第35話 オチのついた人間A

他の人と生きてる世界線が違うなら自分は一体どこを向いて歩いているのだろうか。

体力もなく、歩くことさえしんどい私にとって生きるとは必死なものでしかない。

世界の終わりの深瀬くんが『頑張ることって頑張らないことより辛いんです』と言う言葉が身にしみてわかる。

私の今の状態はそんな感じだからだ。

頑張ろうとすれば苦しくなる。

生きるとは死から逃げるようなものだ。

誰も死にたくないのは同じ気持ちだ。

だけど、小説は死を扱うことが多いし、殺人事件なんて鉄板中の鉄板だろう。

誰も助かる事のないメルヘン作品は存在している。

助かっても現実は酷いものだろう。

生きるとは死ぬよりも大変なものだろう。

死なない物語に終わりをつけるなら、最後は『めでたし、めでたし』か?

そんなもの小説だったらきっと読者に刺激がなくて買わないのがオチだろう。

だから、みんなオチがある小説を買ってオチで興奮するのだろう。

小説の中で死んだ人間は空想上の人でしかないから、死んでも大丈夫と思うのだろうか。

私からしたら小説上の人物も同じ人間に間違いはない。

生きたかったのに生きられなかった悲しい人間Aとして心に残るはずだ。

さようなら、人間A。

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