第29話 歩み寄り
「バンディエル、ごめんなさい。」
「……そうだな。あんなフザケた真似はもう二度とすんな。……リポップはな、基本、同種・同数・同レベルの魔物が湧くことが多い。だが、さっきの様な大幅な上位レベルの魔物がリポップされたのを見ると、以前ここのダンジョンに入ったヤツが、再三リポップさせてミミックを倒していたんだろう。お前が倒したのは、その弱いレベルの最後の一体だ。次からは、あの魔物と同レベルかそれ以上が湧いて出るだろうからな。」
「なら、私の前の人がツイてたって事なのね。」
「そりゃお前だってそうしただろう?次に来たヤツは、最初からあのデカイ魔物を倒さなきゃドロップ1つ手に入らないんだから。」
確かに。あの大きいサイズの魔物でさえ、倒したら何が手に入るのかしら?って頭をよぎったもの。
もし、同じ魔物が出たら、確実に倒すわね。
「あそこの様に退避可能な出入り口があるなら、果敢に挑むヤツもいるだろうが、もし、今後行った先に扉が付いている入り口があった場合は、絶対に迂闊に入るなよ?!」
「どうして?無理なら出ればいいんじゃないの?」
「中にいる魔物を全て倒さないと、開かない仕組みの扉もあるからだよ!倒せりゃいいさ、倒せりゃな…。だが、さっきの様な魔物やダンジョンに入った時の様に多勢の可能性もあるんだ!そうなったら、お前はそこまでで、その扉が次に開くのはお前が死んあとだよ。」
「……死んだ後……………。」
何て恐ろしい機能の自動ドアなの………。これ以上ダンジョンを進むのマズいんじゃ……。
不意にさっきのコンテナミミックみたいな魔物と遭遇したら、生す術も無く吸い込まれてアウトもあり得る。
でも……でも弱いまま逃げては、生き長らえる事すらここでは危うい。リスク無く成長は出来ない仕様になっているのね。
はあ…。ハイリスク・ハイリターンなんて、まるでギャンブルだわ。
それにさっきのは、本当に危機一髪だった……。そんなのは黒ひげだけで間に合ってる!
今後はバンディエルの話を良く聞いて、気を付けよう。
ただ、この世界や彼の当たり前が、私にはまだ全然馴染みの無いことばかりだ。1つずつでも覚えていかないと。
今回はリポップを覚えたし、ダンジョンにはセーフティーエリアなる場所もあるって話だから、出来るだけ場所の把握には努めないとね!
「バンディエル、次はもう1つの道を行くけど良いわよね?」
「……少しは反省したのか、成長したのか…。さっきは聞きもせずに、適当に道を選んだろ?」
「反省をしました。今後は、バンディエルの意見も聞く様にします。あ!勿論、何でも言う通りにするとは言ってないからね?場合によっては飲めない意見もある事を申し添え致します。」
「お前は〜〜!!!」
そんなの当たり前じゃない!でも、一蓮托生ならば会話は必要だし、いがみ合う様な関係にはなりたくない。
だったら、お互いの意見の擦り合わせや妥協点を見出す為に、打ち合わせや相談をしなきゃ駄目よね?
「これからもヨロシク!」
「今更かよ?!おせーーわ!!!」
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