第8話 大草原には家が無い
目標にしていた木に到着した。
もう夕方だけどね。
改めて周りを見回す。
すでに火点し頃。
街の灯りや人工的な灯りが無いか探す。
「………見事に何も無いね。」
吹き抜ける風が無情に身体を冷す。
「しょうがない。今日はここまでだな。」
先ずは、自分の浄化をすませ、ホコリと汗っぽさを取る。
これが出来なかったら、もっと辛かったろうな…。
続いて初の試み。壁を造る。
この吹きっさらしでは、夜は過ごせないからね。
「強固な壁よ立て!」
イメージとしては、高さ1m長さ2mの壁。約畳1枚分サイズ。
それをL字に。
先ずは成功。寝る迄はこれでいいや。
さっき倒したチビウサギが3羽いるので解体しましょう。
そして、壁が造れるなら穴も掘れるよね?!
「直径30 cm深さ1mの穴を掘れ!」
うん。出来たわ。魔法便利ね〜。
内臓を抜き、ガラス玉と分けておく。
血抜きが出来ていないので、今回は血抜きも魔法で挑戦。
「血液よ抜けろ!」
抜けたは抜けたかが、量が少ないな。
“液”の指定が駄目だった可能性を考え再度「血を全て除け!」と、唱えた。
多分これで、凝固した血も取れたはず。
皮を剝ぎ、角を取り洗浄を掛ける。
昨夜スモークで使った石の板を用意し、魔法で竈門を作る。
燃料は、ウッドチップが軽くて優秀だったので、休憩中に作り置きしておいたものだ。
今回はスモークする余裕がないので、部位毎に切って全て焼く。
ハーブもローズマリー(仮)しかなくなった。
「今度は大草原を脱出ですか〜。」
肉を焼きながらボヤく。
「第一村人はどこ〜?」
箸で肉を裏返す。
森の木で作った長めの菜箸をもて遊び、焼けるのを待つ。
「このカッコでウロウロするのも嫌だな〜。」
綺麗に保てていたとしてもパジャマはパジャマだ。
着替えたい欲求が高まっていた。
「……ん!チビの方はさっぱり鶏肉に近いな。」
焼けたお肉から順次食べて行く。
そしてドンドン焼く。
「明日はどこまで行けるかなぁ。」
周りは既に闇に包まれている。さっさと食べて、残りは冷ましたあとに魔法で水分を抜いた。
試しに少しむしって食べてみたら、珍味みたいな仕上がりになっていた。
止まらない系の味!(超薄味)
片付けをしたあと、足をマッサージして寝床の作成に移る。
風避けの内側に、長さ2m、巾1m、高さ60cmの形状の箱を造り、武器と保存食を持って中に入って行く。
極小さな空気穴を複数付けて、中から再度、強固になる魔法を掛ける。
もし、外から人が見たら棺だね。
閉所恐怖症じゃなくて良かったわ。
おやすみなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます