第2話 とにかく脱出! デカ蜘蛛との遭遇

先ずはこの足元だ。

素足に決まってるでしょ?!寝てたんだもん!


しかも、運動嫌いの軟い足裏。

このまま素足で歩き続けたらどうなるかなんて、考えなくても分かるわよ!


パジャマの上衣を脱ぎ、両袖を千切り取る。

音が響いてビクビク。

洞窟って反響音エグいわ!


縫い合わせの所から何とか外し、袖口に足首が来るように履いて、爪先で折り、足裏から袖口部分まで持って来て袖のゴムで固定。


無いよりマシ程度にはなった。

歩いても音がしないのは良い。ただ、何時迄保つかが心配。


8帖程のこの場所には、代わりに使える様な物は何もない。ただのがらんとした洞窟。こぶし大の石が多少転がっているだけだ。


とりあえず、その転がっている石をパジャマのポケットに3つ入れ、両手に1個づつ持ち、唯一、口を開けている暗闇の方へ進む。


怖いけど、行くしか道はない……。

ちょー怖いけど!


しばらく真っ直ぐの道を行くと、カサカサと軽く擦れる音が聞こえて来た。


立ち止まって様子を見る。何かが床で動いてる。

いったい何………?


嘘!……蜘蛛だ!デカい!!デカ過ぎる!!!

大人の頭に足を付けた位の見たことないフザけたサイズ!!


色味も黒色ベースに紫って、毒々しい……って、毒持ちかもしれないじゃん!

近付かれる前にやっつけたい!


1匹だけだし、頑張れ自分!

右手に持った石を握り直し、デカ蜘蛛に向かって投げる!あぁ外した!こっち来んな!


もう一投!当たった!!よし足止!

更にもう一投!目玉に当たった!

ヤッバ!正面からしっかり見ちゃった。キモい!

特に口!ギザギザの牙っぽいのがたくさん生えてるぅ!


しかも石は後2個しかない。

何とか倒したいけど、無理だった時は手前に落ちた石を拾おう。若しくは、スタート地点までダッシュ後退しよう。


更にもう一投!よし!ヒット!

ラスイチ振りかぶって〜!

よっしゃー!自分的、必殺の一撃入った!


そしてデカ蜘蛛は、その一撃を脳天に受けて引っ繰り返り、足を天に向けた状態で動かなくなった。


「……駆除完了?」


うぅ…。腹側もキモい。でも本当に死んでいるかは、確認しないと…倒したと思って背後を取られるとか洒落にならないわ。

投げた石を1つ拾い直して、ぶつけてみよう。


「??…え…?」


う、嘘!

居ない!どっかに逃げた?!

慌てて周りを見回すも、倒したはずの蜘蛛の姿はどこにも無くなっていた。


「…マジで消えた…。せっかく倒したと思ったのに……。」


駆除成果が消え失せ、啞然とする。

だが、このまま留まる訳にもいかず、ふぅと、ため息を1つつき、投げた他の石も全て拾い直す。


「?」


と、そこに石とは違う黒いガラス玉の様な物体を発見した。


とりあえず足で突いてみる。カラカラ。

続いて指先で突いてみる。カラカラ。

何かはわからない。でも、触っても大丈夫そうではある。


「石みたく、投げて使うか。」


玉子サイズの黒いガラス玉?

黒玉子……何かお腹空いてきたな……。

しかし、食料はもちろん水も無い。


無理は禁物だけど、悠長にもしてられないな。

トボトボと先へ進む。

岩の凸凹で、足の裏痛いよ…。


風の流れ的な雰囲気を摑めぬものかと、歩きながら気を付けてみる…………無いね!皆無!!

空気が淀んでるし!


変化の無いまま、しばらくは何事もなく進んで行けた。

すると、今度は複数のカサカサ音が聞こえてきた。

しかも何かさっきよりアクティブ?!

もう!ヤダ!!今度は何なのよ!!

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