いつもはツンとしといる幼馴染が雷のときだけすんごく可愛らしいんっすよ‼︎

猫の集会

雷の日に現れる猫

 ピカッ

 ゴロゴロ…ゴロゴロ

 

 

 あ、雷だ。

 まだそんなに近くないけど、今日雷予報だったし、こりゃあ土砂降りになるかもなー。なんて思いながら布団に転がり、どんよりとした黒い雲を窓から眺めた。

 

 

 そして思った。

 また、あいつが来るんだろうと…。

 

 ガチャっ

 ドタバタドタバタ

 

 やっぱりきた。

 

 

 なにやら家のドアからうるさいこむすめが入り込んできたようだ。

 

「たいへんっ、た、たいへん」

 …

 隣に住む幼馴染のミクだ。

 

「あー、雷だろ。」

「ちょっと‼︎慎二‼︎しんじ何落ち着いてます風装ってんのさ‼︎」

「いや、雷なんて大したことないだろ」

 とオレがいうと、

「んもー、わかってないなー。光の球が空から降ってくるんだよ⁉︎当たったらどうすんのさ⁉︎ヤバいだろ」

 

 なんて毎回大騒ぎだ。

 もう中学生なのに。

 なんなら、もう中三になるのに。

 

 …

 

 で、雷が近くなるにつれてどんどん恐怖に怯えるミク。

 

 でも、そんなミクがかわいい。

 いつもは、シラーっとしてるくせに雷の時だけは、とにかくかわいい。

 

 てか、なんでいつも雷の時うちにくるんだろう…

 

 なんて少し疑問だ。

 

 で、雷が近くなるにつれて、必ずいつも同じことをいう。

 

 

 

「か、カーテンしめてよ‼︎」

「はいはい。」

 

「で、電気つけなさいよ」

「はいはい。」

 と。

 

「ねー…、ちょっと静かに座ってなさいよ」

 なんてこともいう。

「ずっと座ってます。むしろミクが落ち着いて座りなよ」

 と椅子をポンポンと優しく叩いた。

 

 すると、ストンと座るミク。

 

 でも、またすぐに立ち上がる。

 

 で、チラチラと外をみている。

 

 …

 

 そんなに怯える⁉︎

 てか、こわいならずっとしめときゃいいのにさ。

 

「あのさー、ミク」

 ビクッとしながら返事するミク。

「えっ、な、なにさ」

「そんなに怯えなくても大丈夫だろ」

 といったと同時にピカッとひかった。

 

「キャーっ、くる…くるくるくるくる…」

 耳を塞ぐミク。

 

 バリッドドーン

 

 激しくなる雷。

 

「ぅつ…いたい…いたたた…」

「またかよー…ほら行くぞ」

「う、うん…」

 

 なぜかミクは雷の、どピークになると腹痛を起こす。

 

 ストレスからくるものらしい…。

 

 毎回毎回…

 ある意味ご苦労さんだ。

 

 で、トイレから帰るといつもヨタヨタになる。

 

 いい加減雷恐怖症治んないのかな。

 ずっとこのままじゃ辛いだろうにと、考えたりした。

 

 でも、どうしたら怖さは和らぐのだろう。

 

「ミク」

「ん。な、何」

 

 ピカッ

 

「あー…もうやだー」

 と言いながらいきなりオレの布団に入ってきた。

 

「えっ、ちょっ…」

 ミクはオレの布団に入り潜って耳を塞いだ。

 

 んもー、かわいいじゃん。

 

 怯えるねこかよ⁉︎

 

 あんまり可愛すぎてミクの頭をナデナデした。

 

 

 

 すると、ミクは…

 

 無反応。

 

 じっと耳を塞いで布団で丸くなっていた。

 

 なので、仕方なく背中をポンポンして雷がおさまるのを待った。

 

 少しずつ激しくなりどピークを迎え、次第におさまってくる雷。

 

「ミク、もう大丈夫そうだよ」

 オレの言葉を聞いて布団からモソモソと出てきた。

 そして、

「あー…助かったー。」

 と伸びをした。

 

 で、カーテンをあけて外の確認。

 

「な、晴れ間もみえてきたしもう完全に大丈夫だろ。」

 と言いながらオレは外が明るくなったので電気を消した。

 

「あー、清々しいねぇ。青いお空さん。なんて綺麗なのでしょう」

 と一人劇団気取りなミク。

 

 さっきのテンションとは、大違いだ。

 

 

 そして、明るい笑顔で帰っていく。

 

 …

 

 毎回なんなんだ…

 

 

 

 そんなミクは、学校ではとてもクール美少女としてモテはやされている。

 

 

 で、オレには塩対応。

 

「おっす、ミク」

「あー、おはよ」

 

 …

 

 あっさりと行ってしまう。

 

 あー…、また雷なんねーかなー。

 なんて少し思う。

 いや、かなり思う。

 

 足早に過ぎようとするミクを呼び止めた。

「あー、ミク」

「え、何?」

「いや、なんでもない。」

「あっそ」

 

 ミクは、ほとんど用件以外オレと話をしない。

 

 …

 

 雷のときみたいにもっと可愛げがあればいいのになー…。

 

 

 そんなある日、オレはあまり話したことがない女子から告白をされた。

 

 …

 

 えと…どうしよう。

 あんまり話したことないし…な。

 でも、すんごくかわいいな。

 

 とりあえず付き合ってから好きになる?

