4-2:妖力
「そうじゃ、その感じじゃ。体の中の妖力を感じ丹田へ納めるのじゃ。四肢の妖力を掻き集めるのじゃ」
ただいま守さんはお義母様の指導の元、人の姿に戻るために妖力の制御の特訓をしています。
心を落ち着かせるために裸で横になって指導の元、集中をしています。
しているんですけど……
「だ、だめだぁ!」
びんっ!
「あっ////////」
丹田に妖力を集める必要があるらしいけど、丹田っておへその下三センチくらいの所にあるツボみたいなものらしいのです。
でも、守さんはそこに意識を集中すると、その、あれが元気になってしまうんです////////。
しかも妖術指南は何故か守さんは裸のまま。
だから元気になってしまうのがはっきりと見えてしまう。
おかげで夜の守さんを思い出してしまい、私はずっと赤面をしてしまう状況。
「ふむ、元気なのは孫の顔が拝めるから良いのじゃがこうも妖力の制御が上手くいかんとはなぁ」
「いいから見ないでよ母さん! ああぁ、もうっ!!」
いくら何でも実母の前で元気になってしまうのは守さんも恥ずかしいようですぐに近くに置いてあった服で股間を隠す。
そりゃ、実の母親にそんな姿を見られたら私だって大騒ぎになっちゃうわよね。
でも、あんなに立派になるだなんて、今晩守さんに妖力の集中してもらおうかな?
「うぅむ、通常は物の怪は物の怪の姿から人の姿に化けるが、守はもともと人の姿で生まれたからのぉ。人から物の怪になるなぞ、通常は無いからのぉ…… 儂の指導ではうまくいかんか。ではあ奴等を呼ぶかのぉ」
「あ奴等?」
お義母様は大きくため息をついてからそう言って立ち上がるのだった。
* * * * *
「え、えーとぉ……」
「よう、若おかみさん元気にしてたかい?」
「その後は変わりありませんか?」
お義母様は鬼女さんと雪女さんを呼んでいた。
いつも通りジャージ姿の鬼女さん。
何故かよれよれの服を着ている雪女さん。
二人を目の前に私は首をかしげる。
「お義母様、こちらのお二方が守さんの指導をするのですか?」
「うむ、鬼女はもともとは江戸時代に鬼と化した物の怪、雪女は何代目じゃったかの? 祖先が雪女でその家系の女は代々雪女と化すのじゃ」
お義母様がそう言うので思わず鬼女さんと雪女さんを見ると二人とも頷いている。
「もともと人であった者が物の怪に
「は、はぁ……」
どうもそう言う事らしい。
しかし正直この二人、かなりの美人で服装を整えたりすればみんなが振り向くほどだろう。
「いやぁ、悪いね、
「あ、あれ? 守さん鬼女さんと雪女さんの名前を知ってるんですか?」
物の怪に名前があるなんてちょっと驚きで守さんに聞いてみる。
すると守さんが答える前に鬼女さんが話始める。
「なんだ守、話してないのかよ? あたしゃこいつがこんな小さい頃から面倒見てやってたんだぜ?」
「そうそう、守君が小さい事は一緒にお風呂入ったりしてたんだよねぇ~」
なんですってぇ!?
守さんと一緒にお風呂!?
きっ!
思わず守さんを睨みつけると慌てて言う。
「こ、子供の頃の話だよ! 雪子姉さんもそう言う事言わない! かなめさんに変な誤解を与えるじゃないか!!」
「え~、でも守君は小学六年生まで一緒にお風呂入ってたじゃない。なんかそう言われるとさみしなぁ、お姉さん」
「そうだぜ、守。一緒に体の洗いっこした仲じゃないかよ!」
なっ!
しょ、小学六年生って!!
「まぁ~もぉ~るぅ~さぁ~んッ!!」
「いやだからあれは識姉さんと雪子姉さんが強引に!」
脂汗をだらだら流す守さん。
「言い訳無用! お座り!!」
ばっ!
