第5章 受験前日

そして3人で勉強をしていると受験はあっという間に近づいてきた。

 私はAにカイロを渡した。体を冷やさないようにと、裏に水性ペンで頑張ってと文字を書いてそれを渡した。迂闊だった。油性ではなかったので、渡す頃には文字がかすれて何を書いてあるのか分からなかった。そんな私をAは笑いながら「せんせーポンコツですね笑笑」と言った。ポンコツという聞きなれない単語に私も笑ってしまい二人でしばらく笑っていた。多忙な毎日から久しぶりに開放されたようだった。

 そして頑張れと一言告げると、Aは笑顔で「行ってきます」と手を振り、塾を出ていった。

 帰宅してお風呂に入り、ご飯を食べ、歯を磨く。いつものルーティンをこなし、就寝準備をしていると、私スマホが鳴っている事に気づいた。こんな時間にかけてくるアホは誰だと思いながら画面を見るとAからだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る