第6話


 茅野圭介 レベル2 筋力:6 体力:2 速度:8 魔法力:2 器用:2 精神:2 運:2

 ステータスポイント:1

 職業:【商人】

 装備:【ロングソード】【なし】【なし】【なし】


 レベルが2に上がり、すべてのステータスが1ずつ上がった。

 さらにステータスポイントも1増えている。このステータスポイントは、各ステータスに自由に割り振れるポイントのようだ。

 ……なるほどな。これで自分なりの育成をしていける、ということか。


 とりあえず、攻撃力よりも速度のほうが大事だと思った俺は、速度を8にした。

 最悪、敵の攻撃を回避できれば勝機は見えてくるだろうしな。


 ドロップしていたゴブリンのアイテムは魔石と爪か。

 ドロップは魔石と+αという感じなので素材も一緒にドロップしたのは運がいいな。

 これらを売却すると、10ゴールドか。……まあGランク迷宮のゴブリンの素材ともなればこの程度か。


 この調子で早速次の魔物を仕留めに行きたかったが、一度装備を整えようと思った。

 

 部屋に戻った俺は今ある現金を確認する。

 俺は高卒で事務所に入り、そこで四年仕事をした。

 今年、二十三歳になる社会人なのだが、お金は結構ある。


 四年分の貯金で400万ほどある。ほとんど金を使う機会がなかったからな……。

 俺はその金を下ろせるだけおろすことにした。


 夜間でもやっている銀行の窓口へと向かう。

 冒険者は夜でも急にお金が必要になることから、迷宮が出現してからは夜間でも対応してくれる窓口はところどころにある。

 昼よりもかなりの手数料がかかるが、今すぐに迷宮攻略をしたかった俺はそこで、250万円を下ろした。


 持ち歩くのは怖かったので、外に出たところですべてゴールドに変換する。

 これで250万ゴールドだ。

 装備は四つつけられるので、残りの三枠を埋めようと思う。


「装備品は……特に決まりはないんだな」


 ゲームとかだと武器、盾、兜、鎧……のように決まっていると思うが、ここでは特に関係ないようだ。

 なら、動きやすいものでいいか。

 アクセサリーを三つ購入する。


 速度のネックレス ランク7

 効果:【速度+18】

 100万ゴールド


 筋力のネックレス ランク7

 効果:【筋力+18】

 100万ゴールド


 速度のネックレス ランク4

 効果:【速度+9】

 50万ゴールド


 これらを装備した俺のステータスは、かなり上昇した。


 茅野圭介 レベル2 筋力:23 体力:2 速度:34 魔法力:2 器用:2 精神:2 運:2

 ステータスポイント:0

 職業:【商人】

 装備:【ロングソード】【速度のネックレス】【筋力のネックレス】【速度のネックレス】


 早速この体でゴブリンを倒しに行くと――ゴブリンが止まって見えた。

 これが課金の力か。

 迫ってきたゴブリンの攻撃をかわし、体を両断してやる。


「ギャアア!?」


 向こうが気づいたときにはすでに懐へと入りこんで倒す。

 ……圧倒的な力に圧倒的な速度。

 始まったばかりのソシャゲに金を注ぎ込んでいる気分だ。

 ……とにかく、このままいけるところまで行ってしまおう。




 それからも迷宮の一階層でゴブリンたちを倒しながら進んでいく。

 この階層に出てくるゴブリンのレベルは3から5だ。

 なので、次の階層に進むのはレベルを5にあげてからだ。


 250万ゴールドの課金パワーは凄まじく、現れるゴブリンたちをものともしない。

 ゴブリンのステータスには個体差があるが、高くても筋力の数値が10あるかないかというところなので、ぼこぼこにできる。


 そうして俺は自分のレベルが5に到達したところで、二階層へと降りた。

 似たような洞窟が続いている。

 背後に階段がなければ、ここが二階層であることを忘れてしまいそうになるな。

 迷宮というのは似たような構造であることが多いため、マッピングはしっかりやらないとダメだ。


 迷宮内の構造を把握するスキルでもあれば話は別だが、俺は持っていないからな。

 持ってきたスマホの冒険者アプリを使って地図を簡単に書きながら、進んでいく。


 しばらく進むと、一階層同様にゴブリンが生み出される。

 そのステータスを確認する。


 ゴブリンA レベル5 筋力:8 体力:5 速度:7 魔法力:1 器用:2 精神:3 運:3

 ステータスポイント:0

 スキル:なし

 装備:【棍棒】


 レベル5か。

 それでも、ステータスは俺以下。新しいスキルは特にないな。

 ゴブリンは倒していくとB、Cという感じで続いていき、Zまでいくと再びAに戻る。


 階層ごとにも分かれているようだ。一階層で先程戦ったゴブリンがゴブリンCだったからな。

 こちらに気づいたゴブリンが飛び掛かってくるが、動きは遅く見えた。


 かわしながら剣を振りぬき、仕留めたゴブリンの素材を売却する。


