第140話
「カトレアさん。異世界では野生の魔物とかも血とか流さないんですか?」
「魔物は流しませんね。詳しい話をするには、魔物の生まれについて話をしないといけませんね」
「お聞きしてもよろしですか、先生」
「ええ、いいですよ」
カトレアがふふんと胸を張る。……その行動でコメント欄が盛り上がるんだよな。
それからカトレアは人差し指を立て、微笑とともに解説する。
「魔物、というのはあの夜を照らす月にる魔物の神である魔神が生み出している……とされています。魔神は魔物を生み出す際、月にある石――魔石を媒介に魔物を製造し、それをこの世界に召喚しているのです。倒された魔物たちは魔石と、魔神が作った際に使用した素材のみを残す、というわけです。……まあ、あくまでそういうふうに話をされているだけで、本当に魔神たちを確認したわけではないみたいなんですけどね」
つまりはおとぎ話に近い部分はあるのかもしれないが、それでも多少は納得できる理由ではある。
「では、魔物たちは繁殖などはしないのですか?」
すべての魔物が魔神によって生み出されるとするのなら、繁殖などで数を増やすことはないだろう。
「私とマネージャー様のように、魔物もしますよ」
「真剣な顔で嘘つかないでください」
「魔物たちには微量ながら魔神が持つとされる魔物を生み出す力もあるので、それで増殖は可能です。また魔物によっては人間に懐く個体もいますので、例えばドラゴンなどを卵から育て、乗り物にしている……というのは聞いたことはありますね」
「なるほど。では、迷宮ってどうなんですか? 迷宮も同じように魔神が生み出しているのですか?」
「そう、されてますね。私たちの世界にも迷宮はありますが、魔神が地上を侵略するために造りだしているとされています。地球の迷宮についてまでは……さすがに分かりませんね」
「そうですか。ありがとうございます」
「いえ。ダーリンの質問に答えるのは妻として当然ですから」
にこりと微笑むカトレアの言葉に、コメント欄が荒れていく。
〈は? ちょっと待て? どういう意味だ?〉
〈マネージャーに手を出したのか? ああ?〉
〈おいマネージャー! 俺たちはマネージャーと澪奈のカップル推しなんだぞ!?〉
〈マネージャー! てめぇは澪奈ちゃんとカトレアちゃんの百合チャンネルには邪魔だから消えろ!〉
〈おーコメント欄が面白い感じに盛り上がってるな〉
〈見てる分には楽しいな。俺は冒険者活動見られればそれでいいからあとは自由にやってくれ〉
……コメントは一気に加速していく。
半分くらいはきっと冗談のはずだ。
コメント欄を見なかったことにして、俺は二人に声をかける。
「ちょうど、魔物がこちらに向かってきているようです。今回のゴブリンにはゴブリンリーダーが混じっていますね」
「ゴブリンリーダーは強い?」
「ゴブリンたちよりも一回り、ですかね」
……分身たちは相手のステータスを把握する力も持っているので、実力に関してはすでに把握している。
とはいえ、正確な力を測るには実際に見てみる他ない。
森の奥から姿を見せたのは、ゴブリン五体とゴブリンリーダーだ。
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