼んでもいいかしら?
でも、バンディエルの休憩が私の睡眠と同じなら、ショートスリーパーでも無い限り、もう少し休んで貰わないと寝不足になっちゃうわよね…。
やっぱりもう少し探してみよう。
「何か探索する方法はないかしら?」
私が見落としているだけなら、もう一度見直せば済むけれど、もし隠されていたり、スイッチみたいな開閉装置があるなら、その取っ掛りだけでも欲しい。
「先ずはこの部屋から始めましょう。」
行き止まりの四角い部屋をマップを見直しながら壁・床・天井と見て回る。
「……あら?ここだけ少し部屋の奥行きが浅いわ。」
行き止まりの部屋に入って左側の壁が、他よりも少しだけ奥行きが浅い。
「う〜〜ん。でもこの程度じゃ道では無いわね。何かあるとしたら、やっぱりドアが隠されている可能性かしら。」
恐る恐る触ってみたけど、普通にゴツゴツした壁の感触。スッと手がすり抜けるパターンを期待していたのに……残念だわ。
「あと可能性があるとしたら…開ける為の合言葉とかかしら?なら先ずはこれよね!『開けゴマ!』………む、違うか。」
それ以外にも開閉の合言葉を何個か言ってみたけど、どれも反応は無かった。
それともまさかの力技?私に壁を掘削しろとでも?
でもバンディエルが、ダンジョンの構造物は破壊不可と言ってたのよね。でもこれがただの石積の壁で、ダンジョンの壁認識じゃなかったら壊せるかもしれない。
で、万が一にも本物のダンジョンの壁がその奥にあったって、そっちは壊せないから大丈夫!
「1つずつ怪しい場所を潰して行こう!真実は1つ!のはず!」
では、さっきモアイを倒す時に使った掘削機で試そう。でも今回は壁だから……穴が開いたら“発破”ね!
本当に魔術って便利よね〜。
もちろん魔力を使うからタダとは行かないけど、工事現場の掘削機をイメージしてモアイに向けたら、ドドドドドドッと凄い音をさせて砕く事も出来るんだから。
まず先にノロノロでも近寄って来れない様に足を砕き、倒れた所で頭を砕くとモアイは魔石に変わった。
途中で通路を塞いで、通せんぼでもするかの様にモアイ達が立ちはだかって来た時も、同じ様に倒せたしね。
フフフッ!
実はその時もモアイが結構な数でいて、倒し終わった後で『また魔石拾い!!』って辟易した時に閃いたのよ!
これも魔術でやろう!ってね!
吸い込み系ならアレしかない!
吸引力が売りのダイ◯ン!!
魔力に余裕もあったし、早速試してみたわ。
もうね、何で私は水まんじゅうの魔石拾いの時に思い付かなかったのかしら?!って、自分を叱責するくらいに、アッという間に魔石集めが完了!
変わらない吸引力最高よ!!(魔力の続く限り)
………よしよし!壁に穴が開いたわ!これは崩せる予感がする!
次は発破ね。破片とかが飛散るでしょうから、距離を取って防御魔法を掛けてから行くわよ!
「3・2・1、発破!!」
ドオオオオン!!と、激しい破砕音と共に舞い上がった砂埃。
これは壊れたでしょ?!砂埃が落ち着いたのを確認し、壁に近寄って行くと、壊された壁が瓦礫の様に床に散らばり、その奥から扉が現れた!
「やったわ!!扉発見!!」
ミッションコンプリートよ!
流石に扉が出たら必ず呼べと言われて、呼ばない訳にはいかない。
バンディエルに確認してもらいましょう!
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