私が怒ってお座りを言い渡すと私の目の前に正座をする。
この辺は犬夜叉の血が入っているからだろうか、最近守さんの扱い方が犬っぽくもなっていた。
「いいですか守さん! 過去の事とは言え小学六年生にもなって、その、見目麗しき女性と一緒にお風呂なんてありえませんからね! もし私たちの子供が生まれても小学一年生までですよ、一緒に入って良いのは!!」
「は、はい……」
びっと人差し指を立ててそういう私に守さんは下を向いて返事する。
まったく。
「分かりましたか? 分かったらお手!」
はしっ!
守さんはすぐにお手をした。
これが躾方として合っているかは分からないけど、とにかく実家の犬はこうやっていた。
「守、お前完全に尻に敷かれているな……」
「あーん、お姉さんも守君みたいな年下の犬みたいな旦那様が欲しいわぁ~」
鬼女さんと雪女さんはそんな守さんを見ながらニヤニヤしている。
まったく。
でも守さんは私のだからあげません!!
「さて、そろそろ良いかの? 鬼女に雪女よ、守を元の人の姿に戻したいのじゃが妖力の押さえ方が上手くいかんのじゃ。その辺の指導をしてやってもらえんかの?」
「妖力の? そんな事も出来ないのかよ、守?」
「変ねぇ、かなめさんがいるんだからすぐにでも妖力抜けちゃってもいいのだけど? もしかして守君て淡白??」
お義母様に要望を言われて鬼女さんと雪女さんは守さんを見る。
そして私も。
それから雪女さんが私に聞いてくる。
「あの、かなめさん。もしかして守君とはあまりしてないの?」
「はい? な、何をですか??」
「何って、夫婦の営みと言うか、子作りを」
ぼっ////////!
雪女さんにそう言われて思わず赤面する。
いや、守さんにはとてもかわいがってもらっているし、物の怪になってからはさらに激しく……
「じゃ、じゃなくて! なんて事聞いてくるんですか雪女さん!」
「いや、普通は出しちまえば妖力は押さえられるんだがな。妖力が抜け出れば自然と体のほてりも収まって来て体の中の妖力を制御できるようになるんだがな。落ち着けば丹田に妖力を集めて押さえれば簡単に人の姿に戻れるんだが……」
「もしかして守君って絶倫?」
赤面しながら雪女さんに抗議すると鬼女さんが説明をして雪女さんがぽつりと感想を言う。
「いやぁ、それ程でも」
守さんは何故かにっこりとしながら頭の後ろなんかポリポリと掻いている。
そこっ!
照れてる場合じゃないでしょうに!!
私たちの、その、そう言う事が筒抜けになっちゃうじゃないの!!
「ふむ、そうすると守が人の姿に戻るには子作りをもっとすればいいのじゃな?」
「まあな、それが一番手っ取り早い。妖力が落ち着きゃ制御だって簡単にできるはずだぜ?」
「でも、そうすると守君ってずっと興奮しているって事よね?」
三人が私と守さんを見ている。
守さんは笑いながら尻尾を振っている。
「もしかして、守君はかなめさんに対してずっと興奮しているって事かしら?」
ぶんぶんぶんっ!
雪女さんにそう言われて守さんは尻尾を激しく振っている。
いや、素直すぎるぞ、その尻尾!
嬉しいは嬉しいけど。
「なんじゃ、では嫁との子作りをもっと盛んにすればいいのじゃな? ではすぐに床を準備してやるから
「なんだいなんだい? 守が男になったのが見れるのかい?」
「え~、お姉さん困っちゃう。でも守君がどのくらい成長したか見たいなぁ~♪」
お義母様も鬼女さんも雪女さんもノリノリでそんな事言ってくる。
「しませんよ! 人前で子作りなんか!!」
「安心せい、儂等は人ではなく物の怪じゃ。さ、すぐにでも
「しません! いくらお義母様の命令でもこれはダメぇっ!!」
思わず悲鳴を上げてしまう私だったのだ。
……数日後守さんは人の姿に簡単に戻れた。
もっともその後に私の腰が痛くてしばらく休む羽目にはなったのだけど……
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