第10話
鏡で自分の顔を見ているつもりなんだけれど何が映っているのかもよくわからない有様で、もう一度よく見て、白いもやもやの中にかすかな私を確認できた時にああ疲れてるんだな、と悟った。
こういう状態だと、マットレスの上でころんと横になって枕元のボタンを二回押して部屋は真っ暗、目をとじるだけで何処かへ飛んで行けそうな気がしてみても、なんだか差し込んでくる悪夢のダイジェストみたいなやつのせいで眠れない。疲れすぎて交感神経と副交感神経の波がおかしくなってるせいだ。
鉄骨を必死で渡りつつ音楽室を目指す。雨音の激しさをロマン派のピアノの音色が切り裂いて、また曲が終わる。そうさせたのは誰。またカードが配られ、私は甘んじて受け入れる。
ちょっとだけ世界の隙間が見えたら、重いまぶたが落ちてくる。ほらまた揺れた。青白い光は次の何かを運んできてくれるかな。
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