第37話

「私とマネージャーで下見してきた感じはTwitterでもあげてたけど、これから本格的なツアー開始」


〈ツアー扱いで草〉

〈澪奈ちゃんもマネージャーさんも怪我だけはしないようにね……〉

〈Twotterの画像拝見しました! あの迷宮の魔法陣ってなんなんですかね???〉


「魔法陣に関してもまたあとで説明しますから、ちょっと待ってて……、マネージャー。まず入口から映してください」


 澪奈が俺に声をかけ、俺は迷宮の黒い渦へと向ける。


〈おっ、でたおんぼろアパート〉

〈でも、そのうち引っ越せるかもしれないよな。今の澪奈ちゃんの収益の何割かがマネージャーのところに行くんだろ?〉

〈引っ越したらこの迷宮に入れなくなるしなぁ〉

〈マネージャーさん! これ引っ越し代に使ってください! ¥1000〉


「マネージャーの部屋が狭いのはひとまず脇に置いておいて、入口はこんな感じです。昨日攻略したけど、何も変わってない、黒い渦のまま」


〈冒険者の意見からすると攻略自体はされたけど、また新しく迷宮が発生したんじゃないかって感じ〉

〈だとしたら不運で草〉

〈迷宮が連続で発生って運がいいのか悪いのか……〉

〈澪奈ちゃんのマネージャーに慣れてる時点で運がいいのでは?〉


 それは一理あるかも。

 なんてコメント欄を見ながら思ってしまった。


「それじゃあ、皆さんお待ちかねの中へとご案内。ただ、戦闘するときはコメント見られないから、そこだけは理解してください。本当にまずいときはマネージャーも戦闘に参加するから、画面も映せないかもしれないので、それもご理解お願いします」


〈了解〉

〈まあ、澪奈ちゃんの安全第一だからね〉

〈マネージャーさん、お見舞金です ¥1000〉

〈マネージャーさんも気を付けてください! ¥500〉


 澪奈には事前にそう伝えておくようにとは言っている。

 一日中戦闘をしたおかげで、俺たちのステータスはずいぶんと成長した。


 茅野圭介 レベル28 筋力:61 体力:28 速度:80 魔法力:28 器用:28 精神:28 運:28

 ステータスポイント:0

 職業:【商人】

 装備:【ゴブリンリーダーの指輪 筋力+6 速度+6 スキル:鼓舞】【速度のネックレス 速度+18】【筋力のネックレス 筋力+18】【速度のネックレス 速度+9】


 装備合計:筋力+24 速度+33

 ステータスポイント割り振り:筋力+9 速度+19


 神崎澪奈(かんざきれいな) レベル28 筋力:80 体力:16 速度:123 魔法力:23 器用:47 精神:12 運:12

 ステータスポイント:0

 スキル:【氷魔法:ランク3】【剣術:ランク3】【銃術:ランク4】

 装備:【ロングソード 筋力+9 速度+9】【ハンドガン 速度+9 器用+9】【ロングソード 筋力+3 速度+3】【ハンドガン 器用+3】


 装備合計:筋力+12 速度+21 器用+12


 このステータスに、俺が【鼓舞】を使用すれば澪奈のステータスはさらに上がるので、たぶん問題ないと思うが……それでもすべての不安が拭えたわけではない。




〈そういえば昨日の配信だとここDランク迷宮って検査されてなかった?〉

〈ソロで戦うって澪奈さん、ソロでDランクの魔物倒せるの?〉

〈それって冒険者的にどうなの? 強いの?〉

〈強すぎ。そもそも、複数人で一体の魔物と戦うのが前提だから。一対一だと、能力差があったらどうしようもない〉

〈……澪奈ちゃん、十八歳だよな?〉

〈だったら、高校生でも上位の冒険者。それに、今までの活動見てるに今急成長してるんだと思う〉


 冒険者が急成長することがある、というのは聞いたことがある。

 覚醒と似たような感じだが、こちらはどちらかというと覚醒に比べて緩やかに成長していくものだ。

 急成長も覚醒も恐らく溜まっていたステータスポイントが適切に割り振られて行っているんだと今なら説明できる。


 澪奈の場合もステータスポイント自体は多くあったが、それが溜まったままだったんだしな。


 なんだかんだ話していると、視聴者も3000人を超えている。

 あまり待たせても仕方ないので、俺たちは黒い渦を潜り、迷宮へと入る。

 まぶしい日差しが入りこみ、コメント欄からも〈目がああああ!〉なんてコメントが増えている。

 外の時間、気温、季節とはまったく関係がないのが、迷宮の特徴だ。


「今日ずっと入っていたけど、ここの天気はずっと快晴。気温も18℃くらい? 春の陽気って感じで気持ちいい。お昼寝したい気分です」


〈迷宮で昼寝はまずいですよ!〉

〈ほんと、迷宮じゃなければこれだけの土地って色々使えそうなのになぁ〉

〈それは各国の長年の夢だもんな。原子力とか迷宮内に設置できたら比較的安全なのになぁ〉


「あっ、マネージャーの家だと洗濯干す場所なかったから、うってつけかも?」


〈うってつけではないと思うw〉

〈でも、家の近くに迷宮あって快晴のままだったら干したい気持ちはわかる〉





―――――――――

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