 でも…

 オレ…

 

 返事に困っているとミクが通りかかってこっちをみたかと思えば、プイッと前を向いて歩いて行ってしまった。

 

 …

 

「ごめん。オレ好きな人がいるんだ」

 …オレは何を口走ってるんだよ。

 

 ミクのこと…そりゃ好きだけどさ。

 

 絶対叶わない恋にしがみつくとか…オレ、バカだなー。と改めて思った。

 

 ま、でもオレって自分に正直でエライんじゃね?

 

 …

 

 と自分をなだめる。

 

 

 

 そして数日後また雷がなり、ミクが現れた。

 

 学校では、美人とモテはやされているが階段をのぼる音は、怪物なみにドスドスとすごい音を立ててのぼってきている。

 

 そして、目をつりあげてオレの部屋へと侵入してくる。

 

 で、いつものようにバタバタと…。

 

 

「ミク…、おまえってほんと雷嫌いだよな」

 

 …

 

「えっ⁉︎なんでそれ知ってんの⁉︎慎二…もしかしてエスパーなのっ⁉︎」

 

 なんて言い出すミク…。

 

 いや、普通わかるだろっ!

 

 

 で、しばらくするとどんどん強くなる雨と雷の音。

 

 そして静かになるミク。

 

「お腹まだ大丈夫?」

 いつものストレス痛を心配して聞くと、

「…え?なんで…なんでお腹グルグルしてるのわかったの?すごいね…でも…もう頼れない…慎二の部屋に来れなくなるね」

 とお腹をさすりながらかがんだ。

 

「え?なんでもう来れないの?」

 

 …

 

「だって…うぅっ」

 うずくまるミク。

「あーもう、ほらトイレ行くぞ」

「…う、うん」

 

 またピーク時にピークが来たミク。

 

 

 やっと落ち着いて部屋に戻ってしばらくしたら雷も落ち着いてきた。

 

「ミク、もう雷いったぞ」

 ミクの頭を優しくポンとするとミクは、

「もう雷のとき来ないから…じゃましないから安心してね」

 と言い残し帰ろうとした。

 

 パシッ

 

 オレはミクの細い腕を掴んだ。

 

 ほっそ‼︎

 

「あー、ごめん。ミク…手痛かったよね」

 あんまり細すぎてびっくりしたオレはミクの腕をすぐに離した。

 

「ううん。大丈夫」

 

 …

 ミクは、もしかしたらオレに彼女ができたと思っているのかもしれない。

 

「ミクー、オレ彼女いないからね。」

 と一応誤解を解いておいた。

 

 すると、

「えっ?なんで?あんなにかわいい人ふったわけ?慎二のくせに?」

 と目を丸くした。

 

 …慎二のくせにって。

 

「あー、だってオレにはミクがいるから」

 と冗談で言ってみた。

 

 すると、

「ほんとに?ありがとう」

 とお礼を言われてしまった。

 

 しかも、かわいい笑顔のオプション付きで。

 

 えっとー…こ、これは一体…⁇

 

 まさかのまさかっ⁉︎

 

 

「あのさ、ミク。今度雷がなったらこわくなくなるおまじないしてあげるからもう怖がらなくて大丈夫だぞ」

 

 オレは名案を思いついたので次の雷が楽しみだった。

 

 ミクは、

「へー、なんかそんなこと言われたら雷を少し心待ちにしちゃうかも」

 なんて言いながらミクは、少し笑った。

 

 

 そして待ちに待った雷。

 

 で、やっぱりすごい形相でオレの部屋に入ってくるミク。

 

 そんなミクにオレはベッドの上で大きく両手を広げた。

 そして、

「ミク、ウェルカム!」

 と。

 

 もうカーテンも閉まってるし電気もバッチリついている。

 

 雷のときは、とにかく素直なミクはオレの腕に静かに入ってきた。

 

 そのままオレはミクをずっと抱きしめていた。

 そして、雷がどんどん強くなるにつれて怯えるミク。

 

「ミク」

 雷のどピーク前あたりでオレはミクを呼んだ。

 

 オレに抱きしめられながらミクがオレの方をみた。

 

 なので、オレはそのままミクにキスをした。

 

 ハグしながらチューーって。

 

 そして、雷のどピーク中もミクにハグしたりキスしたりしていた。

 

 ミクは、はじめはびっくりしていたがオレのキスを受け入れてくれた。

 

 そして雷がおさまったので

「ミク、オレのおまじない効いた?」

 とおまじないの効果を確認してみた。

 

 すると、

「うん。お腹も痛くならなかった。ありがとう!」

 とミクからチュッとされた。

 

 そして、

「毎日おまじないかけてほしいなっ♡」

 とかわいいおねだりいただきましたっ‼︎

 

 おしまい。

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