第122話



 俺は、スマホにメモしたカトレアのステータスを確認する。

 

 カトレア レベル21 筋力:463 体力:228 速度:467 魔法力:598 器用:247 精神:245 運:131

 ステータスポイント:0

 スキル:【精霊術:ランク4】

 装備:【精霊のステッキ】【賢者のローブ】【エレメントリング】【エレメントリング】


 ……恐ろしいのは、このステータスだ。

 俺のこれまでに出会ってきた人たちの基準では、カトレアはSランク冒険者の資格を満たしている。

 そして、恐らくカトレアほどのステータスを有している人間はこの地球上にそうはいないだろう。


 耳が本物であることも含め、確実にこの地球の人間ではないのだろうとは思っていた。


 ……まあ、たまたま迷宮の一部が他のこの地球上に隠れていた耳の長い種族のもとにつながって、たまたまカトレアが紛れ込んでしまったという可能性もなくはないのだろうけど。


 結局のところ、迷宮に関してはわからないことが多いからな。


『とりあえず、今日はマネージャーの家に行って軽く生放送をしようと思う』

「雑談配信って感じだよな? でも昨日もしたし、疲れとかはないか?」


 ……一応昨日も生放送をしている。おまけに、昨日に関しては二回もだ。

 二回目はほとんど俺が戦うだけではあったが、それでも疲労がまったくないわけではないだろう。


『さすがに、昨日の迷宮攻略の振り返りと、今後についての疑問、カトレアのことについての疑問とかもうたくさんあるから早めに答えたほうがいいと思った』

「……確かに、それはそうだな」


 俺のメールボックスもファンレターから企業案件やら純粋な疑問やらオファーやらと、山のように送られてきてるからな。

 すぐに返したいところだが、現在様々な対応に追われていてまだ返信できずにいたからな……。


『だから、またちょこっと生放送を行おう』

「了解だ」


 澪奈との通話が切れたところで、玄関の鍵が開いた。

 視線を向けるとそこには澪奈がいた。買い物袋をもってやってきた彼女がいつものように夕食の準備を始め、俺は生放送の準備をしていくことに。

 同時に、今もらっているメールの振り分けもしないとなぁ、と思った俺がそこで少し思いつく。


 【軍勢】を使用した俺は、スマホを分身に手渡し、俺の意図を伝える。

 メールに来ているメールを振り分けてくれ、というものだ。

 一応、メール機能を使い最低限の振り分けはしているのだが、形式の違うメール文体だとまるで機能しないからな……。


 ……今後、メールアドレスはもう一つ作ったほうがいいかもなぁ。

 ファンレター用と仕事の依頼などは別に分けてもいいかもしれない。

 最初ホームページを作成したときはまさかここまで一気に注目されることになるとは思っていなかったんだよな。


 嬉しいことではあるので、いいんだけどさ。

 分身はすぐに俺のスマホに連携させていたメールボックスを開き、企業案件、クラン案件、ファンレター、迷惑メールと振り分けてくれる。


 ……おお、これは便利だ。

 俺と同じ考えを共有しているので、作業員が一人増えたようなものだ。

 今後は分身にも色々と作業を手伝ってもらおう。

 例えば、カメラマンなどだ。


 【軍勢】はこれまでに獲得してきたどのスキルよりも便利かもしれない。

 そんなことを考えながら、俺は生放送の準備を行っていった。





「皆さん、どうもこんばんは」


 自室の壁を背景に、俺たちは生放送を開始していた。

 開始と同時に視聴者は五万人を超え、さらに今も増えていく。

 ……いや、ほんともう化け物みたいな人数だな。


〈こんばんはー〉

〈いきなりの生放送で驚きましたよ〉

〈元気そうで何よりです!〉

〈マネージャーさん、新宿の戦闘見ました! ものすごかったですね!〉

〈すぐに解決してくれて助かりました! 本当ありがとうございます!〉


「わーお。マネージャー、凄いくらいコメントされてる」

「……新宿の戦闘に関しては俺はあんまり何もしてないっていうか」

「新しいスキルのおかげ、って部分はあったもんね。その新しいスキルのおかげで、カメラマンができました」


 澪奈がそういったところで、カメラを持っていた分身がちらと自身の体を映すようにカメラを動かした。


〈まさか分身にカメラマンをお願いしてるのかww〉

〈長年の問題が解決してて草w〉

〈あの新宿の魔物を一掃したカメラマンだろ……? 下手なアシスタント雇うよりも強いなw〉

〈色々充実していっているなw〉

〈あっ、登録者数150万人おめでとうございます!〉


「え? あれ? いつの間にそんなに?」


 澪奈と同意見だ。

 この前百万人を超えたばかりだと思っていたのに、ちょうど百五十万人を超えていた。


〈昨日のキングリザードマンとの一騎打ちでバズってましたよw〉

〈あと、今朝の新宿の問題をあっさり解決したやつもです〉


「あれ、もしかしてマネージャーのおかげ?」


〈かもしれないです〉

〈あれだけの戦いを見せられたらな……〉

〈新宿の掃討作戦やばかったな〉

〈マジで一瞬で片づけたからな……大手クランの和心クランでさえ、討伐に時間かかってたのに……〉

〈マネージャー一人で軍隊持っているようなもんだったもんな……〉


「まずい。マネージャーにチャンネル乗っ取られてる……」


〈w〉

〈気にするところそこですか〉

〈私もマネージャーさんを見たくて来てましたけど、澪奈さんのファンにもなりましたから安心してください!〉


 そんな雑談を交えたところで、澪奈が思い出したように声を上げた。




―――――――――――

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