 なんだかんだ今の戦闘で得た素材を売却し、1000ゴールドに到達したな。

 一応最低ランクの治療玉なら購入できるようになった。


 今のショップで売られている治療玉はランクが10まであり、ランク1が1000ゴールドで、そこから一つランクがあがるたびに1000ゴールドずつ上がっていく。


 10000ゴールドのランク10治療玉なら大半の傷は治療できそうなので、一つ持っておいてもいいか。

 果たして、これが市販のポーションとどの程度効果が違うのかは気になるところではある。

 まあ、まだ危険はないのでひとまずはこのまま進もうか。


 二階層に出現するゴブリンはレベル4から5だったので、さっさとマッピングして三階層を目指す。


 三階層に出現する魔物も、ゴブリンだ。レベルは6。

 ……ただ、ここまでの戦闘で俺もレベルは6に上がっている。そもそも、装備品のおかげでステータスは非常に高い。


 このまま、次の階層に向かっても問題ないだろう。


 戦闘を重ねていたからか、剣の扱いにもずいぶん慣れてきた気がする。

 ゴブリンの棍棒をかわし、その首へと剣を振りぬいて仕留める。

 ドロップした素材を回収し、すぐ次の戦闘へと向かう。


 時には二体、三体と出てきたが、冷静に一体ずつ倒せば問題はない。


 戦闘を重ねていくと、素材がゴールドに変換でき、経験値によってレベルアップする。

 ゴールドがたまれば装備品も購入できて、ステータスを底上げすることが可能、か。


 本当にRPGでもやっているようで楽しいな。

 こう目に見えて努力が成果が出ていると、楽しめるものだ。

 この迷宮って二十階層まであるんだったか?

 まあ、あの測定器も完璧ではないので実際はもっと短いこともあるし、長いこともあるんだよな。


 どちらにせよ、今の俺のステータスなら二十階層くらいまでは行けそうだけど……問題はボスモンスターだ。

 ボスモンスターというのは通常のモンスターの数倍強いことがほとんどだからな。


 その分、レアドロップがあるなど恩恵もあるが……挑戦するのはまた今度にしたほうがいいだろう。


 そんなことを考えながら四階層を突破し、五階層へと向かう。

 ……迷宮内を移動するスキルが欲しいけど、何か代用できるものはないだろうか。

 ゴブリンを仕留めながらショップを見ていくと、俺の願いをかなえてくれそうなアイテムを発見する。


「ダンジョンワープ玉か」


 これは使用すると、一度行ったことのある場所に移動できるようだ。

 お値段10000ゴールドでほかのランクの品は売られていない。

 これを使えば、一応一階層へ瞬時にワープできるみたいだが……10000ゴールドか。


 ここまでのゴブリン狩りで稼げたゴールドは2000ゴールドほどだ。

 完全に赤字だ。たぶん、Gランク迷宮だととてもペイできるようなアイテムではない。


「もう少し、深くまで潜ってから使うほうがいいよな? な、どう思うゴブリン?」

「ギャア!?」


 笑顔とともに問いかけながらゴブリンを切り裂き、レベル7に上がった。


 うーん……俺もしかして結構ストレスたまっていたのだろうか?

 五階層のマッピングもほぼ終わったし、そろそろ戻るか。

 今の時刻は二十二時。ここからまっすぐ帰っても一時間くらいはかかるだろう。


 途中に現れたゴブリンを狩りつつ、自分のステータスを眺めながら、俺は自宅目指して歩いていく。


 そうしながら、自分のスマホにステータス画面のメモを映す。

 ステータス画面だと、どの装備品でどのくらい上がったか分からないからな。ステータスポイントの割り振りも載ってないし。

 なので、自分で管理することにしたのだ。


 茅野圭介 レベル7 筋力:33 体力:7 速度:39 魔法力:7 器用:7 精神:7 運:7

 ステータスポイント:0

 職業:【商人】

 装備:【ロングソード 筋力+3 速度+3】【速度のネックレス 速度+18】【筋力のネックレス 筋力+18】【速度のネックレス 速度+9】


 装備合計:筋力+21 速度+30

 ステータスポイント割り振り:筋力+5 速度+2


 これで、今の俺のステータスで足りていないもの、装備品で補っているものなどが目に見えるようになった。

 そんなことをしていると自宅につながる黒い渦が見えたので、そこを潜り抜け、無事帰宅する。


 先ほどまで迷宮を移動していた俺が部屋に戻ってきての感想は……狭いの一言だ。

 魔物に襲われないなら、迷宮内で生活したほうがいいかもしれないな。



―――――――――――

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

少しでも楽しんでいただけた方は☆やブクマ、応援を入れていただけると励みになりますので、よろしくお願いいたします!


※☆は目次やこのページ下部の「☆で称える」から行ってください!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る