第3話 〜トラブル発生!? この弱者が……。〜

 数日後━━━。

 私含め、家族の3人は……無事にラ=グーアの近くに引越し……遂にその試験日となった。


 私の前には懐かしき城だった。ちょっと古びているが、いいだろう……。昔は、根源魔法で構築し……作成まで私がしたんだ。だが、唯一違うとすれば……その名前を魔王学院と書いているのが解せない。


 そして、周囲を見渡せば……続々と正門へ入っていく奴らが居る。恐らく、私と同じく……入学するための受験者なのだろう。


「アリスちゃ〜ん!! しっかりねぇ〜!! 頑張るのよ〜!!」


 見送りはいいと言ったんだがな……。母さんと父さんは、わざわざ……「娘の為だ!」と言って私の言う事を聞かなかったのだ。


 全く、これだから……娘バカは困る。


「アリス!! お前、お、お、お、、落ち着けば行けるからな!!」


「まずは、父さんが落ち着いてくれ!」


 ……つい、ツッコんでしまった。


「お、おう!! その調子なら大丈夫だ!! 頑張れよ!!」


「そうね!! アリスちゃんは1ヶ月間でここまで行けてるのよ!! 絶対に合格するわ!!」


 マジで、調子が狂う……。


 勿論、当然の事だが……周りの奴らで親連れの魔族は居なかった。

 ━━━━━━━周囲の視線を見て、少し恥ずかしいと思っている私だった。


「じゃ、行ってきます。」


 私は、くるりと後ろを振り向いて正門前に並んでいる魔族の列へと向かうのである。


 後ろから、私を応援する親の声がする……。

 はぁ……。これは……困ったものだ。


 だが、これが……"在るべき"人間の親と言うものなのか。悪くは無いのだが……中々に、こそばゆいと言うのはこの事だ。


 すると、別の所から……更に恥ずかしい声援が聞こえる。


「フレーフレー!! クルミ!! 頑張れ!! 頑張れ!! クルミ〜!!」


 声がした方向をチラっと見ると……

 まるで、何処ぞのヤクザと言う言葉にそっくりな髭面の男が……手をグーにして上にあげて声援をしていた。多少は……魔族の血が含んでいるが人間の血が多い。私の父さんと同じぐらいか。


 その男視線の先には、半分……金髪のその半分は銀髪で、顔立ちもスタイルも良い女の子が元気よく言った。


「おう!! 任せとき〜!! 頑張ってくるわ!!」


 と、言って声援の方に振り向いて歩きながらも声援の方に手を振り、また正門の方へと振り向き……私と並んで、歩いていた。


 うむ。元気があって、、顔立ちもスタイルも可愛らしい少女だ。


「ファイトだぞ〜!! アリスゥー!!」


 受付をした後……正門に入ろうとしたところで、また背後から父さんの声がした。


 そして、先程の女の子が不思議そうに振り返ってその視線の先を辿っていた。すると……。


『あっ…。』


 お互いに、見つめてしまったのだ。


「お互いに苦労するね。」


 そう口にするとその子は……ニコッとしながら言った。


「そうやな!!」


 少女は、髭面の男よりも元気よく言った。


「あ、自己紹介まだやったな! 私は、クルミ・アルベルト!! あんたは?」


 そう言われた私は、素直に答える。


「私は、エリザベス・アリスだ。」


 すると、クルミは言った。


「そう言えば、アリス。一人称以外……男口調だけど……大丈夫なん?」


 ……?? どういう事だ? 意味が分からない。

 何故か、私は首を傾げた。


「まぁ、えぇか!! あははは!! 気にしないでくれ!!」


「そ、そうか?」


 多少の雑談をしてから……正門に入ろうとした所を……とある青年が、私とクルミの前に立つ。

肌が黒く、全身は鋼鉄のように鍛えあがっていた。そして、更に全身の服が布みたいな鋼鉄で出来ている。 私と同じ黒髪で、私とは違うのは、マッシュルームヘアかロングヘアかだな。


 もちろんの事……マッシュルームヘアは、あいつだぞ? 私はロングヘアだぞ?


 じゃないと、おかしいだろ。……作者のいじめか? そうなると……って何私は、メタい事を言ってるんだ?


 話を戻そう。あいつの外見的に年齢は22って所か。


 その男は……私達を見下しながら言った。


「あのさぁ〜? 親同伴で、入学試験って……いつ、この魔王学院は……お飯事おままごとになったんだァ〜? あ゛ぁ!? 舐めてんじゃねぇよ!」


 ふむ。これ……所謂、弱者のテンプレっていうものだ。


「━━━━━━━おい、あれはあいつら……死んだんじゃねぇか?」


「━━━━━━━だよな。だって、暴虐武人なルルーノスだもんな。そんな奴に……目を付けられたら、五体満足で帰られるか……だよな。」


 どうやら、こいつは有名な奴らしい。

 それは置いておいて、ふむ。皆は受け付けした後……闘技場の所へと向かっている。これを察するに……実技試験と一瞬で分かった。


「クルミ……戦えるか?」


「戦えるけど……今はそんな気分じゃない。」


 そうか。戦えるのは戦えるんだな……まぁ、残りの選択肢を取るか。


 私とクルミは、そいつを無視して……

 みんなと続いて闘技場の方に向かおうとした。

 すると、そいつはキレた口調で言った。


「おい!! 無視するのかァァ〜!? クソがァァァァァ〜!!」


 あぁ、うるさい……子孫達は、礼儀が鳴ってないな。やりたくなかったが……やるか。


 私は、前世の根源魔法を使い、そのルルーノスの口を爆破させた。


「……っ!? イテェェェェェェ!!」


「あぁ、すまなかった。 何処ぞの蚊だと思っていた。━━━━━━━━許せ。」


「クソガキがァ……。」


 まぁ、本音は……礼儀がなってないから、少し……お灸を据えただけだ。


「貴様ァァ〜!! これ程の侮辱をさせたなぁぁ〜!! 生きて返すと思うなよ?」


 ……業火の炎を威嚇みたいに出して、私に向かって放火した。


「アリスちゃん!!」

「アリス!!」


「そんな火は……フゥ〜。」


 息を吐くように……業火の炎を消した。


「なぁ……!? そんな……俺が1番、お気に入りのスキルなのに!!」


 ほう……?

 あんな程度火遊びぐらいの火のスキルを?

 お気に入り……? 笑わせるな。弱すぎる。


 私は、前世の根源魔法を乗せて言う。


「"そこで、反省してれば?" ……さようなら」


 すると、ルルーノスは膝を付いて頭を地面に叩きつけながら言った。


「ぁぁぁぁぁぁぁ!! 俺は、他人になんて言う口の利き方をしたんだぁぁあー!! あぁぁぁぁあ!! 穴があったら入りたい!! 死にたいぃぃぃ!!!! クソがァァァァー!!」


 それを見た試験者達は驚いていた。


「すごいぞ、あいつ……あの最強のルルーノスを圧倒した。」


「そうだな。もしかしたら、この世代のダークホースとなるんじゃないか??」


 そんな大袈裟な……これくらいの程度……朝飯前だぞ?


 そして、待たなくてもいいのに……待っていてくれたクルミが言う。


「おぉ〜!! アリス、お前さん……つよつよだなぁ〜?!」


 それを私は否定した。


「じゃ、何が正しいんだ?」


 私は、適切な事を平然と言う。


「あいつが、弱すぎるんだ。」


 ━━━━━━━━と……私は言って、、クルミと一緒に試験会場である闘技場の中へと向かうのだった。

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