第8話 「過去とカンパニュラ③」
「へぇー、櫂ってそんな凄かったんだね。今の姿からは想像出来ないや」
「まぁ最後の大会で色々あってな…」
ふーん。と不思議そうな表情で彰を見つめる。その時授業開始の予鈴がなって、同じタイミングで櫂が教室に戻ってきた。
「彰お前、なんも話してないだろうな…」
「んー?話してないと思うぞ?うん!」
にこやかに櫂の圧をかわした彰を睨みつけ、そのまま自分の席へと戻って行った。
それにしても、櫂はなんでそこまで中学の話をされるのを嫌うんだろう。むしろ自慢話として皆に聞かせようとするのが普通だと思う。彰が言うように何かがあったんだろうけど、それは今詮索するべきじゃないね。
「櫂ってやっぱり不思議な奴だなぁ」
と独り言を零すと、隣で「ふふっ」と笑う人が居た。そうだ、この人もいたんだ。森元…ナニさんだっけ。それはまぁ良いとして、同じクラスになってからもう2ヶ月くらい経つけど未だにこの人と櫂のことはよく分からない。特に森元さんは普段見せる笑顔の裏に何かを隠している気がしてならない。昔から色んな人を見てきたからある程度自分の目には自信がある。
「本当にこのクラスにいると退屈しないなぁ」
そして授業開始を告げるチャイムが学校中に響き渡った。
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