第10話 「文化祭と金木犀」

文化祭当日、その日は朝早くから生徒が登校しどこか落ち着かない様子で始まりを告げるチャイムを待っている。

僕のダンスも1ヶ月前よりはだいぶマシになり今ではなんとか人前で見せても大丈夫なレベルになった。柊木さんからも「まぁ及第点ってところだね。本番は観客も入るんだから舞い上がってミスだけはしないでよ」と釘は刺されたものの、1ヶ月前のように怒号が飛ぶことはもう無い。

朝の教室で皆ソワソワしながら待っている。彰や瑠花もかなり気合いが入っているようだ。森元さんはあの欠席した日からも週1くらいで休んではいたが、今日は無事に来れている。それに少し安堵していると、もう顔から楽しみにしているのが分かるほどニヤケている佐久間先生が教室に入ってきた。

「おはよう諸君!今日は待ちに待った文化祭だ!メディア班も運営班も全力でこの青春を楽しめ!先生からは以上!!」

と今日も爽やかに言い放った先生は

「俺からは以上だが、今日まで皆をまとめてくれていた森元からも一言貰おうと思う!」

と森元さんが呼ばれ前へ行った。

「少し休んでしまって皆には迷惑かけたと思いますが、クラス全体でサポートしてくれたお陰でメディア班も運営班も完璧なクオリティになったと思います!学校中にこのクラスの存在を知ってもらいましょう!」

と完璧なスピーチをすると、クラスがワッと沸いた。僕も気持ちが高まりワクワクしてくる。


そして、僕と彼女の"最後"の文化祭が今、始まる。

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