第2話 珍客
今日も今日とてドアの向こうで
「げっ」
「麗奈ちゃん」
「あっ、すみません」
店長に頭を上げている間に、カランカランとドアのベルが鳴り彼女が入店しくてくる。
「いらっしゃいま……え?」
言葉に詰まってしまった。
彼女の後ろから、にゅっとブロンドのロングヘア美人が出てきたから。
「麗奈ちゃん、久しぶり」
「ほうほう。この子が麗奈ちゃんなのね。初めまして」
手を差し出され、挨拶をされた。
「初めまして」
別に私も返す必要はないんだけど、自然と手を差し出してしまった。
優しく握られた手。
こんな美人、テレビでしか見たことない。
大きな目、すっと通った鼻筋。凛々しいい眉毛。
芸能人と言われても不思議じゃない。
「ちょいちょいちょい」
そんな私たちの手を引き剥がしたのは小百合さん。
「いつまで手繋いでんのさ」
初めて見る、慌てた様子の彼女。
それが少しおかしくって、
「ふふっ」
笑ってしまった。
「おっ、麗奈ちゃん。笑顔も可愛いね」
「え、いや、そんなことないんですけど」
否定しました。
しましたけれども、美人さんに褒められて嫌な気はしなかった。
お世辞だとわかっていても。
不思議。
「私のときはいっつもスルーするのに、なんで照れてんの!?」
「ご注文はどうされますか」
「無視しないでよお……」
頭を抱える小百合さんを無視して、美人さんは
「アイスコーヒーで」
注文をした。
「小百合は?」
「……カフェラテで」
拗ねたのか、美人さんの問いに口をとがらせて答えた彼女。
少し可愛いなと思ってしまったのは、多分気の迷い。
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