番外編4 フジミヤの盛り合わせ
「俺は女体盛りという文化が理解できなくてね」
「ほう。それはどうしてです」
「いくらラップを敷いているとはいえ人の体の上だ。受け皿にするには余りに汚い。皿のすべてが清いかと言われれば否だが、食器はその名の通り食事を載せる物だろう。対して人体と言うのは食事が載るように作られていない。食器を差し置いて見栄えだけで人体に食事を並べるというのは、俺は些か好かん。食欲か性欲どちらかに集中しろ」
「あ、食べる側のコメントなんですね。なんだか意外でした」
「と言うと」
「フジミヤさんはてっきり食べられる側としてコメントをするんだと思って」
「ああ、成程。そうだな………俺の体の上に料理を」
「どう思います?」
「どんな料理が載るのかにもよるが、俺の体は食器ではなく食用だ。ならば上の料理だけ食って終わりなどと勿体ない真似はさせん。下の肉も一緒に食え」
「あれですか、正式名称が分からないんですが、パンやパイの中にシチューが入ってるやつみたいなものですか。中身を食べ終わったら器も一緒に食べられるみたいな」
「ちょっと違う気もするが概ね良しとしよう。だがそのまま体に齧り付きというのも些か品が無い。というより」
「食べ辛い」
「その通りだ。シチューパイのように、俺も器としての役割を多少なりとも果たすべきなのかもしれんな。それならば、こういうのはどうだろう」
「ほう」
「鎖骨から臍の辺りまで四角く刳り貫いて、まずは一度中身を掻き出す。骨もそこで取る」
「おお、そうしたら空間が出来ますね。」
「そうだろう。ここに料理を詰め込めば一緒に食べられるんじゃないか、先ほど掻き出した肉や臓器も一緒に食おう」
「しかしフジミヤさん、それでは生々しすぎませんか」
「ふむ」
「血生臭くて他の食材と合いません。肉だけならユッケとかにできそうですけど、他の食材と一緒に食べてもらうなら生は駄目でしょう」
「一理あるな。ならばこういうのはどうだろう。まずは首と臍から下を落とす。そうして処理をする」
「ふむ」
「刳り貫いた箇所に肉や野菜、米など下味を付けたものをぎゅうぎゅうに詰め込み、一度腹を縫合する。それをそのままオーブンでじっくり焼いていく」
「おお」
「すると皮はパリッと中は具沢山、食べ応え料理の完成だ。どうだこのアイディア、今度やってみないかい」
「………………ん、待てよ。フジミヤさんこれ………」
「どうした」
「……………ほぼローストチキンですね……………?」
「俺は鶏より美味い」
「張り合わないでくださいクリスマスの主役と」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます