第10話 流血2

ハンカチからのこの流れではないけれど、シュナがミネルバに土下座を強要するシーンはあった気がする。

それがこれなのかも。

展開早くない?


「先程も申しましたが、一方の意見にしか耳を傾けないその態度は改善した方がいいかと思いますよ。」

「自分の非を認める事もできないのか。」

「ではお聞きしますが、殿下にボールがぶつかりそうになって、それを避けるために親切で突き飛ばして死んだ場合、その突き飛ばした者に何の罰もくだりませんか?『悪気はなかったのだから許してやる』…そう言って国王陛下はお許しになるかしら?」

「シュナ様はわざと転んだのです!その話とは違います!!」


ミネルバは『シュナが悪いアピール』に必死で、見てて恥ずかしい。そして、それを真に受ける馬鹿な王子。

目も当てられない…。


「貴女は勘違いしてるようだから言っておくわ。私が父に『ミネルバに突き飛ばされたから額を切った』と言えば、貴女は問答無用で死罪よ。家族もただではすまないわ。」


私が冷たく返すと、アレックスが必死に言い返してきた。


「身分で人を脅すなんて最低だぞ!」

「そっくりそのままお返しします。」


完全に私を脅してるよね。

人の振り見て我が振り直せとはよく言ったものだわ。


「私は親切で言ってるのですよ。本当の事を教えてあげないと、死ぬ事にでもなったら可哀想ですもの。私は国王陛下に指名された王太子の婚約者、筆頭侯爵家の娘よ。王太子1人がミネルバを弁護したからって、どうにかできると思っているの?」

「……」

「私に反論出来ないんじゃ、認めたのと同じね。これから私と話をする時は、王太子であっても十分気を配る事をおすすめするわ。では、ごきげんよう。」


さて、保健室を探さなきゃね。

場所は解らないけど、あの馬鹿に聞きたくもない。


……何だろう、また少し体が震える。

これはシュナの感覚だよね。

記憶がないだけで、やっぱり私はシュナなんだ。思い出したくない事があるのかもしれない。耐え難い何かがあったとか…。

それが引き金になって、泰子だった事を思い出した。

防衛本能みたいなものかも。


シュナだった時の私は、聖女ミネルバを怖いと思っていた。震えているのだから、きっとそう。

たぶん、何度も罠にはめられてるんだ。


こんなくだらない茶番で負けてたなら、シュナの根性も大したことないって事だけど。



それにしても、この人気小説って、体験してみたらこんな薄っぺらなキャラばっかりだなんてガッカリ。

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