第139話
分身を追ってやってきたゴブリンは合計五体だ。
ちょうど、最後の分身の背中にもっていた棍棒が叩きつけられ、分身が倒れた。
こちらに気づいたゴブリンたちが好奇の笑みを浮かべる。下卑たその笑みは、俺たちを獲物と定めたようで五体がそれぞれ武器を構えた。
俺は、冷静にその様子を観察しながら、自分たちのステータスを思い出し、比較した。
茅野圭介 レベル80 筋力:440 体力:80 速度:480 魔法力:80 器用:80 精神:80 運:80
ステータスポイント:0
スキル:【格闘術:ランク14】【石投げ:ランク9】【鼓舞:ランク8】
職業:【商人】
装備:【キングワーウルフの指輪 筋力+30 速度+30】【速度のネックレス 速度+80】【筋力のネックレス 筋力+80】 【キングリザードマンのネックレス 筋力+60 速度+60】
装備合計:筋力+170 速度+170
ステータスポイント割り振り:筋力+20 速度+60
神崎澪奈(かんざきれいな) レベル75 筋力:340 体力:35 速度:563 魔法力:49 器用:253 精神:30 運:30
ステータスポイント:0
スキル:【氷魔法:ランク4】【剣術:ランク9】【銃術:ランク9】
装備:【ロングソード 筋力+40 速度+40】【ハンドガン 速度+40 器用+40】【ロングソード 筋力+60 速度+60】【ハンドガン 速度+60 器用+60】
装備合計:筋力+100 速度+200 器用+100
……どうやら、とりあえず盛り上がってはいたようだ。
相手がゴブリンなので視聴者からすれば分かりづらいかもと思っていたが、どうやらゴブリンたちの強さはしっかりと伝わっているようだ。
それが確認できただけで十分だ。
「とりあえず、戦闘自体は問題なさそうですね」
俺がそう言うと、澪奈が頷いた。
「うん、何とか」
「ただ、不意を突かれたら危険ではありますね」
カトレアの意見にも同意だな。
今のように準備ができていればなんとかなる。
……ひとまず、ゴブリンたちを余裕で倒せるようになるまでレベルを上げないとだな。
「とりあえず、しばらくはこんな感じで戦っていきましょうか」
問いかけに二人は頷き、俺たちは生放送でコメント欄と盛り上がりながら異世界での初配信を行っていった。
襲い掛かってきたゴブリンたちを仕留めたところで、俺は小さく息を吐いた。
……戦闘は順調だ。
それに、俺たちの連携も中々うまくできている。
連携、といってもやっていることは俺たち三人で手の空いている人が、隙を見せたゴブリンを仕留めていくだけなんだけど。
三人での一緒に戦闘を行うのは初めてだったが、案外うまく行っている。
戦闘については、今日のところは安全面に配慮してのゴブリンを誘い出しての戦闘をメインにしている。
そのため、戦闘の合間で時間がある場合は、コメントを拾い上げていくという形だ。
ちょうど、カトレアへの質問が来て、澪奈が問いかける。
「カトレアの魔法ってどんな感じなの? コメントで質問されてるけど……」
「正確には精霊術と言いますね。精霊の力を借りて、魔法を放つというものです」
「普通の魔法とはどこが違うの?」
「普通の魔法は、すべて自分で行いますよね? ただ、精霊術の場合は契約している精霊に魔力を渡して、魔法を準備してもらいます。なので、契約している精霊自体で様々な魔法を使えますし、同時に複数の魔法の準備もできますね」
……つまり、【精霊術】一つで【火魔法】、【氷魔法】の二つの役割をこなすこともできるってことだよな?
それってチートではないだろうか?
そう考えたのは俺だけではない。
〈……え? 精霊術ヤバすぎないか……?〉
〈【火魔法】のみの俺の完全上位互換じゃん……〉
コメント欄に完全同意だ。
「そうなんだ……私は【氷魔法】を使えるけど、カトレアはどのくらい使えるの?」
「私はすべての属性魔法が使用できますね。ただ、製作系の精霊さんとはあまり親しくなくて……だから魔道具が上手に作れないんですよね」
「そういうタイプの精霊もいるんだ」
「はい。様々な精霊がいますよ。これは日本の八百万の神様、に似ている考えだと思います。すべてのものに神が宿るように、すべてのものに精霊が宿っているんですよ」
「……なるほど。だそうです」
だから、契約さえできれば何でもできるということか。
〈精霊術が凄いってことは伝わったな〉
〈カトレアちゃんの力が化け物みたいに高いこともな〉
〈その精霊術って異世界の人って結構持ってるのか? エルフの固有スキルみたいなことってありえるのか?〉
「【精霊術】を確認できているのはエルフだけみたいですね? でも、先祖にエルフの血が入っていれば発現する可能性はあるので、わりと異世界の人なら結構チャンスはあるかもしれませんね」
〈なるほどなぁ……俺も異世界人に生まれたかったわ〉
〈他の種族にも固有スキルとかってあるんですか?〉
「あったと思います。私も両親から聞いただけなので良く覚えていませんけど、確か獣人や竜人が獣化、竜化のスキルを使用できたはずです」
……そうなんだな。
様々な種族が異世界にはいると話していたし、固有スキルというのも別に珍しくもないのかもしれない。
話をしながらもゴブリンは襲い掛かってくる。
……それにしても、この周辺にゴブリンが沸きすぎだ。
おかげで、レベル上げの効率が良くて助かってはいるが。
レベルは順調に上がっている。
Aランク迷宮で狩りをしていたときよりもハイペースだ。
ちょうどゴブリンを仕留めたところでコメント欄を見ると、再び質問が来ていた。
〈おつです。そういえば、魔物たちって迷宮みたいに消えますよね〉〈血とかも流れないですけど、なんだか迷宮内に似てますね〉
一度コメント欄にその疑問が生まれると、いくつも似たような質問が増えていく。
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