第150話




〈マジで羨ましいわ〉

〈見てほしかったけど……残念です。でも、マネージャーのおかげでこれまで倒せなかったタートルマウスに勝てるようになったので良かったです!〉

〈装備見直しただけでかなり変わったわ……本当ありがとうございます!〉


 俺が公開した情報でより能力が上がる冒険者もいるとは思うが、皆に情報が共有されれば、特に変化はなくなるだろう。

 全体が強くなれば平均が上がるわけだからな。裕福な人がランクの高い装備を買い漁れるという部分はあると思うが、あくまでそれだけだ。


〈そういえば、マネージャーさんたちのステータスってどのくらいなんですか?〉

〈澪奈ちゃんとかカトレアちゃんも知りたいです!〉

〈カトレアちゃんってやっぱり異世界人は強いんですかね?〉


 そんなコメントがいくつも飛んできていた。

 やはりそう言われるとは思っていたので、俺も事前に準備しておいたステータス一覧を概要欄の部分に記載する。


「とりあえず、今の自分たちのステータスを載せておきますね」


 装備品やスキルに関しては載せないで、あくまでステータスのみだ。

 それでも、俺たちのステータスを見せた瞬間、コメントが増えていく。


〈え? このステータスってどうなんだ?〉

〈でも、Sランク冒険者ってことはめっちゃ強いんだよな?〉

〈皆高いな……でも、総合的にみるとカトレアちゃんが一番か?〉

〈やっぱり異世界人って強いんだな……〉

〈レベルから見ると、カトレアちゃんってまだまだ伸びしろだらけだよな……〉


 それに関しては同意見だ。

 カトレアもここ数日でレベルアップしているのだが、その伸びは非常に高い。

 ただ、それでもレベルが低いのはエルフ故だからなのだろうか?

 まだまだ異世界人に関しては分からないことも多いんだよな。


〈戦う魔物のステータスってどのくらいなんですか?〉

〈魔物のステータスも教えてほしいです!〉

「マネージャー。次はゴブリンの情報が見たいみたい」


 ……らしいな。

 澪奈からの指摘を受け、俺はすぐに概要欄を再編集し、ゴブリンのステータスも記載する。

 最初にすべて乗せようかとも思っていたのだが、こうやってリアルタイムで更新していったほうが盛り上がるだろうと考えていた。

 実際、ステータスを公開していくと、コメント欄は盛り上がっていくし、さらに視聴者もどんどん増えていっている。

 あっさりと二十万人を超えていた。


〈ゴブリンのステータス高いな〉

〈……これが異世界のゴブリンか〉

〈こう考えると、マジで日本の冒険者たちじゃどうしようもないよな……〉

〈……万が一、一体でも日本に現れてたら日本終わるぞ〉

〈昔迷宮が出たときに異世界級の魔物が出なくて良かったな〉


 それは本当にそうだと思うな。

 人も集まり、俺たちの情報公開も終わったところで、早速異世界へと向かう。

 そこからは、俺は周囲の警戒に当たり、澪奈とカトレアを中心に生放送は行ってもらう。


 俺も質問がくれば答えるが、そもそもあまり映りたくはないからな。あくまで俺は澪奈のマネージャーだ。最近はカトレアのマネージャーを務めることも多くなっているので、二人のマネージャーでもいいけどさ。


 そうして生放送をしていると、俺のスマホに着信が来ていた。

 秋雨会長からだ。

 生放送中だったので、最初の着信は無視したのだが、それからも少し時間をおいて連絡がかかってくる。


 生放送中なので出るのは迷ったのだが、いつもはかかってこない電話だ。

 それも連続して電話がかかってくるというのは、何かあったに違いない。

 そんなことを考えていると、


「マネージャー。なんだか暴走状態の迷宮がいくつか確認されてるみたい」

「え? そうなんですか?」

「うん。コメント欄見てみて」


 電話と周囲を警戒していたため、コメント欄をあまり注目していなかった。

 澪奈にいわれてみてみると、確かに迷宮の暴走についてのコメントがいくつも見られた。

 都内で一つ、さらに地方のほうで四つほどあるらしい。

 ……もしかしたら、先ほどの秋雨会長からの着信もそれかもしれない。


「すみません。ちょっとギルド協会から着信があったので、確認してきます」

「分かった。そういうわけで、ちょっとマネージャーは離れるからね」


 ……といっても、生放送自体はさっきまでと別段変わらないだろう。

 俺は澪奈とカトレアの生放送を邪魔しないよう、少し離れたところで折り返した。




―――――――――――

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!


『楽しかった!』 『続きが気になる!』という方は【☆☆☆】や【ブクマ】をしていただけると嬉しいです!


ランキングに影響があり、作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る