『屋根裏部屋の黒い猫』

𝑹𝒖𝒊

第1話

ボクたち兄弟は黒猫。ママは白猫。どうしてママと違うのかな?

ボクたちは屋根裏部屋で生まれた。この家で飼われている訳ではない。


ボクたちがママのお腹にいた頃、この家に忍び込んだママが、この家の飼い犬に追われ逃げ込んだのが、この屋根裏部屋。

昼間は大きな天窓から陽が入るから明るく、夜は月明かりが入る。


ここには餌はない。

ママは、天窓の隙間から出て、屋根の上を上手く移動して外に出て、餌を探しに行く。その様子を天窓から見ている事しか出来ない。


暫くしてもまだ帰ってこない…。

『ママ、遅いな…。大丈夫かな?寂しいよママ、ミャー。』


少しして、ママの姿が見えてきた。

『何か咥えてる。あれ?足を引きずって、あちこち怪我をしてない?』


ボクたちは心配になった。

怪我をしているから、屋根裏部屋に来るまでに時間がかかった。


やっぱり怪我をして、あちこちから血が出てる。餌を見つけて戻る途中、他の猫に餌を横取りされそうになり襲われたんだ。

それでもボクたちに餌を持ち帰る為に必死で闘ってきた。


ママは、取ってきた餌をボクたちに『食べなさい。』と差し出すと、怪我が痛くて辛いのか倒れ込み小さく震えている。


ボクたちは、心配だったけどあまりの空腹に、夢中で餌を食べたんだ。


その時、後ろで音がした。

ビックリして振り向くと…。

『人間だ!見つかった!!』と思わずママの後ろに隠れた。


ママは、動けない体を精一杯動かし、ボクたちを守る為前に出て『シャーッ』と威嚇した。

でも、人間が近づいてきて、構わずボクたちを抱えて降りていった。


ママが戻ってきた時に、屋根裏部屋に入るのを見られたんだ…。


一人がママを何処かへ連れて行ってしまった。

そして、もう一人がボクたちを洗う。


屋根裏部屋で生まれたボクたちは、体を洗われたのははじめてでビックリした。でも、気持ちがいいな。


ボクたちを洗っていた人間が驚いた声を出した。

ボクたちを入れて洗っていた桶のお湯が真っ黒だ。


でも、あれ?ボクたち黒猫だったはずなのに、真っ白になってく。


屋根裏部屋で遊んでいるうちに、汚れて黒くなっていただけのようだ。


暫くして、ママが抱えられて戻ってきた。傷の手当をしてもらったみたい。


ボクたちは、この家で飼ってもらえることになった。

餌を取る為にママが怪我をする事も、ボクたちが汚れて真っ黒くなる事もなくなった。


空腹で辛いと言うことも無く、今ボクたちは幸せだ。

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『屋根裏部屋の黒い猫』 𝑹𝒖𝒊 @ruicha_mori

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