第38話 底辺配信者、5人で探索をする。5
5人での初戦闘は大勝利で終える。
〈おーっ!レッドドラゴンを倒したぞ!〉
〈すごい連携だった!長年一緒にチームを組んでたかのようなスムーズな連携だったぞ!〉
〈そうでないとS級モンスターは倒せない。すごいぞ、この5人は〉
〈裕哉がレッドドラゴンの攻撃を全て防ぐことができなければ不可能な連携だが、このチームはレッドドラゴンを倒せる実力を持ってるってことだ。これはギルド対抗戦、『閃光』ギルドが優勝するな〉
「やっぱりフォーメーションAはかなり有効だな。裕哉くんの負担は大きいが」
「これくらい問題ありませんよ!」
モンスターの注意を引き、モンスターの攻撃からみんなを守る役割を担うことになるが、負担だとは思わない。
むしろ、男である俺がやらないといけない役割だと思う。
「ありがとう。とても頼もしいぞ」
「さすが裕哉ね。カッコよかったわ」
「えぇ。後でお姉さんがご褒美をあげるわ」
「裕哉先輩がいるだけで安心して詠唱を唱えることができます!」
「そ、そんなに褒めなくてもいいのですが……」
雑魚モンスターであるトカゲの攻撃を防いだだけで褒められる俺。
〈アイツ、美女と美少女から褒められて鼻の下伸ばしてやがる〉
〈羨ましいぞ。今すぐ俺とそのポジションを変われ〉
〈レッドドラゴンに瞬殺されるわww〉
〈でも実際、あんな仕事を見せられたら裕哉を絶賛したくなるよ。レッドドラゴンの攻撃から愛菜たちを守ってたんだし〉
〈は?俺だってレッドドラゴンの攻撃くらい防げるし。みんなをカッコ良く守って千春ちゃんからエッチなご褒美もらうし〉
〈だから殺されるてww〉
〈どっからその自信が出てくるんだよww〉
〈裕哉に対抗心持ってるヤツ多すぎww〉
「今回、無事に勝てたのは裕哉くんが全て攻撃を防いでくれたからだ。フォーメーションAの時は今回のように頼むぞ」
「わかりました!」
俺は愛菜さんに力強く返事をする。
その後もフォーメーションAを用いて2階層を探索する。
しばらく探索していると、フロアボスが待ち受けているボス部屋へと到着する。
「どうしますか?愛菜さん」
「そうだな……みんな、体力に余裕はあるか?」
「はい!ウチは大丈夫です!」
「私も大丈夫です」
「問題ないわ」
「俺もまだまだ戦えます!」
「よし。なら2階層のボスに挑戦してみるか。倒せないと判断したら、モンスターの顔だけ拝んで撤退するぞ」
俺たちは愛菜さんの言葉に頷き、ボス部屋へ入る。
〈レッドドラゴンしか出現しないフロアのボスだ。どんな強敵が現れるかな〉
〈裕哉が居れば大丈夫だとは思うが油断せずに頑張ってほしい〉
〈最悪、裕哉を囮に撤退していいぞ。裕哉の武勇伝は俺たちが語り継いでやるから〉
〈囮にしても普通に帰還しそうww〉
ボス部屋へ入ると、上空にトカゲが10匹飛んでいるのを発見する。
「っ!レッドドラゴン10体と戦うのか!」
「いえ!よく見てください!もう1体います!」
芽吹ちゃんの言葉を聞き上空をよく見ると、10匹のトカゲの上にもう1匹トカゲがいた。
「おいっ!あれって裕哉くんに助けてもらった90階層のフロアボスじゃねぇか!」
上空を飛んでる10匹のトカゲの上に、10匹のトカゲを支配してるかのように一際大きなトカゲが飛んでいる。
それは俺たちがいつも潜るダンジョンの90階層フロアボスだった。
〈ってことはレッドドラゴン10体に加えて、レッドドラゴン亜種と名付けられた上位互換1体を同時に相手しなきゃいけないのか!〉
〈これはヤベェぞ!はやく逃げた方がいい!〉
〈さすがの裕哉も厳しいだろ!〉
「っ!撤退だ!今すぐ撤退……」
「「「ゴォォォォっ!」」」
「ブレスが来ました!」
撤退の指示を受け、撤退しようとした俺たちを逃さないよう、上空にいるトカゲ3匹が赤いブレスを放つ。
〈やべぇ!死ぬぞ!〉
〈避けろーっ!〉
「これはヘイト集めを担う俺の役目だな」
そう思った俺は瞬時にみんなとブレスの間へ移動し、視界いっぱいに広がる3つの巨大なブレスを視認する。
そして迫り来るブレスめがけ、目にも止まらぬスピードで3回ほど剣を振る。
「はぁーっ!」
すると剣から斬撃が飛び出し、3つのブレスを一刀両断する。
そして、放った斬撃は勢いをそのままに、ブレスを放ったトカゲを真っ二つにする。
「「「グォォォ……」」」
俺の斬撃を防ぐことができなかったトカゲは落下しながら魔石だけを残して消える。
〈レッドドラゴン3体を瞬殺しとるぅぅぅ!!!〉
〈ブレス斬ったついでにレッドドラゴンを殺してるんだが!?〉
〈ヤバすぎww。相変わらず、裕哉化け物だろww〉
〈でも、まだ7体もレッドドラゴンがいる!油断できねぇぞ!〉
〈あぁ。それに加えてレッドドラゴン亜種も元気に飛んでるんだ。これは裕哉でも愛菜たちを守りながら戦えないだろ〉
〈今のうちに撤退するしかねぇ!〉
トカゲ3匹が一瞬で討伐されたことに怯んだのか、上空にいるトカゲたちは攻撃を仕掛けてこない。
「今のうちに撤退だ!」
「いえ、それは無理そうです。向こうはやる気のようですよ」
しかし、一際大きなトカゲは敵意を剥き出しにしており「グォォォォっ!」という大きな咆哮を上げる。
「チッ!仕方ない!みんな、戦闘準備!」
愛菜さんは撤退の指示を取り下げ、戦闘準備の指示を出す。
「フォーメーションX!みんな配置につけ!」
「お!フォーメーションXですか!ってことは、やっちゃっていいんですね!?」
俺は愛菜さんの指示を聞き、愛菜さんに聞き返す。
「あぁ、フォーメーションXを始動する。頼んだぞ、裕哉くん」
「任せてください!」
愛菜さんからフォーメーションXの指示をもらった俺はみんなとトカゲの間に立つ。
「よしっ!フォーメーションX開始っ!」
愛菜さんの言葉がダンジョン内に響き渡った。
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