あとがき(ネタバレ)


 毒吐き『蛇侯爵』の甘い呪縛に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


 こちらは、カクヨム中編コンテスト『嫁入りからのセカンドライフ』向けに書いた作品に加筆をしたものです。


 第一部までが、中編コンテストの内容でした。契約結婚で突然嫁ぐことになったセレーナが、蛇侯爵であるユリシーズと想い合い、白い結婚を破棄するところまで。

 作者史上最大級の甘々シーンを書いたのは、良い思い出です。皆様ニヤけていただけましたでしょうか。


 ありがたいことに最終選考まで残ったものの、受賞ならずで……嬉しいのと悔しいのとで情緒爆発ちゅどーん! とカクヨムコンにエントリーしたのは、今思っても勢いって怖いです。文字数足りない……必死で書きましたし、またしても書き下ろしで乗り切りました。薔薇魔女の帝国留学編、もふもふ通訳に続き3度目。むしろデフォじゃねーか! すみません。


 第一部が両思いまでだったので、第二部は本物の夫婦になるまで、です。

 

 ユリシーズの実家は、絶対出す予定でした。彼の性格の根幹部分ですので。妹のマージェリーは当初小姑を予定していたんですが……リスの妹だしな? とパワフル系に。美人で強いので、男性が負け惜しみで暴言吹っかけちゃう。本人は「なによ!」って気にしないフリしてるけれど、内心ものすごく傷ついている。だからこそ、とても優しいんです。マージがいなかったら、この夫婦は一生仲直りできませんでした。レイヨさんと幸せになって本当に良かったです。きっとふたりで毎晩イチャイチャワイン飲んでます。


 ユリシーズは、家族と暮らしたことがなく、ずっと独りでした。だからセレーナを好きになることはできたけれど、生活を共にするということが分かっていなかった。同じ家にいるだけ、は家族ではないですよね。


 一方のセレーナは、モラハラ旦那の記憶がこびりついていて、転生後は魔力がバレないように鱗が見つからないように、身を縮こませて生きていた。だから感情をどこまで他人にぶつけて良いのかが、分からないのです。遠慮しているし、自信もないし、甘え方も分からず子供っぽい言動をしてしまう。三十歳まで生きた割に子供っぽい、とよくコメントをいただきました。

 作者がセレーナの人生をリアルに想像してみた時、前世三十年分まるまる意識して生き返れるとは思えなかったのです。知識や教養、トラウマはあるけれど、実際にこの世界で生きているのは十八歳の女の子。記憶よりも現在の出来事の方が強いはずなんです。セレーナとしての人生がメインにあった上で、プラスアルファ前世のことがある、と思って書きましたが……転生令嬢ってみなさん子供の時から当然のように大人なのが主流なんですね。勉強不足ですみません。

 

 そんなわけで、ふたりがどうしたら本物の夫婦になれるのか……やっぱり喧嘩しなくちゃと思いました。でもユリシーズってセレーナと喧嘩するかな? 嫉妬ならどうだ? であんな感じになりました。

 

 えー、こんなのスパダリじゃない! とか。

 セレーナ、子供っぽい! とか。

 途中で読むのやめちゃう方も当然居るだろうと思いました。


 けれども、私は思うのです。

 結婚して新しい土地に来て、愛する人とろくに会話もできないまま必死で働いてたら、メンタル病みますって。


 妻としてしっかりしなくちゃ、とか。

 商売も王族との付き合いもちゃんとこなして、とか。


 あーもう! ワー! てなる自信、あります。年齢関係ない。頭パッカーン! です。


 ひとりで悩まないで、て簡単に言うけど、他人に甘えるのって相当勇気いりますよね。

 この人は絶対に大丈夫っていう絶対的信頼がないと、なかなか心は開けないです。


 そういった葛藤を乗り越えるために、獣人王国での陰謀を用意しました。ユキヒョウって虎と遺伝子が近いらしいと知って、この子にしよう! とサユキ嬢ができました。

 

 もうザ・貴族令嬢。悪役かと言われるとそうではないんですよね。貴族としておかしい行動はしていないです。むしろディーデのお芝居に付き合わせてごめんねの気分。ただ時代の変遷期に取り残されちゃった。誇りと家柄が全て、ではなくなっていくその時に、不運にも巡り会っちゃったんだなあと私は思っています。

 かといって、サーバルキャットを利用していた悪者どもは、万死に値しますけどね。


 ミンケは、セレーナと初めて一緒に湖に行った時に「暗殺してしまうとは思わないのですか?」と尋ねています。

 その言葉の意味を書けて、良かったです。


 そして第二部のキーパーソンは、なんといってもディーデですよね。

 あざと可愛い陽気で無神経な王子ですが、彼なりにああいう風になった理由がありました。無邪気な天使のフリをしているけれど、賢い。そんな風に書けているでしょうか。ディーデの成長もまた、書きたかったことです。失恋を乗り越えて、きっと良い男になると思います。……たぶんね!


 バトル皆無な恋愛小説を書く機会は、短編以外はもうないんじゃないかな~と思いつつ……楽しんで書きましたがいかがだったでしょうか。

 少しでもハッピーな気持ちになっていただけたら、とっても嬉しいです。

 毎度のことですが、番外編も書きたいな~と思っています。


 最後まで、応援ありがとうございましたm(_ _)m


 

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