第28話 リポップ
「おい!!!」
あ〜〜!何てピッタリフィットな履き心地!!これならどんなに歩いたって、靴擦れも、外反母趾も全く心配無いわね!
仕事してる時に履いてたヒールに欲しかった機能だわぁ。
「おい!!バカ女!!!」
こんな無骨なデザインなのに、軽いし〜ゴツゴツした地面でも衝撃が無いし〜それに全然滑らない!
山歩き用の物凄く〜高いシューズでもこうは行かないはず!変な魔物からドロップされた物でも、履かずにはいられない!素的だわ!マジックブーツ!!
「い・い・加・減・に!しろーーー!バカ女!!」
「ああっ!痛い!!バンディエル!!梅干し反対!!話せば分かり合えるはずよ!!!」
「その話を聞かねぇバカはどいつだよ!!」
「ご、ごめんなさい!!だって、このブーツが凄いんだもの!楽しくて!」
またやってしまった!あの合わない靴から開放された上に、快適な履き心地に夢中になっちゃった!
バンディエルもすぐに怒らないで、5分くらい放って置いてくれれば、自然と落ち着くのに…。
「お前!ここがまだダンジョンの中だって分かってんのか?!いいか?その浮かれた頭をぶっ飛ばされたく無かったらちゃんと聞け!ダンジョンにはなぁ、リポップがあんだよ!!それなのに、アホが何時までも同じ所に留まりやがって!!」
「リポップ…?」
Jポップみたいに、リトアニアポップとかリビアポップとかかしら?でも、“
まさかこの世界で、何かが再評価されたの?
でも、ダンジョンにあるって言うなら違う事よね?
「知らねぇなら、余計な頭を使ってねぇで聞けよボケが!とにかく先にこの部屋を出ろ!!話も説明も全部それからだ!」
「わ、分かったわよ〜。」
バンディエルに急かされ、ミミックのいた部屋を出ると、背後でドスンッ!と重量物が落ちて来た様な音と振動が響いた。
びっくりして振り返ると、部屋の中央にコンテナサイズの宝箱が鎮座していた。
「良かった………。間一髪だったぜ…………。」
「……何かまた大きな宝箱が出たわね?色々詰まっていそうだわ!」
「このぉぉぉ〜!!!お気楽バカ女!!!あの魔物を調べてみろや!!」
「調べる?……野菜みたいに調べればいいの?」
グロスイーターミミック
レベル216
体力 4218 /4218
魔力 3567/3567
特技 吸い込み
「!!!!!」
「……分かったか?お前がさっき倒したミミックは、赤ん坊みたいなもんだ。今そこに出ているヤツだって中堅以下。勿論、強い魔物を倒せばその見返りは大きいが、同様に危険性も大幅に上がる。そんなのバカでも…………分かるよな?!」
「(コクコクコク!!)」
私だって、あのレベルと体力と魔力を見た上で、無謀な挑戦をするほどの愚か者ではないわよ!
「………リポップって……まさか………。」
「お察の通り、倒した魔物が再び現れる事を言っている。その間隔は様々だが、早ければさっきの様な短さで湧いて来る。…………だから普通は、セーフティーエリア以外でチンタラしねぇんだよ!!」
「セーフティーエリアなんてあるの?!」
「絶対にあるって訳でもねぇぞ?!ダンジョンにも依るからな?!」
バンディエルは、そう話をしながらも来た道を戻って行く。そうして、二岐に別れた分岐点まで戻ると、後ろを振り返って私を見た。
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