第41話 底辺配信者、ギルド対抗戦に参加する。2

『閃光』ギルドのメンバーに見送られた俺たちは、和歌奈さんと一緒にギルド対抗戦の会場となるダンジョンにやってくる。


「えーっと……てっきり俺の知らないダンジョンに行くと思ってたのですが……」


「そんなことないね!むしろ裕哉くんのホームグラウンドだね!」


 和歌奈さんの言った通り、俺のホームグラウンドと言っても過言ではないダンジョンに連れてこられる。


 そこは俺がいつも探索する100階層まであるダンジョンだった。


「じゃあ、再度ルール確認をするよ!」


 そう言って俺たちにルールを説明する。


「今回も出場するギルドが多いため、まずは予選が行われるの。予選ではダンジョン内にいるモンスターを3時間でどれだけ倒すことができたかを競い、上位4ギルドが決勝に進むことができるよ」


 予選では討伐したモンスターのランクによって討伐した際のポイントが増え、S級モンスターを倒せば100ポイント、A級モンスターを倒せば50ポイントと決まっている。


 そして、その合計ポイントの多い上位4ギルドが決勝へ進むらしい。


「決勝は4ギルド総当たりでのバトルロイヤル。決勝に進んだギルドメンバー全員が同じフィールドに立ち、メンバー同士で攻撃し合うの。一定数のダメージを受けた場合、フィールドから強制的にリタイアする魔法を施すから、死ぬことはないよ」


 俺たちは一度ルールを聞いていたため、和歌奈さんの話を遮ることなく聞く。


「今回、ギルド対抗戦で優勝するために、私はいろいろと作戦を考えてきたんだ!」


「おー!さすがギルドマスター!」


「アタシらに丸投げせず、しっかりと作戦を考えてきたんですね。さすがです」


「でしょ!ってなわけで私が考えてきた作戦を発表するよ!」


 そう言って和歌奈さんは考えてきた作戦を発表する。


「予選に関しては私たちに大きなアドバンテージがある!それは、このダンジョンが裕哉くんのホームグラウンドということ!つまり、裕哉くんはどの階層のモンスターにも負けないってことだよ!」


「そうですね。どの階に行っても負ける気はしません。なんなら予選で100階層に行ってもいいですよ」


「それはアタシらが反対したい!」


「なんでギルド対抗戦で100階層に行くことになるのよ!」


 愛菜ちゃんと美柑に猛反対される。


「さすがの私も『100階に行ってこい!』とは言わないよ!」


「あ、てっきり『100階に行ってこい』という命令を下されるのかと思ってました」


「そこまで私も鬼じゃないよ!100階層なんかに行って疲労を蓄積されても困るからね!」


 ギルド対抗戦は午前が予選で午後からバトルロイヤルとなる。


 そのため、できるだけ疲労を溜めない戦い方も必要となる。


「だから予選は80階のミノタウロスをひたすら倒し続ける!これで予選突破は確実だよ!」


「なるほど。ミノタウロスはA級モンスターだから、討伐すればかなりのポイントを稼げます。尚且つ、このメンバーなら疲れることなく討伐もできそうですね」


「あぁ。アタシらには裕哉くんもいるからな。疲れることなくミノタウロスを討伐できるだろ」


 芽吹ちゃんと愛菜さんが和歌奈さんの作戦に同意する。


「みんなで80階なら休憩しつつ討伐できそうですね。予選で疲れるわけにはいきませんので、俺もありがたいです」


 そんなことを思う。


 しかし…


「あ、言い忘れてたけど裕哉くんは別行動ね!」


「はぁ!?」


 なぜか唐突に別行動を命じられる。


「裕哉くんを80階で野放しにするなんて勿体無いよ!それこそ宝の持ち腐れってやつだよ!だから裕哉くんは1人で95階層に行って来てね!」


「………」


 ものすごく可愛い顔で別行動を言い渡された。


 95階層は見た目だけ強そうな白い虎が出現する階層で、雑魚フロアとなっている。


「あ、ちなみに裕哉くんは3時間で白虎を30体討伐しないと罰ゲームだからね!」


「なんで俺だけ罰ゲーム付き!?しかも3時間で30体も!?そんなの多すぎ……いや、30体くらいなら余裕か。虎は大声を出せば勝手に殺されに来てくれるし」


「余裕なんかい!」


 愛菜さんが横でツッコミを入れる。


「わかりました!虎さんを30体、討伐してきます!」


「頼んだよ!裕哉くん!」


 俺は和歌奈さんの願いであるギルド対抗戦優勝を叶えるため、白い虎を30体討伐することを決意する。


 そんな会話をしてた横で…


「裕哉先輩が白虎相手に無双するなら、ウチら予選に出場しなくてもいい気がしますね」


「そうね。私たちが2階層でスライムを倒してても予選突破しそうだわ」


「さすがお姉様!私たちには考えつかない作戦です!」


「いや、裕哉くんを別行動させるくらい誰でも思いつくわ」


 そんな会話を繰り広げていた。

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