第10話
それから時は経ち、三月十八日。
あの桜の咲かない木に、桜が一輪咲いた。優輝は、それを誰よりも待ち望んでいた少女のことを思い出す。
その手には、彼女の両親から預かった、優輝宛ての手紙が握られていた。この手紙を読むのはきっと、この場所が最適だと考えた優輝は震える手で、その封を切った。
そこにはたった一文、こう書かれてあった。
『あの日から、この桜の木の下で出会ったあの時から、ずっとあなたのことが、好きです。』
と。
きっと彼女は、いずれ満開になるであろうこの桜の木を、ずっと見守り続けるだろう。
桜になれない君 雪蘭 @yukirann
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます