第13章 告白

桜が散って、春ももう終わる頃、大学のキャンパスが移動する時期がやってきた。移動先からは塾はあまりにも遠く、長期休みでしか入れないような形になった。

 私は決意した。移動してしまう前に、君が好きだという気持ちを文面ではなく、自分の言葉で伝えると。毎日電話はしていたのに、気持ちを伝えるのが怖くてかけられなかった。

 躊躇しているとAから電話がかかってきた。

 いつもどうり他愛のない話をしてたら、言葉が出なくなってきた。空白の時間が流れた。 私がもうすぐ塾に行けなくなることを伝えると、Aは泣いた。私は泣かせてしまったと言うよりは、泣くほど悲しかったということに嬉しさを覚えていた。

 私は迷っていたが、決意を決めた。今言えと自分を鼓舞した。

「あのさ、君に言わなきゃいけないことがあるんだ。」震える声を押し殺して続けた。「君とあってから僕は変わった。短い間だったけどほんとに楽しかったよ。だから、だから」心臓が痛い。鼓動が早い。顔が熱い。けど私はついに言えた。「A君が好きだよ、僕と付き合ってください。」

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