第51話 私は帰りたくない
私は千と千尋に出てくる油屋にいる。
そこから抜け出すことは簡単じゃないことぐらい知っていた。
だけど、それは必然的に突然くる。
私はこの線を越えれば元の世界に戻れるところまで来ていた。
だけど、私は線を踏むことはなかった。
なぜなら、ここで生きていこうと決めたからだ。
戻ればまた苦しみの連続で苦しんで死ぬくらいなら、戻らないほうがマシだと考えたからだ。
私が線を踏めばこの油屋は無くなってしまう。
そして今まで優しくしてくれていた面倒見のいいお姉さんやお兄さんもいなくなってしまう。
私は人との縁を切りたくなかった。
だから、私は今も油屋で働いている。
戻り方は知っている。
でも、苦しい世の中で生きるくらいなら楽しいままでいたい。
それが私の本望だ。
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