第190話 情報収集結果
俺達は部屋に案内されると、部屋でお茶を飲みながらくつろいでいた。
「ジャックが来るのは夜かしら?」
リーシャが優雅にお茶を飲みながら聞いてくる。
「多分、そうだろ。あいつは色んなところから情報を入手できるだろうし」
酒場に行くとは言ってたが、他にもあるんだろう。
「しかし、奴隷狩りねー。テールに連れていかれるのかしら?」
「さあ? 売る先なんていくらでもあるし」
エルフの希少性や有用性から考えて高値がつくだろうし、テールとは限らない。
「ただ花を採りに行くだけなのに面倒そうねー」
「リーシャ、奴隷狩りを見つけたら殺せ」
「捕えろって話じゃないの?」
「俺はそういうのが死ぬほど嫌いなんだ。飛空艇よりも嫌いだわ」
見つけたら燃やしてやろう。
「まあ、マリアのことがあったしねー……」
リーシャがマリアを見る。
「リーシャ様、皆殺しですよ! 1人も生かしてはいけません!」
「まあ、そうするつもりだけど…………」
さすがはリーシャ。
言わなくても血の雨を降らせてくれる。
「そういえば、ララさんやティーナさん達は無事に自分達の国に帰れたんですかね?」
マリアが思い出したかのように聞いてくる。
「多分、帰ったんじゃないか? ルシルの手紙には問題なく終わったって書いてあったし、少なくとも、アムールの軍に捕まったってことはないだろう」
しかし、海に出てからはわからん。
そもそもあいつらの国がどこにあるか知らんし。
「無事だと良いんですけどねー」
「まあなー」
俺達はその後も王族らしく優雅にお茶を飲み続け、ジャックを待つ。
そして、夕食を食べ終え、しばらくすると、ジャックが訪ねてきた。
「はー、疲れたわー」
ジャックが椅子に座りながらため息をつく。
「どうぞー」
マリアがお茶を淹れ、ジャックの前に置いた。
「ありがとよ。いやー、やっぱり俺も歳だな。疲れが溜まっていく一方だわ」
「ジジイみたいなことを言うな……」
「似たようなもんだ。さて、お前さん達はギルドで何かを掴んだか?」
ジャックは紅茶を飲むと、聞いてくる。
「まず森で薬草を採取する仕事を受けたぞ」
「まあ、お前らのランクだとそんなもんだわ。しかし、お前ら、薬草とその辺の雑草を見分けられるのか?」
ジャックが俺達を見渡しながら聞いてきた。
すると、俺達は揃って首を横に振る。
「知るわけないだろ。もっと言うと、ケアラルの花も知らん」
「…………お坊ちゃま、お嬢ちゃん共め」
王子様だもん。
「聞けばいいだろ。薬草はお前に聞いて、ケアラルの花はエルフ共に聞く」
「採ってこいって聞こえるんだが……」
「採取なんて誰でも良いだろ。お前、いい感じの鉈を持ってたじゃん」
得意そう。
「まあいいけどな。お前らは絶対にしなさそうだし」
「手伝いくらいはするぞ。それでな、エルフの森の話を聞いたんだが、最近、ピリピリしてるってよ」
「ほうほう」
こいつも調べて知ってるんじゃないのかね?
「どうやら奴隷狩りが来てるんじゃないかって話だったわ。それらしき死体が森の外で転がってたんだと。もちろん、やったのはエルフだ」
「ふーむ……」
ジャックが考え込む。
「お前はどうだ?」
「俺はまずこの町の領主に会ってきた」
「マジ?」
「マジ。お前さん達のことが関所から各地の領主に話がいってると思ったから弁明というか、謝罪に行ったんだよ」
あー……そりゃエーデルタルトのヤバそうな貴族が自国に入ったら情報は共有されるわな。
「それで?」
「まあ、ただの旅行というか、エルフを見に来ただけのバカ夫婦ってことにした。エーデルタルトは人族しかいないし、物珍しさで見にいこうってわがままを言って、俺を雇ったって感じ」
まあ、そんなもんでいいか。
「領主は何て?」
「くれぐれも問題を起こさせないでくれって頼まれたな。ありゃ、相当ビビってたぜ」
情けない奴だ。
「ふーん、まあ、すぐに帰るのは事実だし、安心して関わらないでほしいわ」
「ちゃんとその辺も言った。ホッとしてたな」
「エルフの森のことは?」
「ああ、この話をした時に何かないか聞いた。お前さん達がギルドで聞いた通り、奴隷狩りが来てるっぽい」
ぽい?
「確定じゃないのか?」
「まだすべての把握はできていない感じだ。何しろ、自分で言うのもなんだが、奴隷狩りなんて冒険者と変わらんからな」
どうせ、ごろつきだもんなー。
「エルフはこの事を知っているのか?」
「領主が使者を送って伝えたらしい。向こうも襲われたから把握はしていたらしいが、手出し無用だと」
魔法に優れてるから自信があるのかねー?
奴隷狩りだって、当然、対策はしてくると思うんだが……
あ、傲慢な連中だからか。
「お前は領主に何か頼まれたか?」
「ああ。お前さん達をなるべく早く帰らせてほしいってことと森で奴隷狩りを見つけたら捕らえてほしい、だ。最悪は生死を問わないってよ」
生死を問わないなら楽でいいね。
殺して、その辺に捨てておけばいい。
「まあ、どちらにせよ、生かすつもりはないがな」
「俺もめんどくさいからそれでいいと思う。優先順位はケアラルの花が上だ」
当然だな。
俺達はそのために来ているんだから。
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新作も投稿しております。
読んでもらえると幸いです。
https://kakuyomu.jp/works/16818093081433008062
よろしくお願いいたします。
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