第14話 鏡2

 私は、一応有名私大卒で、明るくて活発な感じだから庶務に配置されたのだろうと、自分なりに納得している。


 営業本部へ配置された同期は、1週間の入社研修終了後には、早速先輩に付いてもう外回りをしているという。


 メディア部とマーケットプランニング部の子は、自席にベッタリ張り付いてPC相手に四苦八苦してるみたい。


 久し振りに、5人が全員揃って顔を合わせるのは、新人研修以来なんです、もちろん、個別ではそれぞれ社内では顔を合わせているけれど。


 私は庶務の仕事で、毎日社内の各部をあちこちを飛び回っているので、近くに行った時には、同期には必ず声をかけている。


 今夜の同期会も、幹事はもちろん私で、みんなの日程調整や店の手配も行っていた。


 みんな新人だから疲れてはいるものの、そこは若さかな、みんなで楽しく飲んで疲れなんか吹っ飛ばしちゃう感じだったの。


 それぞれの仕事の話や職場の状況、人間関係など、お互いにとっても興味深かったし、笑ったり一緒に憤慨したり、とっても楽しかった。


 一番元気だったのは、もちろん私かな。

 結構、いっぱいしゃべりまくったし、みんなを笑わせたかもしれない。幹事だからしょうがないけどね。


 でもちょっと気になったことがあったの。夢香がなんかちょっと、元気なかったかな?


 夢香と書いて『ゆめか』名前も素敵でしょ。顔も綺麗だし、スタイルはいいし、頭は良くて名前までカッコいい。


 同じ女性としても憧れちゃうな。あっ夢香は秘書室勤務の同期の女の子なの。新人研修でも講師役の先輩ったら、夢香の方ばっかり見て講義してたくらいだったもの。


 夢香ってもともと、あんまりおしゃべりな人ではなかったし、みんなの話を聞いて微笑んでることが多かったかな。


 秘書室は毎日、時間は不定期。社長が帰宅するまでは、当たり前に勤務時間なんですって。

女性はせめて22時までには帰して欲しいよね。


 秘書室には特に室長というポストはないの。課長級の男性秘書が3人いて、それぞれの秘書には秘書付の職員が2人ずつ配置されている。


 秘書3人の中でも統括担当秘書がトップで実質の秘書室長と同じなんです。夢香はその統括秘書付の職員なんです。


 秘書3人は優秀で素敵な男性が配置され、秘所付職員の6人もやはり会社の顔と言えるような才色兼備の美女ばかりで、社内でも評判になっている。


 朝は8時前には既に自席に、帰りはほとんどが24時過ぎになる激務で、夢香も会社から10分程度の距離のマンションに、最近引っ越しをしたばかりなの。


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