第13話 鏡1
日常、当たり前に見る鏡。
鏡を、1日何回のぞきこむだろう。
朝、顔を洗うときに、お風呂の中で、夜の歯磨きでも。学校や会社での手洗いのとき、さまざまな場所で、さまざまな時間に。
そこに鏡があれば、ほとんどの人は、鏡をのぞきこむ。鏡に映るのは、いつも自分と、そして映りこむ周りの景色だけである。
昔から、鏡は真実を映すものと言われている。また、心を映すものと言われている。さらには、鏡は異なる世界への通り道とも言われている。
夜寝るときは、鏡は伏せる。鏡を通り道として、異世界から現世に異形のものがやって来るのを防ぐための言い伝えのようだ。
だからこそ鏡台などの大きな鏡は、夜は布を被せるのが昔ながらの習慣になっている。異世界からの不吉なものの侵入を防ぐために・・・・・
鏡が異世界との通り道になるのだとしたら、無意識にのぞきこむ鏡。そこに映るものは、本当に真実だけなのだろうか?
深夜に独りで、鏡をのぞきこんだことはありますか?私は、なんかちょっと怖くて、鏡をのぞきこめないんですけど。
あなたはどうですか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今日は花の金曜日。このところ結構忙しかったけど、今日は、何とか定時に仕事を終了させた。
実は今日は、入社1年目の同期の仲間たち5人と飲み会なんです。みんな飲み会ではハメを外してもう大騒ぎしちゃったの。
同じ部署の先輩がカッコいいだの、同じ係のお局様が、何をするにもチクチク虐めてくるのなど、苦情も多かったな。
やっぱり1年目だから、先輩からは何を言われても、答えは「ハイ」しか言えない。初めくらいは優等生でいないと、みんなに目をつけられちゃうからね。
お昼だって先輩たちは、12時のチャイムが鳴ると同時に、外にご飯を食べに行く。
でもね、新人は仕事が慣れてないし、モタモタしてると、お昼ごはんも食べられないときがあるくらいなの。
だから職場に回ってくる仕出し弁当屋さんのお弁当を頼んで、自席で食べながらもお仕事をしてるそんな毎日です。
みんな一度は通る道なのかもしれないけど、慣れるまではしょうがないと諦めてる。入社してまだ3か月ちょっとだけど、やっと少しは仕事の仕方が見えてきたかなと思う。
私は総務の庶務に配置され、残りの同期4人は営業本部に1人、メディア部に1人、マーケットプランニング部に1人、そして1番優秀な1人は秘書室に配置された。
秘書室に配置された同期は、東大卒で頭が良くて、しかもめちゃ美人なの。だから外部の偉い方たちとも顔を合わせる機会が多い秘書室に配置されたのかもしれない。
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