第67話 シェ⚪︎ロンに願いを叶えてもらおう! 3

 視聴者全員が俺のことをバカ呼ばわりしていたが、無視して俺は98階層に向かう。


「ここが98階だ」


〈初めて来たが、強力なモンスターが現れそうな雰囲気を感じるぞ〉


〈シェ⚪︎ロンが出るらしいからな。強力なモンスターどころか神様だぜ〉


〈そりゃ雰囲気あるわな〉


「今回の目的は女装すればシェ⚪︎ロンに願いを叶えてもらうことができるかの確認と、女装すればドラ⚪︎ンボールが出現するかの確認だ。シェ⚪︎ロンの討伐を目的にはしていない」


〈シェ⚪︎ロンの魔石となればすごい金額になると思うが、眼中になさそうだな〉


〈そりゃシェ⚪︎ロンが願いを叶えてくれるとなれば、魔石の金額なんて眼中にないだろ〉


「とりあえず、適当にブラブラと歩くから、ドラ⚪︎ンボール的な物を見つけたらコメントするように」


〈見つかるとは思わないが了解した〉


〈見つかったら世界観壊れるけどなww〉


 俺は視聴者にも協力を仰ぎ、適当に98階を歩く。


 すると前方から一体の青い龍が現れる。


「コイツがシェ⚪︎ロンだ。色違いの」


〈いやソイツ青龍ぅぅぅ!!!〉


〈白虎と同じように誰も倒したことのないS級モンスターなんだけど!〉


〈アメリカで青龍と出会ったS級パーティーが数秒で全滅したって聞いたことあるぞ!〉


〈おー!いつ見てもシェ⚪︎ロンそっくり!〉


〈色違いだからレア度はコッチのほうが上。きっと、無理難題なお願いも叶えてくれる〉


〈相変わらず余裕だな、お前らww〉


「さて、さっそくお願いしてみるか」


〈いやいや!そんなことやってる場合かっ!逃げた方がいいぞ!〉


〈何してる!青龍だぞ!絶対逃げた方がいいって!〉


〈いや、逃げるのが正解なんだろうが………青龍を瞬殺するんだろうなぁ〉


〈〈〈〈うんうん〉〉〉〉


〈冷静な視聴者多くね!?〉


 俺は女装した姿でシェ⚪︎ロンに願いを叶えてもらうことができるかを確認するため、願い事を言う。


「シェ⚪︎ロンよ、よく聞け!お前には俺の願いを叶えてもらう!」


 そこまで言った俺は「すーっ!」と息を吸う。


 そして願い事を言う。


「う⚪︎い棒が全種類食べたいっ!」


〈しょーもなっww〉


〈シェ⚪︎ロンにお願いすることじゃねぇww〉


〈地道に集めろやww〉


 俺は願い事をシェ⚪︎ロンに言うが「グァァァァっ!」と叫んで俺に襲いかかる。


「くそっ!やっぱりダメだったかっ!」


〈当たり前だww〉


〈見た目しかシェ⚪︎ロンに似てないからなww〉


「やはりドラ⚪︎ンボールがないとダメなのか!」


〈違うわww。青龍に願いを叶えることなんてできねんだよww〉


〈てか分析する前に青龍をなんとかしろや!〉


〈危ねぇ!回避だ!〉


 俺が呑気に原因を分析していると、目の前にシェ⚪︎ロンがいた。


「あぶなっ!」


 俺はシェ⚪︎ロンの攻撃を紙一重で躱す。


「ちっ!よく聞け、シェ⚪︎ロン!今からドラ⚪︎ンボールを集めてくるから、そこで大人しく待っとけ!」


「グァァァァァっ!」


 しかし、俺の言葉を理解せず、襲いかかってくる。


〈通じるわけねぇだろww〉


〈モンスターなんだから98階にたくさんシェ⚪︎ロンがいるだろ!はよ瞬殺しろや!〉


〈お兄ちゃん!シェ⚪︎ロンがドラ⚪︎ンボールをよこせってキレてるよ!〉


〈ん、だからドラ⚪︎ンボールを持ってないことを説明して落ち着かせて〉


〈だから対話は無理なんだってww〉


〈絶対、ドラ⚪︎ンボールよこせって思ってないからww〉


「仕方ねぇ。他のシェ⚪︎ロンにお願いするか」


 俺は対話をするのを諦めて、剣の柄を持つ。


 そして突っ込んでくるシェ⚪︎ロンを視認し、鞘に納めている剣を引き抜く。


「はぁーっ!」


 すると、シェ⚪︎ロンが顔面から真っ二つに割れ、「グォ……ォォ……」という弱弱しい声をあげて魔石となる。


〈いや凄すぎww〉


〈分かってたけど青龍も瞬殺なんだなww〉


〈アメリカのS級パーティーは青龍の鱗に傷一つつけることができなかったぞ!?どんな威力をしてるんだ!〉


〈これが裕哉ちゃんクオリティーだ。諦めろ〉


〈〈〈〈上に同じ〉〉〉〉


〈ここの視聴者、感覚が麻痺してるぞww〉


「さて、シェ⚪︎ロンは片付けたし、さっそくドラ⚪︎ンボールを探しに行くか」


 俺はドラ⚪︎ンボールを探しに98階層を歩き出した。

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