第135話





 でもここで語るべき内容ではない。

 ……まあ、とりあえず視聴者は減っていないし、今も増えているのでいいか。


「カトレアは下ネタが結構好きなので、たまにこうして暴走する。もしBANされそうなら、今後は口にガムテープをつける」

「そういうプレイですか?」

「その場合は手錠もするから」

「それはまた、興味ありますね」

「マネージャー、買ってくる?」

「行きません」


〈草〉

〈下ネタエルフやん……〉

〈カトレアちゃん……とにかく元気でなにより〉

〈カトレアちゃん……可愛いなぁ〉

〈カトレアちゃん……ミュートにしたら可愛いなぁ〉

〈コメント欄、思考放棄してる人ばかりで草〉


 ……さっそくカトレアに変なあだ名がついてきてしまった。

 カトレアがコメント欄に対して、頬を膨らませながら答える。


「性への探求はとても重要なことです。というのも、私たちエルフは子を成しにくいということで、いかにして繁殖力を高めるかを研究していたみたいなんです。あっ、私生まれたときから天涯孤独だったので拾ってくれた両親から聞いただけなので断言はできないんですけどね」


〈わりと切実な理由やん……〉

〈興味強いのってそういう理由か〉

〈……ていうか、天涯孤独なの? カトレアちゃん……頑張って生きてきたんだなぁ〉

〈応援してあげたい気持ちが強くなったわ……〉

〈俺もだ……。つまり、エルフは種族全体としてエッチってことでいいのか?〉


「エルフはエッチ。たぶんそうです」

「エルフ代表して大丈夫? 他のエルフと関わりないって言ってたけど」

「大丈夫じゃないですか? もしも今後ほかのエルフの方が出てエッチじゃなかったら私が洗脳しますから!」


〈草〉

〈おい、これマネージャー止めなくていいのか?〉

〈MeiQubeくんがBANしてないからいいんだろ……〉

〈まあ、気づけば五十万人も見ている生放送止めるのはさすがにMeiQubeもしないだろ〉

〈忖度はあんまり好きじゃないが、これに関してはナイス判断だ運営〉


 ……マジかよ。

 全世界の言語に自動で変換できるとなったとたんにここまで視聴者が伸びるとは思っていなかった。

 つまり、それまで見たかったけど言語が分からないから見ていなかったって人が多くいたんだな。

 五十万人を超えたが、まだまだ人は増えている。

 そんだけの人に見られるような立場の人間ではないので、俺としてはめちゃくちゃ緊張しているのだが澪奈もカトレアもまったく意識していないのは、もう生まれ持っての資質のようなものだろう。


 とりあえず、五十万人は一つの区切りだな。開始から十分ほど経っているし、異世界に移動しても問題ないだろう。


「というわけで、そろそろ異世界に行きましょうか?」


 俺が声をかけると、二人がこくりと頷いた。

 そこで、コメントが一気に加速する。


〈いよいよ異世界か!〉

〈まさか本当に異世界があるなんてな……!〉

〈この異世界が今世界中が注目しているんだよな……?〉

〈普通、もっと大がかりな報道とかするべきなくらいなんだよなぁ〉

〈まあでも……さすがにこの二人以外でまともに異世界で戦える人は今の日本にはいないだろうからな……〉


 カトレアが軽く息を吐いてから、腕をぴんと伸ばす。

 自分の右太ももを叩くように彼女が伸ばすと、彼女の近くで精霊が光り、それから眼前に人が通れるだけの穴ができた。

 俺たちが穴の先へと入り、それから背後へと視線を向ける。




―――――――――――

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!


『楽しかった!』 『続きが気になる!』という方は【☆☆☆】や【ブクマ】をしていただけると嬉しいです!


ランキングに影響があり、作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る