第9話
人と話すことは嫌いじゃないし、むしろ私の場合嫌いな人にまで好かれてたりするんだけど、とにかく疲れる。できれば人との交流を一日につき3時間くらいまでにしてほしい。今日は本当に疲れた。
いつも気がついたら一人で楽しめてる。自己肯定感は他者依存じゃなくて自前で持ってるから、誰に認められる必要もなくて。でも褒められると嬉しい。理解されるよりも理解できないまま底知れぬ存在でありたいと考えてる。
観客席に赤い帽子の大観衆がいて、旗を振ったり大きな声で叫んでる。その指揮者は中央にある丘の上。女の子みたいな顔のスーパースターが緊張した面持ちで、片方の足を半歩後ろに引いて、また怒号が大きくなる。
青空はしばらく休業日。誰かの涙が降り続く。いつか連れて行かれた親戚の家の和室は、今は特有の匂いもなくて、ああもうこれはきっと思い出の中にだけあるんだろう。ずいぶん長いことしまっておいたせいでほとんど風化してしまった。たまには窓くらい開けて換気しとけば良かったな。海沿いの街から、かつて愛したあの人へ。
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