波の境界

識織しの木

波の境界

恒例の雑煮はいつも違う顔


餅花のまぁるく降った愛い姿


学校の池の氷を割り持って


雑草の一本となる野蒜生え


蕨狩り祖父わらい健脚のころ


朧月次の朝日がまぶしくて


石鹸玉たくさんつくるげんきでね


遠足の母がつくったお弁当


蛙鳴く姿は見えない探さない


ひとびとのいつもと違う祭前


短夜の麦茶みるみる減ってゆく


玉葱のよぅく煮込んだスープ飲み


誘蛾灯電子の海に輝いて


夏蒲團海の浅瀬の色を見る


冷蔵庫ひかる宝石ミニトマト


ビルの隙間から飛び散る花火かな


新品のノート夜學に尽きる頁


大根の透き通り甘辛い色


短日の帰りが早く童たち


白菜のどつしりとして持てぬこと




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