第45話 サメ術師は追撃する

 銃声の連鎖が轟く。

 ガン・シャーク達はマズルフラッシュを散らしながら、容赦なく鉛玉を叩き込んでいく。


 騎士と勇者は無様にタップダンスを踊っていた。

 そして血みどろになって倒れていく。


 数秒ほどで銃撃は終わった。

 外の護衛で立っているのは、チェーンソー使いの勇者のみだった。

 他は全員死んでいた。


 ただしチェーンソー使いも満身創痍だ。

 呼吸が荒く、全身が蜂の巣である。

 それでも倒れそうにないのだから、異様なタフネスだろう。


(あの生命力もスキルの影響か?)


 もしくはステータスの能力値の影響かもしれない。

 弾丸で負傷しているのだから防御力は関係ない。

 たぶんHPが飛び抜けて高いのだと思われる。


 怒り狂ったチェーンソー使いは、いきなりガン・シャークを倒し始めた。

 杖持ちの勇者が死んで赤いオーラが消滅しているが、依然としてチェーンソーは高威力で、あっさりとサメ達を切り裂いていく。

 銃撃が再開して弾丸を受けながらも攻撃を止めない。

 ついにはガン・シャークを全滅させてしまった。


(さすがに脳筋すぎないか……?)


 俺は呆れて息を吐く。


 その時、サメの口内に沈む家屋から飛び出す影があった。

 着地したのはスキンヘッドの大男だ。

 おそらく室内にいた勇者の一人だろう。


 大男は、両肩に少女と太った中年男を載せている。

 前者がもう一人の勇者で、後者が大臣だろう。


 勇者達は逃げ惑う村人に指示しながら退避する。

 周囲を警戒しつつ、村から脱出しようとしていた。


(撤退なんて許すかよ)


 俺はガン・シャークを追加で召喚する。

 ところが、即座にチェーンソーで斬殺されるか、大男の蹴りで爆散した。


 あの二人の勇者は近接能力が高い。

 始末するには骨が折れそうだった。


 勇者と大臣が瞬く間に離れていく。

 このままでは俺の位置からは見えなくなってしまうだろう。


 それでも俺は慌てない。

 彼らの背中を鮫銃で監視しながら微笑する。


「ここで終わらせてやるよ」


 俺はアサシン・シャークとボム・シャークの群れを召喚して彼らを襲わせた。

 勇者達は負傷しながらも迎撃する。


 大男の肩に載る勇者は険しい顔で戦場を注視していた。

 その直後、俺は何もしてないのに、サメの死骸が動き出す。

 さらには存命のサメを喰い始めた。

 死体を操って味方にするのが、あの勇者の能力らしい。

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