第15話 幼馴染とデートの約束

『たっくん、明日一緒に映画行かない?』


 俺が部屋でくつろいでいると雫から電話がかかってきてでてみれば開口一番そんなことを言った。


 なんで?


 え? これって……いわゆるデートのお誘いってやつだよな? それとも友人として遊ぼうということか? とりあえず返信しないと!


『いきなりどうしたんだ?』


『あのね、由紀ちゃんに明日までのペアチケット貰ってさ。二人とも部活で行けないんだって。』


 なるほど、つまりあの二人が元々行く予定だったチケット譲ってもらいペアチケットだったから俺を誘ってくれたというわけだ。


 ということは何も俺でなくてもいいんじゃないか?


『俺じゃなくて結絆の方がいいんじゃないか?』


『え……』


 すると電話の向こうから雫の少し悲しそうな声が聞こえた。


『あいつの方が俺よりそういうの詳しいし、俺なんかと行くよりよっぽど楽しいと思うぞ。』


 俺がデートに行って雫を困らせるよりもそういうのに詳しい結絆がいった方がいいだろう。


 俺は彼女楽しめれば楽しませるのは俺じゃなくてもいい。


『……がいい。』


『ん?』


『……たっくんと一緒に行きたいの……だめ?』


 恥ずかしそうな声で振り絞るよう放ったその声に俺は思わず言葉を失った。


 雫が俺と行きたい? 映画に? 


 いまだに理由がよくわからないがこんなかわいい声で言われて断るほど腐ってはいない。


『わかった、一緒に映画に行こう。ただし俺もこういうのは初めてだからあまり期待しないでくれよ?』


『ありがとっ! すっごい楽しみ!』


 ハードルがものすごく上がった気がするがまぁなんとかしてみよう。


『じゃあ、明日の10時に駅集合でいいか?』


『うん、わかったよ。』


『じゃあおやすみ。』


『おやすみ、たっくん』


 そうして雫との通話を終えた俺は立ち上がりクローゼットに向かった。


「ちゃんとした服着てかないとな……」


 そこから明日に向けてのデート準備が始まった。


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